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「幸せの」イベント

ツイートだけで投下する予定だったネタなのですが、思った以上に話が膨らみ、これで一つ投下するかぁ
ってなったネタです。
誤字脱字等は何かの形で伝えていただければ幸いです。



ある女子大に、伝統的に続いている一つのイベントがあった。
「ミスコン」。その年の1回生のみを対象として行われるそれは、上位入賞者全員が口々に「人生が180°替わった」と嬉しそうに話す姿から「幸せのミスコン」などと呼ばれ、1学年のみを対象にしているにも関わらず、毎年多数の応募者が集っていた。
そしてこの年も、多数の応募からファイナリスト7人が会場に立っていた。

「さあ!遂に審査員全員の意見が纏まったようですので、これより発表を行いたいと思います!!」

司会の女性が高らかに宣言する。彼女は相川(あいかわ) 絵里奈(えりな)。司会の役はグランプリの女性達に代々受け継がれており、彼女も10年前にこのミスコンでグランプリに輝き、この大学の職員となっていた女性だった。ミスコン以前までは内気な女性だったが、今では輝くような笑顔と、ファイナリストたちにも劣らぬ魅惑的な肢体を惜しげもなく見せびらかす、ある意味このイベントの今の象徴的な存在になっており、宣伝チラシにも彼女の顔が映っていた。

彼女の一声をきっかけに、舞台の明かりが消えてスポットライトが動き回る。
審査員達の決めた優勝者が発表されようとしていた。

「今年度の優勝はっ! ……3番、花江(はなえ) 友香(ゆうか)さんですっ!!」

スポットライトの光が一点に集まり、絵里奈が名前を口にした瞬間、会場がドッと沸く。
感極まった友香は鼻と口を押さえ、つぶらなその瞳に涙を浮かべていた。
その後トロフィーの授与、インタビュー等、イベントは着々と進行していく。

「それではこの後、ファイナリストの皆さんに私どもより個別にインタビューがあります。スタッフの誘導に従ってください!」

全て終わると、絵里奈がそう言い、スタッフが彼女らを学園の建物の中に誘導していく。
彼女らの誘導を後ろで眺める絵里奈がニターッと、その美しい見た目にそぐわないような下卑た笑みを浮かべていることに、彼女らは誰一人として気付くことはなかった。

司会を終えた絵里奈は、学園内のある部屋へと入る。使用されていない倉庫の一角、カーテンの奥に隠してある扉を開け、階段を降りていくと、地下の一つの部屋に辿り着き、そのドアを開ける。

「ご苦労様、今年もイイ娘が揃ったねぇ……」
「ああ、収穫としては去年以上かな」

ドアの先には大量の監視カメラの映像が映し出され、その中央のデスクに一人の女性が座っていた。
黒縁の眼鏡に綺麗な黒髪を伸ばした美人。長瀬(ながせ) 美晴(みはる)、学園の3回生にして代々この学校の理事を務める家の娘であり、次の理事となることが約束された女性だった。
絵里奈は部屋に入るとソファにドカッと座る。互いに特に気にしている様子もなく、二人の関係性の近さが伺えた。

「今年は7人、結構用意したんだな?」
「用意したのは6人分だよ」
「お?もう替え時かい?絵里奈ちゃん気に入らなかった?」
「いいや、この友香の器を気に入ったんだ」
「それはそれは……友香ちゃんにはお気の毒だねえ……クッフフッ」

なにやら意味ありげな会話を続ける二人であったが、その口調はあまり見た目にそぐうものではなかった。
ニヤニヤ笑いながら会話するその表情も、同じく見た目とは大きく異なり、邪悪な顔つきであった。

「お、みんなお着替え終わったみたいだ。んーやっぱ今年レベル高いねえ……」
「では早速はじめるとしようか」
「りょーかい、催眠ガスちゅーにゅー……っと」

美晴がカチッとキーを押すと、部屋の中に無味無臭の催眠ガスが撒かれる。部屋の中、ただ一人で居る彼女達はガスが撒かれたという事実に気付くことなく、一人、また一人と眠りについてしまった。
キーを押した辺りで絵里奈は移動を始め、友香が眠りについたくらいのタイミングで彼女の部屋に辿り着いた。
友香が眠っているのを確認すると絵里奈はニヤーッと笑いながら彼女に近づいていく。

「やはり可愛らしい見た目をしているな。髪質も良い……じゃあ入らせてもらうとするよ」

そう言って絵里奈は確かめるように友香の身体を、綺麗な長い黒の髪を撫で、そして彼女を抱きかかえた。
美晴もニヤニヤ笑みを浮かべながら、カメラ越しにその様子を眺めていた。それどころか突然興奮しはじめ、スカートの中のパンツ越しに自分の股間を撫ではじめてしまう。

