あけましておめでとーございます。
とりあえずお年玉ということで、よろしゅう。
河川敷で、一人の少女が走りこみをしていた。
彼女は瀬川 美紀、16歳、私立帝栄大学附属高校の1年生で、中学時代は県でも上位の成績を収めていた陸上部のホープだ。
練習が終わり、全員が解散した夕方の今も彼女は自主練に励み、研鑽を続けていたのだ。
運動着から健康的な小麦色の肌を晒し、少し日に焼けて茶色になった髪を揺らしながら決められたコースを走り続ける。
ショートに切り揃えられた髪は、元からサラサラな髪質なこともあって走るとフワフワと宙を舞っていた。
整った顔立ちと、パッチリとした瞳で前を見据える姿はそれだけで見る人を魅了させているという事実に、彼女自身はあまり気付いてはいない。
「よし、あと5本ほど走ったら終わりにしよっかな!」
そう言って構える彼女が走るコースの上に一人の男が突然現れ、立っていた。
男は立ったままニマニマいやらしく笑っている。
しかし美紀には彼の姿は見えていない様子で、そのまま走り出してしまう。
走り出した美紀の速度はどんどん上がり、遂に彼と激突してしまった。
「っ!?」
激突した途端、なんと男はぶつかった美紀の中に消えてしまったのだ。
瞬間、彼女の意識の中でバツンッ、とスイッチが切り替わるような感覚がして、一瞬視界が暗転する。
一気に速度が落ち、しばらくの間彼女はその場に呆然と立ち尽くしてしまう。
「ぁ……!」
声が漏れ、眼をパチクリさせて、辺りを見回す。
すーっ、はーっ、と息を吸って、吐いて、にまぁーっと笑みを浮かべる。笑い方は先ほどの彼のものに似ていたが、美紀の整った顔立ちのお陰で幾分かまともに見えた。
続いて目の前に手を持ってきて、グーとパーを繰り返す。
「ふふふっ……ぐふふふふっ……やった、上手くいったんだ……!」
ニマニマといやらしい笑みを浮かべながら、彼女は自分の置いた荷物の元へと歩いていった。
美紀の身体は今、彼女に入り込んだ先ほどの男の意識に操られているのだ。
先ほどの「あと5本」が果たされることはなく、荷物を持ってそのまま河川敷を後にした。
「ふふふっ……あははっ……」
まるで珍しい獲物でも手にしたかのように嬉しそうに、スキップにすら近い足取りで道を歩く美紀。
ぴょんぴょん跳ねるように歩くその動きは自分の身体の軽さを確かめているようでもあった。
(ん……あれ……え?なんで私、歩いてるの……!?)
「お、目が覚めたね?ふふっ」
そんな折、美紀本人の意識が目を覚ます。しかし美紀の中に居座る彼は未だ美紀の身体を操り、美紀の口から美紀の声を使って頭に響いた美紀の声に応えていた。
その様子はこうなることを知っていたようで、未だ嬉しそうに美紀の顔でニマニマと笑みを浮かべていた。
(な、なんなんですか貴方っ!なんで、私の身体を勝手に使ってるんですか!)
「ふへへっ……美紀ちゃんは怒ってる声も可愛いなぁ……」
(ふざけないでっ!!)
「ふふん、ボクのことなんてどうでもいいじゃないか。あ、でも、晴夫(はるお)さん、って呼んでくれるなら、それでもいいよ?」
いまだ美紀の身体を操る晴夫という男は、そういって美紀の足で歩き続ける。
(ねぇ、私をどこに連れて行く気なの……?)
「だから、晴夫さんって呼んでいいのにぃ、美紀ちゃんは冷たいなぁ」
(真面目に答えてっ!)
「わぉ、怖いなぁ。どこにも連れてなんて行かないよ?ただ『自分の家』に帰るだけさ……ほら着いた」
(ぇ……私の、家……?)
表札には『瀬川』と書いてある一軒家。そこは紛れもなく美紀の家であった。
美紀は何より、自分を操るこの男が自分の家を知っているという事実に恐怖していた。
そんな美紀の気持ちなど無視して、彼女の身体は晴夫に操られ、ドアを開けてしまう。
「ただーいまー」
「あ、美紀おかえり。もうすぐご飯できるらしいから、手洗ったらお皿出すの手伝ってね」
「はいはーい」
ドアを開けてすぐ現れた姉の真紀にもさも当然のように受け答えする晴夫の姿に美紀は更に恐怖を抱く。
そんな美紀本人の意識を放っておいて、美紀の身体は鞄を片付けて手を洗う。
「くふっ、美紀ちゃんのお姉ちゃんの真紀ちゃんも、可愛い顔してる上にエッチな身体つきしてるよね。大学の2回生だっけ?」
(なんで、なんでそんなに知ってるの!なんでそんなに詳しいの!?)
「なんでって、ボクが美紀ちゃんのストーカーだったからだよ?」
(な、えっ……!?)
突然の告白に、最大級の恐怖が襲ってくる。手を洗いながら、晴夫は美紀の普段の生活を事細かに口にする。自分の身体が、このようなストーカーに突然奪われたという事実に、美紀は嫌悪感と恐怖でいっぱいになってしまう。
手を洗い終えると、美紀の意思などお構いなしにそのままリビングへと向かう。
「そいえばお姉ちゃん、今日のご飯ってなんなの?匂い的に揚げ物っぽいけど」
「うん、今日はチキンカツだってさ」
「おー、いいじゃん」
「だからさっさと準備しなさいって」
「はーい」
何事もないように会話しながら、真紀と共に皿を出す。美紀を演じるのは彼女を長い間監視していた晴夫にとって造作もないことだった。
準備を終えて、いよいよ食卓につく。母の早紀も、姉の真紀も、誰も美紀の異変に気付くことはなかった。
〔くふふっ、じゃあ頂こうかな……〕
(…………)
〔ふひ、美紀ちゃん、あーん……〕
(……やめてよ)
晴夫は心の中で美紀を挑発しながらご飯を口に運んでいく。
いつもより強く噛みしめるように咀嚼していく。その動きはご飯というよりも美紀の口の中を味わっているような様子であった。口腔内で舌を丹念に動かし、その感覚を確かめていく。
〔美紀ちゃんの歯並びキレイだなぁ……それに口の中がぷにぷにしてて、凄い気持ちいいよぉ……!〕
(やめてってば、私の口で、私の身体で遊ばないで……!)
美紀の懇願はまるっきり無視されて、夕食と美紀の口内を堪能した晴夫は、そのまま美紀の足を操って彼女の部屋に向かう。階段を上り、部屋のドアに『MIKI』と飾られたその部屋に、足を踏み入れてしまう。
「あはぁっ……美紀ちゃんの部屋だぁ……やっぱり女の子らしくて可愛いねぇ」
(もうやめて……出てって、出てってよぉ……)
「ダメダメ、ボクの本体はもう死んじゃったからね、今日からはボクが美紀ちゃんの全部を貰って生きるんだよ」
晴夫はこうなった経緯を話し始める。妙な露天商から薬を買ったこと、薬は幽体離脱のためのものだったこと、そして、一度薬を服用すると、もう二度と元の身体に戻ることは出来ないということ。
美紀は再び恐怖する。二度と戻れないということは、自分の身体が、このまま晴夫の新しい肉体となって使われ続ける事も十分に考えられたからだ。
言いながら、晴夫は美紀の手を使い、彼女の服を脱がせていく。
(ちょっと!何脱いでるの!やめてっ!!)
「ヤだよ……ふひひぃ……あぁ、念願の美紀ちゃんのカラダ……!」
美紀の部屋の全身鏡の前に、下着だけになった美紀の姿が映る。
上はスポーツ用の飾らないデザインのブラを、下はスパッツのみを履いており、鍛え上げた身体のラインを如実に現していた。
晴夫に操られた美紀はまずお腹に手を当てる。6つというわけではないが中央に筋が入った腹筋は、撫でると奥で筋肉の硬さを伝え、手前で女性特有の肌の滑らかさと柔らかさを伝えてくる。
「あぁ、凄い、凄いよ美紀ちゃん。瑞々しくて、身体中から活力が溢れてきて、ホントに素敵な肉体だなぁ……!」
(やめて、やめてよっ……! 違う、こんなの私じゃないっ……!)
美紀の意思とは関係なく晴夫は美紀の身体を撫でつづける。すると美紀の肉体は彼女の意思を無視して晴夫の興奮に従い触った指と触られた腹筋が次第に熱を帯び始めていた。
血流が勝手に早くなり、心臓が大きく早く鼓動しているのが晴夫にも美紀にも分かってしまう。
晴夫の意識がそうさせているにもかかわらず、まるで自分が自分に興奮しているような錯覚を味わわされ、美紀は必死にその事実を否定することしかできなかった。
「あぁ、美紀ちゃんのカラダ、凄いエッチで、気持ちいいよぉ…… 美紀ちゃんの身体も、エッチなことしたい、気持ちよくなりたいよぉって言ってるのが分かるよ。おほほぉ、骨の上クニクニするの、気持ちいぃー……」
(いや、いやぁ、ちがう、ちがうのぉ……)
「あぁあっ、最っ高……これが、美紀ちゃんの身体を形作る骨なんだね。ボクのカラダとは全然違う。女の子の骨格。ボク、今ホントに美紀ちゃんの肉体を使ってるんだぁ……♡」
手がお腹から徐々に上に、肋骨に辿り着く。引き締まった身体であるがゆえに露出した骨の辺りを強く押さえると、神経と肉が指と骨に圧迫されて少し強い感覚として伝わってくる。晴夫はその感覚を気に入った様子で、執拗に押さえつけて感覚を味わい続ける。その感覚は当然美紀にも伝わり、晴夫と共にゾクゾクした快感を味わわされてしまう。
「くひひひひっ……美紀ちゃんの身体ホントに最高だよぉ……さてと、君のおっぱいも愉しませてもらうよぉ?」
そういって晴夫は美紀の胸をスポブラの上からむにむにと揉みはじめる。
が、圧迫された厚い布地に阻まれ、柔らかな感触も揉まれているという感覚も返ってこない。
むう、と少し悩むも、解決策はすぐに思いついた。そして彼は特に躊躇することもなかった。
「外からがダメなら中からだよね? んっ、ひひっ、これが美紀ちゃんのおっぱいの感触っ……んっ」
(やぁ、やあぁ……んっ)
「あ、今の、美紀ちゃんも感じちゃったんだね? 確かここを、んっ、これだ。ひゃぁぁ……」
(ちが、違うのっ、んっ、やめ、ひゃあぁ……)
ブラの中に手を突っ込んで、直接乳肉を揉みしだく。むにむに、ぐにくにとおっぱいの柔らかさと、自分についている柔らかいものが揉みしだかれる感覚に酔いしれる。その感覚を愉しんでいると、ふと、晴夫の興奮のせいで勃ってしまっていた乳首に指がピン、と当たり、声が漏れてしまう。
美紀が頭の中で漏らしたのと同時に声が出てしまった晴夫は、美紀と感覚を共有していることに気を良くしてさらに乳首を刺激しはじめる。クニクニクニクニと摘み、撫で、美紀という一つのカラダの中で晴夫と美紀の二つの意識が同じ快感に身悶えする。
触れた箇所どころか、身体の芯から熱い疼きが沸き起こり、自分の身体が情欲に支配されていることを感じさせられる。
「はぁ、はぁっ、本当に凄いよ。美紀ちゃんの身体、今エッチなスイッチ入っちゃったよ……!」
(そんな、だめ、やめて、私の身体、止まってよぉ……!)