友香はそのまま床に転がされて口を開けさせられ、その横に絵里奈も仰向けに寝転がった。
次の瞬間、絵里奈の口から黒い塊が飛び出した!
ぞぞぞっ、と絵里奈の身体から飛び出たソレは、友香の開いた口めがけて迷わず飛び込んでいく。
んぐっと嗚咽のような声を漏らすも、ソレは勢いよく潜り込み、友香はゴクン、ゴクンと勝手に喉を鳴らして体内にソレを招き入れ、段々とお腹が膨らんでいった。
しばらく黒い物体が絵里奈から友香の中へと移り変わり、遂に全てが友香の中に入りきると、少し膨らんだお腹がドクン、ドクンと脈動しはじめる。脈動はお腹から全身へと広がり、徐々に友香に混ざりこんでる様子だった。
やがてお腹の脈動も収まると、友香は眼を開け、ゆっくりと起き上がった。

「ふふふっ……良い。良いじゃないか。やはり気に入ったよ、この身体。」

友香は手を眺め、その手で身体を撫でながらニヤニヤと、先ほどまで絵里奈がしていたような笑みを浮かべる。
そう、絵里奈の中に居たソレが、友香の身体を支配したのだ。

『お疲れ様です、どうです?今回の容れ物は?』
「ああ、完璧だよ。時期を早めて乗り換えた甲斐があるというものだ」
『そりゃ良かった。じゃあ残りの娘も、シちゃいましょうか……んぁ……』
「……お前、一人でヤってるな?」
『へへ、友香ちゃんが今から全身乗っ取られるんだと思うと、興奮しちゃって……』
「ったく……」

言いながら友香は部屋を後にした。部屋には未だ意識のない絵里奈だけが残っていた。
隣の部屋に入ると、先ほど決勝で友香と競い合った女性の一人が眠っている。
友香はその女性に近づき、再び身体を撫ではじめる。

「ふーん、この娘もいい……魂も、綺麗で美味そうだ。アピール時には毎日ランニングで鍛えた体力が自慢だと言っていたな。オナニーやセックスの捗りそうな肉体だ。あげるのがちょっと勿体無いが……まあいいや。頂きまーす」

そういって友香は彼女の唇を奪う。
じゅる、ちゅぱ、じゅぞぞぞっ、といやらしい音を出して口腔内を蹂躙したかと思うと、今度は自身の舌を彼女の奥へ、奥へと潜り込ませていった。
舌はそのまま彼女の体内に入り込んでいる様子で、身体はビク、ビクンと痙攣を始める。少しすると痙攣も収まり、友香が唇を離す。すると淡く白い光が、友香の舌に掴まれていた。
友香の中に入り込んだソレは、魂喰鬼という妖怪の一種だったのだ。彼は人間の体内に寄生してその身体を乗っ取り、周りの人間の魂を喰って生きていた。友香はその鬼の新たな宿主に、目の前の彼女は鬼の食料へと選ばれてしまったのだ。
そのまま、魂は友香の口に取り込まれ、クチャ、クチュ、と音を立てながら咀嚼され、飲み込まれてしまった。
友香に魂を喰われた女性はもはや抜け殻となり、椅子の上に力なく座り込んでいた。

「はぁーっ……やはり美味だ……この宿主の味覚は以前の絵里奈より敏感で良い。更に気に入ったぞ」
『食べました?じゃあ代わりの中身送りますねー?』
「ったく、折角余韻に浸っておったものを……良いぞ、送れ」

同時に、部屋の中に一つ、先ほどの彼女の魂のように淡い光を放つ魂が送られる。
友香はそれを掴むと、抜け殻になった彼女の口の中に送り込んだ。
身体と入り込んだ魂が結びつき、しばらく痙攣するも、それも次第に収まり、パチッと眼を開けた。

「ふふ、目覚めたか。ようこそ、こちら側へ」
「あ……え……お、俺……そ、そうだ、死んだ後、やけに綺麗な女に声を掛けられて……まさか、あんたが?」
「そういうことだ。この世に未練を残して死んだ魂、俺がその女から魂を喰ったゆえにその身体はもはや唯の抜け殻。これからはお前がその女に替わってその肉体で生きるがいい。女の肉体ではあるが見てくれも悪くない、記憶も習慣も何もかも呼び出せる。その女がお前の新しい一生涯お前に仕えて生き続けるのだ」
「お、俺が、一生、この身体に……っ……!この身体が、俺に……!」