その感覚を晴夫は嬉しそうに受け入れ、美紀は悔しそうに拒絶する。しかし身体を支配するのは未だ晴夫であるため、美紀の身体は積極的に沸き起こる情欲を受け入れてしまう。
美紀の身体は晴夫の支配を順調に受け入れ、鏡に映る自分の女体に晴夫の意思に従って欲情しだす。
身体の芯で熱く火照る疼きはさらに範囲を増し、全身を侵食、掌握していくのが分かる。
それを何より早く、顕著に表したのは美紀の股間であった。
「ふふふっ、美紀ちゃんのアソコ、興奮してゾワゾワしてるよ……! 美紀ちゃんも分かるよね?」
(そんなのっ、言わないでよっ!)
「こんなに期待されてるんだ。触ってもいいよね?ぐふふっ、ぐふふふふっ……! お、あはぁーっ……」
(いや、いやっ、いやあああっ!!!)
美紀の必死の叫びは無視され、スパッツの上から股間を撫でられる。少し湿った感触と、柔らかく敏感な肉の感覚に思わず歓喜の溜め息が漏れてしまう。
そのまま、美紀の身体はゆっくりと腰を動かし、手を動かし、存分に快感を味わい、甘ったるい声を上げはじめる。
荒く息を吐きながら、鏡の前で股を開き、腰を揺らしながら股間を撫でる姿は、淫乱な雌そのものであり、思わず目を背けたくなるが、晴夫に操られた美紀の目はまっすぐに自分の痴態を見つめていた。
「あはぁ……いい、きもちいいよぉ……はぁ、晴夫さぁん、エッチな私のおまんこ、もっといじいじしてぇ……」
(いやぁ、やめてよぉっ……ひゃあっ、私の声で、そんなこと言わないで……私の頭で、そんなこと考えないでぇ……!)
それでも手はやむことなく、ぷにぷに、クニクニとそこを刺激し続け、本来美紀という女性ただ一人だけが味わえる筈の快楽を晴夫に献上し続ける。甘い声、女性としての快感、長い間夢見た美紀の性器の感触。全てが晴夫を昂ぶらせ、晴夫の精神と美紀の肉体は未だかつてないほど強烈な興奮状態に陥っていた。
「はぁ、はぁっ、ねえ美紀ちゃん、美紀ちゃんがしてるいつものオナニー、教えてよ? んひっ」
(なっ……! 何でそんなこと教えないといけないのよっ……!)
「教えてくれないならいいんだよ?それなら思う存分、このまま直接おまんこの中に指を突っ込んで、好き放題じゅっぽじゅっぽしてこの身体を犯しちゃうし。あはぁ、想像しただけでおまんこのおつゆ増えてきたよぉ……!」
(……くそっ……くそっ……こんなやつに……っ!)
「くっふふっ、じゃあ美紀ちゃん、今だけ両手、使っていいよ。かわりに美紀ちゃんのオナニー、特等席で見せて、感じさせてもらうね?」
(……うぅ)
ふっ、と両手のみ美紀に支配権が返される。余りにもあっさりと返ってきた感覚は、これ以降またいつでも奪い返せるという事実をまざまざと見せつけられているようで、美紀の中の絶望感はより強くなっていた。
そして美紀の手は鏡の前であらわになっている、晴夫に乗っ取られたままの股間へ、スパッツの中へと向かっていく。
「くふっ、美紀ちゃんの生オナニーが見れるどころか、感じられるんだぁ……」
(何も言わないでよっ!!)
そして遂に、晴夫に操られてヒクヒクと刺激を待つ性器に触れる。先ほどの下着越しとは違う、直接の感触に、股間から背中に、首筋に、ぞぞぞぞっとした快楽が流れ込んでくる。
晴夫によって昂ぶらされた身体は、指が触れる感触に最大限の悦びを表し、それは美紀の「いつもの」を遥かに凌駕する快楽と化して身体へとフィードバックされていた。
「ふーっ、ふふっ、あははっ! 凄い、美紀ちゃんのおまんこの感覚、ホントに凄いよ……!」
(やだ、何これ、いつもよりっ……!)
「あぁっ、美紀ちゃんっ、もっと、もっとこのカラダを、ボクを感じさせてくれっ……」
(うそ、うそっ、気持ちよすぎて、手、止まらないっ……!)
美紀の性器を撫でる手はぐんぐん勢いを増し、くちゅ、くちゃ、といやらしい音が部屋に響き渡る。遂には指を性器に潜り込ませ、入り口辺りをグルグルとかき混ぜて快感を貪る。
脳内から飛び出た快楽物質が身体中で暴れ周り、美紀が折角取り戻した両手の支配権が発情したカラダの本能に奪い取られてしまう。
「あんっ、はぁっ、ぅあっ、これが、クリっ……! すっごい、すっごいよぉっ……!」
(はぁっ、はぁっ、はぁーっ……!)
更には空いていた左手で女性器上部の突起を摘みはじめる。
美紀のいつもの自慰とは、軽く撫でて火照る身体を慰めるだけだった。今行っているのは晴夫が指定した「いつものオナニー」とは遥かに逸脱した行為であったが、美紀の肉体はそれを求めてやまず、美紀の精神も、彼女が使う両手も肉体が求める欲望に従ってしまう。その肉体が晴夫に使われ、彼の興奮と欲求をその身に表していることを、今の美紀には意識することができず、まるで自分自身が淫乱になってしまったかのような錯覚にすら陥っていた。
「あ゛-っ、良いっ、凄い良いよっ……!美紀ちゃんの手マンも、美紀ちゃんのおまんこも最高だぁ……あぁんっ」
(う、ぁ、なに、何これっ……! 気持ちいいっ……!きもちいいよぅっ……!)
求められるままに、美紀の手は己の身体を犯し続ける。
晴夫の意識が腰を、美紀の意識が手を動かしている状態ではあったが、互いに美紀の肉体が求める欲望という一つの要素に支配され、その動きは完璧に噛み合い、美紀という存在を蹂躙していた。
膣内を撫でるだけでは堪らなくなった美紀の精神は、遂に性器の中に指を出し入れしはじめ、股間からはじゅぼ、ぢゅぼ、と淫靡な音が垂れ流される。
「あ゛っ、お゛っ、すご、すごい゛っ、はっ、あ゛あ゛っ……!」
(あ゛あ゛あ゛っ、ゆび、止まんないっ、止まんないよぉ゛っ……!)
さらに晴夫は耐えられなくなり、鏡の前に座り込んでしまう。それでも美紀の手は止まらず股間から手を出し入れする音は先ほどより大きく淫らなものに変化するも、なお手を出し入れして快楽を貪り続ける。晴夫の意識もその手にあわせて腰を浮かべ、膣の筋肉を操り、美紀の手を受け入れていた。
「あ゛っ、あ゛あ゛あ゛っ、キたっ、なんか、スゴイのキてるっ!!イっちゃうんだ、美紀ちゃんのカラダで、美紀ちゃんとして、美紀ちゃんの心と、ボクの心が、一緒にっ……!」
(ああっ、ダメ、目の前が、バチバチ、チカチカしてっ……! わたしっ、イっ……!)
「(あっ、ああああぁぁああぁぁっ!!!)」
美紀の脳内と喉、両方から同じく声を上げ、腰をビクッ、ビクンッと跳ねさせて絶頂を迎えてしまう。
股間からはプシャッと液体を噴き出し、飛沫が鏡に掛かる。
そのままペタンと力なく床に倒れこみ、荒げた息を何とか整えようとしていた。
「はぁーっ、はぁーっ、ふぅー……ふふっ、うん、いい感じ、順調、だよ……」
晴夫は美紀の声で満足そうにそう呟き、美紀から両手の支配権を奪い返して下着を整え、服を着なおす。
絶頂の衝撃で力が入りにくくなった身体を何とか動かし、美紀の肉体は浴場へと歩き出した。
「あ、美紀、お風呂先はいったよ?」
「お姉ちゃん入ってたんだ、残念。一緒に入ればよかった」
「お、嬉しいこと言ってくれるね、今度一緒に入ろっか?」
「やった!」
他愛ない会話をして真紀を見送り、更衣室に一人になる。
鼻歌を歌いながら再び着ていた服を脱ぎ、下着姿になった。
「ふふん、お姉ちゃんとお風呂の約束までしちゃったね」
(やめてよ、お姉ちゃんにまで手を出さないで!)
「そんなこと言って、お姉ちゃんの裸に興味あるでしょ?パジャマ越しに見てもあの身体つき、あれは絶対エロいよ?『妹』の美紀ちゃんならあの身体を見放題、上手くいけば触り放題だよ?」
(う、うるさいっ!!)
一瞬でも頭の中に浮かんでしまった欲望をかき消すように心の中で声を荒げる美紀。
晴夫が美紀の抱える葛藤全てにほくそ笑んでみていることを、未だ彼女は知らなかった。
「ま、お姉ちゃんとのお風呂のことは一旦置いといて、さっさと身体流しちゃおっか。さっきのオナニーのお陰でおまんことショーツがぐちょぐちょで気持ち悪いんだよね」
(…………)
そういって全裸になり、風呂場に入る。先に真紀が入っていたこともあって、部屋は既に暖かかった。
そしてなにより……
「あぁ……すっごいなぁ……真紀お姉ちゃんの残り香がするよぉ……! すぅーっ……はぁーっ……」
(……や、やめてよ……)
抵抗する美紀の声は先ほどより確実に弱々しくなっていた。
晴夫は当然のように美紀の意思を無視して深呼吸を続ける。真紀の残り香に興奮してしまっている様子で、美紀の股間からは粘ついた液体が太ももへと垂れだしていた。
続いてお湯を掬い、身体に塗りたくりはじめる。
「ああぁっ、真紀ちゃんの残り湯が、あのエッチな身体が浸かったお湯が、今美紀ちゃんの肉体に染み込んでるよ……!」
(わ、私そんな変態じゃないっ……!)
「ホントにそうかい?美紀ちゃんのこの身体はこんなに興奮してるのに?」
(それはっ、貴方がっ……!)
「実はね、おまんこの支配権、美紀ちゃんに返してるんだ」
(…………!?)
美紀の意識はハッとして感覚を確かめる。トロトロと液体を垂れ流すそこが、自分の意思で動いていることを確かめてしまう。
それは晴夫に操られているのではなく、美紀自身が興奮しているという事実として、彼女自身に突きつけられてしまう。
……厳密には股間以外は晴夫に操られているため股間自体もいくらか影響を受けていて、晴夫は支配権を返すことでその責任全てを美紀へとなすり付けていたのだが。
「じゃあ美紀ちゃんの望みどおり、今度はボクが美紀ちゃんのここ、慰めてあげるね?」
(ちがう、こんなの、ちがうのっ……! あぁっ……!)
「ふふっ、気持ちいいだろう?ボクもさっき身をもって美紀ちゃんのイイ所、教えてもらったからね? お゛っ、ここだっ……!」
その手は先ほど美紀がしたのと似た手つきで股間を刺激する。ヌルヌルになってしまっているそこは、更に一度絶頂したせいで感じやすくなっているようで、先ほどより大きな快感が身体中を流れだしていた。
シャワーを出すと、身体にお湯がかかる感覚すら快楽と感じてしまう。それどころか、今の美紀には自分という存在がこの瞬間に感じている全ての感覚が快感へと変換されて伝えられているのが分かってしまう。
「すごいっ、身体中が、気持ちいいで一杯になって、頭のなかがぁっ、幸せで、ぷわぷわしてきたっ……!!」
(だめぇっ、こんなのっ、こんなの絶対だめなのに、ちがうのにぃっ……!!)
快感と同時に多幸感が脳に流れ込み、浸されてしまう。しかし頭の中に流れる多幸感は晴夫にとっては支配する幸福を、美紀にとっては支配される幸福を、それぞれ違った形で魂に刻み込まれていく。
興奮と幸福の渦の中で、晴夫は美紀の身体への支配感を強めるべく、股間に指を差し込む。そして美紀はほぼ無意識に、まるで支配されるのを望むかのように晴夫の指を女性器へと抵抗なく呑み込んでしまっていた。
晴夫は先ほど美紀がしたよりも強く、ぐにぐにと指を膣肉に擦り付ける。気持ちよさと幸せが身体の中にどんどん滞積し、自分と、美紀が、一緒に溜まった感覚のなかに沈み込んでいくような感覚を感じ、更に深く深くを目指して手を強く動かす。
「あ゛あ゛あ゛っ、い゛い゛よ゛ぉっ、みきち゛ゃんの、お゛まんこ、き゛ぼぢいぃ゛よぉ゛……!!」
(あ゛あ゛あ゛っ、だめ、だめえ゛っ、きもちいぃ゛がとまん゛ないよぉ゛……!!)