彼女に入った男は興奮した様子で鏡を眺め、胸を揉み、股間を弄りはじめる。
その様子を友香は満足そうに眺め、美晴はその映像を見て股間にそのしなやかな指をクチュクチュと音を立てて出し入れしていた。
魂を喰うとそこには抜け殻が死体として残ってしまう。故に替わりにこの世に未練を残した男達の魂に彼女達の肉体と人生を与えることで死体を残さない。この方法こそ今の世界で、魂喰鬼にとって最も美味であるとされる美しい女の魂を世界中の誰にも気付かれることなく喰らう為に彼が編み出した方法であった。
新しく、美しい肉体を手に入れた男達は鬼である彼に感謝し、新たな餌を呼び込む。「幸せのミスコン」はこうして成り立っていたのだ。

『ようこそこちら側へ、歓迎するよ。今から他の娘にも君と同じことをして、その後全員に幾つか説明することがあるから、しばらくその部屋で新しい身体を確かめるなり、オナるなりなんなりして待っててねぇ』

アナウンスする美晴。彼女も魂喰鬼の協力者であり、元々は死んだ男で、秀樹という名前だった。
魂喰鬼が喰った女の身体に試しに入れた最初の魂が秀樹で、秀樹自身の立案によって彼は代々この女子大の理事長や次期理事長となる一族の肉体に、魂喰鬼の力によって乗り換え続けて生きていたのだ。
元の美晴は秀樹を宿した彼女の母親に大事に大事に育て上げられ、15歳の時に魂を喰われて秀樹の魂を身体に宿し、そのまま彼の新たな肉体と成り果てて今に至っていた。秀樹が乗り換えた際に抜け殻になった母親の身体はまた別の男が入り込み、その男の新しい肉体として使われ続けている。

(ん……あれ、私、何を……)
「ん?目覚めたか。案外早いな。まあいい」
(え……!? なんで私が喋ってるの!? それに、なんであの娘あんな格好してるの!?)

友香が次の部屋へと向かおうとした矢先、彼女の中で声が響く。それは友香本人の意識だった。しかし、ようやく意識を取り戻した友香本人の意思を友香の身体は完全に無視し、新たに入り込んだ魂喰鬼の思うままに動き、声を出していた。
さっきまで別室にいたはずの女性が隣でいきなり自慰に耽っていることにも驚いている様子だったが、魂喰鬼は友香が目覚めたこと自体には反応したものの、それ以外は興味もない様子で、そのまま友香の足を操り、次の部屋へと向かっていく。
辿り着いた次の部屋には、今までの彼女達同様私服姿で眠りについている女性が座っていた。

(寝てる……? え、ちょっと何してるの私っ!?)
「んー、これも上玉だ。実に美味そうだ……じゅるっ……れろっ」
(いやああああぁぁっ!やめてええぇぇえぇぇっ!!)

友香は舌なめずりし、ショートヘアの彼女の首筋に吸い付き、舐めだした。鏡には意識のない女性の首に舌を這わせ、それを味わう友香の姿が映っていた。
悲鳴をあげる友香だが、依然として彼女の肉体も、魂喰鬼の意識も、友香本人の叫びを無視していた。
行為は更にエスカレートし眠っている彼女の身体をいやらしく舐めまわし、撫でまわす。

「うむ、やはり美味そうだ。では頂くとするかな……ちゅ……」
(えっ、キス!?な、なにしてるのっ!!)
「んーっ、れろっ、じゅるっ……」

キスに驚く友香の意識をやはり無視し、そのまま眠っている彼女の口の奥に舌を進めていく。
自分の舌が伸び、目の前の女性の体内に入り込んでいることに驚きと恐怖を覚えるが、やはり身体は何の反応も示さず、恐怖で鳥肌が立つことも、驚きで心臓が鼓動することもなかった。
眠っている彼女の身体が痙攣し、友香の舌が魂を取り出す。
友香が唇を離すと、抜け殻になった彼女はだらんと椅子に倒れこむ。

(え、待って……これって、まさか、この人のっ……!?)
「あーっ……んっ、れろ、じゅるるるっ……くちゃぁっ……」
(ふぇ……!?ぁ、なにこれっ、美味しっ……ぁ、頭の中っ、溶け……ちゃ……っ)

人間の一生では絶対食べることのない「魂」、その中でも魂喰鬼が最も好む美しい女の魂。その味は人間が味わっていい次元のモノを遥かに超え、魔性の快楽と化して脳に流れ込み、友香の意識は一瞬で溶け落ちてしまう。

(はぁ、はぁっ……あぁっ、ヒトのたましい、美味しいっ、素敵、素敵ぃっ……♡)

魂喰鬼に寄生され、その肉体となった者のみが味わえる夢の如き快楽。味わってしまえば最後、自分の身体に寄生し、その肉体を奪おうとする彼に自分の意識も、身体も、魂も、全て使われることが悦びになってしまう。ましてや、魂喰鬼が絵里奈より味覚が強いと言う友香の舌が伝える魂の味は、一瞬で友香を快楽の奴隷としてしまった。