晴夫も、美紀も、理性のタガは完全に外れ、美紀の肉体はただただ欲望の渦に溺れ沈んでいく。
風呂場にはシャワーの音と、美紀の股間から流れる淫靡な音、そして彼女の喘ぐ声が反響していた。
なおも刺激を続ける股間からじょぼじょぼと落ち続けるのはシャワーのお湯なのか、それとも……
遂には立ってすら居られなくなり、膝立ちになるも、なおも股間を弄る手は止まることを知らなかった。
「(あ゛-っ……い゛い゛っ、イ゛ぐっ、イ゛っぢゃうっ……ぎっ……! ぁ……)」
絶大な快楽と多幸感に包まれたまま、遂に美紀の肉体は絶頂を迎えてしまう。
同時絶頂を期に、頭の中の美紀と晴夫の使う美紀の口は全く同じ言葉を放ち、互いに肉体の快楽に浸っていた。
しばらくの間、美紀は放心状態で息を荒げその場に座り込んでいた。
このとき互いに絶頂した美紀の身体を操る余裕はどこにもなく、二人の意識はその身体の中でただただ心地よい余韻を味わっていた。
「はぁ、はぁっ、ふぅーっ……美紀ちゃんの身体って、ホンットに気持ちいいよね……ボク美紀ちゃんのこと、ますます気に入っちゃったよ……!」
(わ、わたしの身体って、こんなに……きもちいいんだ……! ……ふふ)
美紀の心が笑ってしまったことに、彼女自身は気付いていなかったが、晴夫は確かに美紀の心の笑む声を聞いていた。
しばらくしてやっと落ち着き、身体を洗いはじめる。
途中途中で晴夫が美紀の手で身体を撫で回していたが、美紀の意識は特に抵抗することはなく、甘い快感が身体を駆けていった。
「美紀ちゃんの髪は短くていいねぇ…… 真紀ちゃんみたいに長かったら結んでって言うところだったよ」
(髪、湯船につけないでよ?)
「わかってるわかってる。大事な美紀ちゃんの身体だから、ボクだって大事にするよ……あぁー……お風呂の感覚も違うなぁ……」
言いながら美紀の身体は湯船につかる。美紀の肌は元の晴夫の肌より敏感なようで、お湯の温かさを身体に伝わると美紀の喉は溜め息のような声をあげていた。
ちゃぷちゃぷとお湯を手で掬いながら、腕にかけてみたりして身体の感覚を確かめている様子だ。
「すっごい、お肌すべすべで、お湯弾いてる。若くてハリがあって、やっぱり美紀ちゃんいいなぁ…… それにおっぱいも、平均よりちょっと大きいんだよね? お湯に入るとプカッと浮いて、これいいなぁ……」
(ちょっと、あんまり胸で遊ばないでよ……んっ……)
少し浮いた胸を持ち上げ、いやらしい手つきで撫で、乳輪の辺りをクニクニと刺激するという、先ほどまでの美紀なら声をあげるはずの痴態に、美紀の意識はさほど大きな拒絶を示さなかった。それは諦めなのか、それとも……
お湯で温まり、興奮で更に温かくなった美紀の身体は熱い吐息を吐きながら、お湯の中で身体を弄りはじめる。
普通の女の子の身体なら、先ほどのような強烈なオナニーを繰り返し2回も行っている以上体力など持つはずもなかった。だが美紀は陸上部のホープ。勿論体力も十全に鍛え上げられており、その事実が仇となって3度目となる今でも音を上げる気配はなかったのだ。
「凄いよ、美紀ちゃんの身体、まだ発情してくれるんだ……! んぁっ、あぁ、きもちいいよぉ……」
(だ、ダメだって……この後、お母さん、入るんだよ……!?)
美紀は抵抗するものの、暗にこの後母が入りさえしなければ構わないというような口ぶりになっていることには気付かない。
段々と、晴夫に心を許しはじめてしまっていることに、晴夫の心に侵食されていることに、未だ彼女は気付けていないのだ。
結局湯船での行為を止めることは出来ず、もう一度絶頂した後やっと美紀はお風呂から出ることができた。
お風呂を出て身体を拭くと一言。
「そういえば下着ってどうやって着るの?着るのは知ってるけど着方までは知らないや」
(……代わって)
「じゃあ代わるよ…… ……っ!ホントに全部代わったのね……」
晴夫は美紀の主導権を全て返した。その口も、身体も、何もかもが、今だけは美紀が動かすことができた。
とりあえず下着を身に着け、パジャマを着る。
……そろそろかなと思ったが晴夫が美紀の身体の支配権を取り返す気配がない。眠ってしまったのだろうか。
しかし3度も自慰に励んだ影響か、身体の火照りだけは未だに小さな炎として燻り続けていた。
とにかく部屋に戻ることにし、階段をのぼっていく。部屋に着くと、ベットに腰掛け、一息つく。
「……ぁっ……私、だ……」
ふと、鏡に映る自分の姿が気になってしまう。
サラサラの髪、パッチリ開いた瞳、整った顔立ち。晴夫という男が狙い、欲した『自分』が、つまるところ魅力的であるのだという事実を強く意識し、そういう前提で自分の顔をまじまじと眺めてしまう。
「かわいい……」
そう思って見つめれば見つめるほど、自分への愛おしさが募ってくる。自由に自分の身体を動かせる時間だって、少ないかもしれない。本当に大切なものは、失くして初めてその大切さに気付く。その通りなのかもしれないなどと思いながら、自分の顔を撫ではじめた。
ぷにっとした頬、透き通るような肌、柔らかい唇、触れば触るほど、美紀という少女に魅入られていく。
今日何度もしたように心臓は早鐘を打ち、血流が速まり、身体中が熱くなっていく。自分がこんなに興奮しやすいのだという事実が、身体から突きつけられているようで、しかしなぜか心地いい。
「はぁーっ、はぁーっ……あぁ、私、私っ……!」
愛おしさが溢れて、ぎゅーっ、と情熱的に身体を抱きしめる。自分の体温が自分に伝わり、肌と肌の触れ合う感触が堪らなく心地いい。
胸からは腕に向かって、ドクン、ドクンと心臓の鼓動が伝わっていた。
こんなにも素敵で魅力的な『私』を、手放したくない。美紀は今心の底からそう思っていた。
堪らず息を荒げたままパジャマのボタンを外しはじめる。ボタンは容易く外れ、下着を残して上半身が露になる。
うっすらと筋肉のついて、しかし綺麗な線を描く身体。自分が毎日毎日、手塩にかけて育ててきた瀬川美紀という少女の肉体が、鏡の前に映る。
「私って、こんな素敵な身体してたんだ……! なんで、こんなことに、気付かなかったんだ……!」
なんと勿体無いことだろうか。そう思いながら、お腹を、肌を確かめるように撫でる。押す。
若く、しなやかな筋肉が、ハリのある肌が返す感触に、腹に指が触れる感触に酔いしれる。
先ほどは晴夫に支配権を奪われ、自由に触れなかったから。その鬱憤からか美紀は執拗に身体を撫で、悦に浸っていた。
「はぁっ、はぁっ……! あぁ、私かわいい、かわいいよぉ……!」
自然と息は荒くなり、それでもなお美紀による自身への愛撫は続いていく。
自分が魅力的だと知ってしまったがゆえに、そしていつもう一度奪われるか分からないゆえに。自分の身体を、その感覚を確かめるように全身を撫で続けていた。
心は完全に美紀という存在に魅了され、上気し紅潮した顔を鏡の前に晒す、眼を潤ませ、荒く息を吐く自分の顔は想像以上に魅力的で、鼓動が高鳴ってしまう。
もっと自分を感じたい、もっと自分を味わいたい、もっと色っぽい顔を見たい。そんな気持ちで一杯になった美紀の手は、自然とブラの中に潜り込んでいた。
開いた手で、むんずと胸を鷲掴みにする。柔らかい感触と、胸を掴まれている感触が美紀の頭に流れ込む。
興奮のままに、その手で胸をグニグニと揉みしだく。荒い手つきに少しずつブラはずれ、乳首が外気に触れるが、美紀はもはや気にしていない様子だった。
「あぁっ、きもちいいっ、私の身体、こんなにきもちいいんだっ……!」
それは感動の声だった。晴夫によって目覚めさせられてしまった性感を、なぞるように刺激していく。
乳輪にクニクニと力を入れると、乳房の神経一本一本が敏感に反応し、ゾワゾワとした快感が背筋を駆け巡って、思わず背中を反らしてしまう。
乳首をきゅっと摘むと、痺れるような快感に身悶えし、甘い声が溢れてしまう。
「だめ、私、もう我慢できない……! なんで、こんなにエッチになっちゃってるの……!」
欲望を露にし、快感を受け入れようとする自分を責めてはみるものの、発情した身体はもはや止まることを知らず、遂にパジャマのズボンを脱ぎ捨ててしまう。
荒げた息、興奮した身体のまま、ショーツをきゅっと引き上げると、女性器のスジがあらわになる。
3度の絶頂を以てしても未だ衰えることなく、むしろムラムラと欲求を募らせるそこに、恐る恐る指を這わせる。
「ぁぁっ……!!」
興奮しきったそこは、ショーツの上からでも分かるほど湿り気を帯び、触れた瞬間指からはクニュッとした柔らかな膣肉の感触が、ショーツと女性器からはぬるりとした粘液の感触が現れ、それらが快感となって美紀の全身に襲い掛かる。
喉から思わず声がこぼれてしまう。その声は完全に感極まったメスの声で、自分のモノの筈なのに美紀の心はその声にも魅了されてしまう。もっと聴きたい。もっと、このスケベな女を鳴かせてやりたい。そういう思考に心が染まっていくのがわかる。
想いが強くなればなるほど手の動きは早まり、ショーツ越しにも関わらず股間からいやらしい音が漏れはじめる。
「あぁぁっ、私、今凄いエッチな格好して、凄いエッチな音立てて、凄いエッチなことしてる……!」
鏡には少し虚ろな眼で上半身をはだけ、クチャ、ニチ、と音を垂れ流しながらいやらしく指を動かして股間を弄り回す自分の姿が映っている。
暇していた左手も遂に乳首を捏ねはじめると、その顔は更に上気して甘い声をあげ続ける。
普段の美紀では考えられなかったほど激しい自慰行為。しかしまだ足りない。
晴夫のせいで更に深みにある快楽の味を知ってしまった美紀にとって、いつも以上であるはずの今の行為さえもはや前戯に過ぎず、遂にショーツを脱ぎ去ってしまう。
女性器があらわになり、美紀はそれを鏡の前に映し、興味深そうに見つめる。
「これが、私のおまんこ……すごい、こんなにまじまじと見たの、はじめてかも……ホントに穴なんだ……、ピンク色で、綺麗……って当然か、昨日まで指すら挿れたことなかったんだし…… ここを、ぐにぐにしたら……ひゃあぁっ……!」
トロトロと粘液を垂らして待ち構えるそこに指を挿し込む。じわーっ、と快感が性器を走り回り、身体が、心が桃色に染まっていく感覚に酔いしれる。
入り込んだ指はそのまま桃色の肉をぐにぐにと刺激し、その感触を存分に味わう。
ビク、ビクッと身体が震え、触れれば触れるほど股間を基点として神経が尖り、感じやすくなっているのが分かる。
「あぁっ……凄い、これっ……こころが、ぷわぷわしてっ……!」