『次の中身送りますねー』
「……ああ、コイツか。魂と肉体に因果関係を持たせた組み合わせは久しぶりだったな……」

彼自身は奴隷に堕ちた友香のことなど特に気にしていない様子で、送られた魂を捕まえ、抜け殻の口へと送り込む。
先ほど同様入り込む魂に反応して身体が痙攣するも、徐々にそれも収まっていった。
また一人、新たな肉体と人生を手に入れた魂が目を覚ます。

「うう……ん、俺……そうだ、あの時、事故で死んで、新しい身体をやるって……でもこの声……まさか……!」

新たな魂に乗っ取られた彼女は早速鏡に駆け込み、その姿をまじまじと見つめる。
その顔には驚きと、そして少しの喜びの色が感じられた。

「どうだ?偶々お前の記憶の中に今回のコンテストの参加者がいたから、そいつをお前の新しい器にしてやってみたんだが、お気に召したか?」
「ぅぁっ……ホントに……俺、美玖(みく)ちゃんになってるんだ……高校の頃俺を振った、あの美玖ちゃんに、付き合うどころか、美玖ちゃんの身体そのものが、今日から、俺の、身体に……! ふぃひっ、ふぃひひっ!!」

本人の口で美玖と呼ばれた女性は鏡に映る自分の姿に悦に浸り、自らの肢体をいやらしく撫でまわす。
撫で回した影響で、少し露出の多かった服ははだけ、透き通るような綺麗な肌が露わになる。その姿にも興奮している様子で、美玖ちゃん、美玖ちゃんと呟きながら頬を赤らめ、自分の身体をまさぐり続けていた。

「こ、これ、美玖ちゃんの記憶も読めるんだよな……?あ、これ高校の記憶だ……じゃあこれが、あった。俺の告白の時の……え、キモい。さっさと帰りたい……な、なっ……! ……まあいいや、美玖ちゃんの肉体は今日からそんなキモい奴とこれからずーっと、一生一緒に生ていくんだもんなっ! 寝る時も、風呂も、トイレも、オナニーするときも、全部俺と一緒にするんだ、ひひっ、手始めに犯してやるよ。この美玖ボディが、もう一生俺のモノだって、コイツのカラダに刻み付けてやるっ……!」

別の人間の、男の魂が入ったことで美玖のだった女の肉体は自分自身に欲情し、美玖の物であった脳は今まで考えたこともなかったはずの、美玖の肉体を犯すということだけを考え、その肢体を貪りはじめる。
本来の美玖ならば拒絶していたが、もはや彼女の肉体は新しい魂の命令なしに動くことはできず、同時に彼の魂からの命令に逆らうことも出来ないため、ただただ行為を受け入れるしか出来なくなっていた。

『あー、聞いてるか分かんないけどしばらく部屋にいてねー? ……やっぱ聞いてないだろこれ』

一心不乱にオナニーに耽る美玖に呆れる美晴のアナウンスを尻目に、友香は次の部屋へ向かうべく扉を開けた。
扉を開けると、そこには一人の女性が立っていた。

「ん?ああ、目覚めたのか」
「ああっ、居たぁっ、ご主人さまぁっ……♡」

現れたのは友香の身体に乗り換えるまで彼に取り憑かれ、肉体を乗っ取られていた絵里奈であった。
絵里奈の精神は先ほど友香が味わい、意識を溶かしたあの魂の味を、魂喰鬼と共に5年間味わってきた。そんな精神が乗っ取られる以前の形を保っている筈もなく、折角開放された彼女の魂は、隷属の悦びを深く、深くに刻み込まれて、既に彼の忠実な奴隷と成り果てていた。
その証拠に絵里奈は友香の腕に抱きつき、発情した小動物のように息を荒げながら身体を押し当て、くねらせることで自分の身体を差し出し、媚を売っていた。

それからも一人、また一人と友香によって魂が抜かれ、食され、抜け殻になった肉体は新たな魂を入れられていく。
友香を除く6人全員の魂を喰い、友香という新しい宿主まで手に入れて、彼は友香の足で満足そうにその場を立ち去った。
魂を喰われた彼女達はこのまま1年掛けて彼の中で消化され、二度と元に戻ることはない。しかし産まれた瞬間から今まで自分を育てていた魂を失くした彼女達の肉体は、これから男達の魂に支配され、彼らの欲望のままに生かされ、使われ続けるのだ。
見目麗しい彼女達の肉体と、記憶と、人生。その全てを手に入れた彼らは、口々に「人生が180°替わった」と幸せそうに語る。
とある鬼の狩場として、そして男達の転生の場として、「幸せのミスコン」はこれからもずっと、この場所で続いていくのだった……

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