先ほどの自慰でも感じた多幸感が、美紀の脳に流れ込む。自慰という行為そのものを、美紀という少女であることそのものを、全てを幸福なことだと認識する。そう思えば思うほど手の動きが早まり、クチュクチュと先ほど以上に淫靡な音が部屋中に垂れ流されていく。
もっと、もっと。美紀の身体は既に止まることなどできず、その指を出し入れしはじめる。
クチュクチュだった音はグチュグチュと、更にいやらしいものに姿を変え、美紀は深く、より深くの快楽に沈み込んでいく。
身体は既に美紀のコントロールなどどうに抜け出し、ただ快楽を貪る器と化しており、更につい先ほどまで生娘であった美紀にこれを止める手段など持ち合わせておらず、快楽の放流に流されるしかできなかった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ……! きもちいい゛っ、私のおま゛んこ、きもちいい゛よぉっ……! わたし、おんなのこに産まれて、よかったっ、美紀に、産まれて、よかったぁ゛っ!!」
ピュッと出すだけで終わってしまう、男なんてものの何倍も、何十倍も気持ちいい。何十倍も幸せだ。そう考える美紀。産まれた瞬間から女の子として産まれた彼女がなぜ男のことを知っているのかなど、快楽の奔流に呑まれている彼女が気付く筈もなく美紀は純粋に自らの快感を愉しんでしまっていた。
「はっ、はぁっ……ぅぁ、クリ、勃ってる……! 待たせて、ごめんね……?」
指をいやらしく出し入れしていた穴の上で、興奮の渦に陥った美紀の肉体はその淫核に血流を集め、そこは触れと謂わんばかりに勃起していた。
完全にブレーキの壊れた美紀は躊躇せず、淫核へと手を伸ばし、人差し指で押してみる。
「ッ……!! かひゅっ!? はっ……!? はーっ……はーっ……!」
瞬間、今まで股間で溜め込んできたモノが一気に弾け、稲妻のような快楽が全身を駆け巡る。
一瞬で全身を反らし、瞬間、呼吸すらままならなくなってしまう。
口をパクパクさせ、ようやく呼吸を整える。
「凄い、私の身体、凄すぎ……! あはっ、あはははっ!! ああぁんっ」
愉しくて仕方なかった。こんなにも可愛くて、引き締まってて、瑞々しくて、その上でここまで気持ちいいなんて。私は、美紀は、こんなにも素敵な女の子なのだということを、この身体を自由にできるという事実に思わず笑ってしまう。
もはや喘ぎ声を抑える気すら起きず、むしろ自分を誘うべく積極的に甘ったるい声を出し続ける。
膣には指を出し入れし、淫核はクニクニと摘んで、美紀という女体の快楽に存分に酔いしれる。
刺激すればするほど、快楽は鋭さを増し、目の前がバチバチと白くなり、意識がトびそうになる。
瞬間、何かが混ざってくる感覚がするが、絶頂まで一直線の美紀にそれを意識することなどできない。
「(あああぁっ、やばいっ、きた、きたっ、キちゃったぁっ!! ダメぇっ、わたしっ、イっちゃっ!! ひゃああぁっ!!!)」
プシャアッ、と勢いよく液体を垂れ流し、身体を反らしたまま美紀は4度目の絶頂を迎える。
今日最大の絶頂は余りにも強烈で、美紀は仰向けに床に倒れ、股間からはなおも液体を垂らしながらビクビクと痙攣を続けていた。
「はぁ、はぁっ……ふふっ、うふふふっ……!」
快楽の余韻に浸りながら、美紀は思わず笑ってしまう。素敵な身体に、素敵な快感に。
そうして余韻を味わっているとふと意識が暗転した。晴夫が美紀の支配権を取り返したのだ。
「はぁ、ふぅーっ……、いやぁ、気持ちよかったよ、美紀ちゃん。やっぱり美紀ちゃんの身体、魅力的で素敵で気持ちよくて、最高だよね。これからもボク達で大事に使っていこうね?」
(まさか、全部見てたの……?)
「美紀ちゃんが寝るつもりだったらもう1回乗っ取って一発ヌくつもりだったんだけど、美紀ちゃんがこの身体でオナってくれるなんてね。ホントよかったよ。ウブで可愛らしくて。」
(そんなっ……そんなの……!)
「しかし美紀ちゃんの身体ってホントに凄いね?長い間陸上で鍛えてきたお陰だろうけど、4回もオナニーしたのにまだ体力が余ってるんだね?じゃあこのまま、一緒に5回戦、始めちゃおっか! あんっ……」
(うぅ……)
未だ露になっていた股間に、晴夫に奪われた美紀の指が差し込まれる。度重なる自慰の末、それでも体力の有り余る美紀の肉体は、その神経は指を差し込まれた股間から忠実に快楽を脳に伝えてしまう。
その時点で夜の10時であったが、美紀の肉体が晴夫の欲望から解放されたのはその約4時間後の深夜の2時であった。
「ううん……うわ、はや……」
目覚ましが鳴り響き、美紀が目を覚ます。時刻は朝の5時を指していた。
3時間しか眠っていないために恐ろしく眠い目を擦りながらむくりと起き上がる。
「そっか、美紀ちゃん朝練があるんだっけ」
(そうよ、早く準備して……)
「やーだ」
(……え?)
「へへっ……んっ……」
(やっ、ちょっと、何して……!)
きゅっとパンツを引き上げ、股間の感触を愉しむと、そのまま美紀は部屋を出て脱衣所に向かう。
おもむろに服を脱ぎ捨て、そのまま風呂場に入っていったのだ。
(ねえ、ちょっと、何してるの!?)
「昨日オナりすぎてパンツもおまんこもべチョべチョだったろ?だから洗うの」
(……それは、確かに……)
シャワーを流し、身体を洗い始める。……が、晴夫がそれで終わる筈もなかった。
「んぅ、あぁんっ……」
(ゃん、ちょっと、何して……!)
「身体洗ってたら興奮しちゃった。はぁーっ、やっぱり美紀ちゃんのおまんこきもちいいよぉ……」
(ぁんっ、こんな朝から、だめぇ……)
「朝練なんてやめて、ここでずっとオナってよっと……あぁーっ……最っ高……」
(んやぁ、そんなに、激しく弄らないでぇ……)
またも晴夫は美紀の身体を貪り尽くす。陸上に全てを費やしてきた美紀が朝練を欠かしたことはなかったのだが、今日この日、彼女は初めて朝練をサボった。
そして何よりそんな強固な心を持っていた美紀が、快楽の味にほぐされ、サボることに一切否定的な感情を抱かなかったことに、美紀自身特になにも思わなかったのだ。
結局シャワーを浴びながら自分を慰め、風呂を上がるとリビングには真紀の姿があった。
「あれ、美紀今日は遅いね」
「うーん、今日はちょっと調子わるくて」
〔おまんこの調子は抜群に良かったけどな。体力も尽きないし、やっぱり美紀ちゃんの肉体は最高だよ〕
(そういうこと、絶対口からは出さないでよ!!)
目の前で真紀と、頭の中で美紀と会話しながら朝が過ぎていく。朝食を食べ、ゆっくりと準備して学校に向かう。
学校に向かう途中、一人の女生徒が視界に入る。彼女は滝本 真弓、美紀の幼馴染であった。
美紀はゆっくりと近づき、がばっと真弓に抱きついた。
「真弓ぃ、おっはよ!」
「ぅわ、美紀!?」
〔ぐふふっ、真弓ちゃんもだいぶ可愛いねぇ。このまま真弓ちゃんの肉体の中に乗り換えちゃおっかな?〕
(真弓にまで変なことしないで!)
〔ふーん、じゃあこのまま美紀ちゃんの肉体に居座らせてもらうねぇ……〕
実際真弓は美紀とは違う種類の美少女であった。綺麗な黒の髪を長く伸ばし、真弓と違い運動も嗜む程度のため余り筋肉もついておらず、抱きついた感触も柔らかさに包まれていた。何より胸が美紀より遥かに大きかった。柔らかかった。
「美紀が遅いって珍しいね、今日朝練ないの?」
「んー、色々シてたらちょっと寝不足で……」
(ちょっと!!)
言葉のニュアンスに美紀の精神が思わず声をあげるが真弓は気付いていない様子だった。
そのまま美紀として真弓に抱きついたまま、二人は学校へと向かっていった。
少し無理な体勢で進んでいたが美紀の肉体が鍛えられているせいで難なく歩けていた。
「真弓の髪すごいいい匂いする……すーっ……はーっ……」
「ちょ、ちょっと、恥ずかしいよ……」
(な、なにしてんの!)
〔え、いいじゃん別に。それに真弓ちゃんも満更でもなさそうな感じだよ?〕
(それは私の身体でしてるからでしょ!!)
〔ぐふっ、じゃあ尚更美紀ちゃんの身体、気に入っちゃったなぁ……〕
そうこうしているうちに学校に着いてしまう。真弓にくっ付いたままだった為クラスメイトに会うごとに茶化されたりしたが結局離れることなく教室に着いた。その頃には真弓は真っ赤になっていたのだが。
晴夫は徹底的に美紀になりきり、話しかけてくる子達に美紀として会話を返していた。
(なんで、そんなに、私のこと……)
〔あれ、言ってなかったっけ?昨日美紀ちゃんと二人で共同オナニーしまくった時にボクの魂もだいぶ馴染んじゃったみたいで美紀ちゃんの頭の中から記憶も引き出せるようになったんだよ。いくら君の事が大好きなストーカーでもボクが話したらボロがでるからね、昨日中にここまで仕上がったのはラッキーだったよ。これも美紀ちゃんの身体が何回もイける素敵ボディだったから、だよ!鍛えててくれて、ホントありがとう!〕
自分の身体が鍛えられていたせいで他の子に晴夫の存在が見つかるタイミングが消えてしまったことを知り、悲嘆に暮れる美紀。一方晴夫は美紀の記憶を自在に読めることに気をよくし、彼女の記憶を勝手に閲覧して少しずつ情報を奪っていた。
チャイムが鳴り、授業が始まるまで、結局誰も気付くことなく美紀は晴夫に成りすまされてしまっていた。
先生が教壇に立ち、授業が始まってしばらくすると、美紀の意識はふと違和感を感じる。
(あ……れ……?)
〔ん、どしたの?〕
(私、え、なんでこんなに分かるの……?)
陸上に専念してきたがゆえに、勉学における美紀の成績は褒められたものではなかった。ゆえに美紀は今の、黒板に書かれた数式が、先生の放つ言葉の意味をきちんと理解できている自分に強い違和感を覚える。
読めるし、分かる。見た瞬間に、必要な要素や解法が浮かび上がる。一瞬で頭が良くなったような気になっていた。
〔ああ、ボクの記憶が君の脳に馴染んだからでしょ。一応国立大卒だからね。これくらいなら当然分かるよ〕
(え、私の、頭の、中に……?)
〔そうそう、ボクが君の記憶を読めるわけだし、君の脳みそにボクの知識や記憶が刻まれてもおかしくないよね。でもホントに全部入っちゃってるから、あんまり意識して変な記憶読まないほうがいいよ?〕
(そんな、私の、私の頭なのに……!)
〔んー、頭自体は良くなったんだしあんまり悲しまないでいいんじゃない?〕
(そう、そうなの、かな……?そう、かも……)
自分だけのものだったはずの脳に、他人の記憶が、知識が書き込まれる。それは自分という存在が奪い取られていることを示していた。はずなのだが、悲観しかけた美紀の頭の中は晴夫の一声でスーッと晴れていった。
自分の感情すら操作されはじめている事実に、美紀はもう気付くことすらできなくなっていた。逆に晴夫は自分の思うままに美紀の心を操れることを理解し、静かにほくそ笑んでいた。晴夫は遂に、美紀の身体だけでなく美紀の心まで乗りこなそうとしだしたのだ。
結局美紀は言われるまま、頭が良くなったという事実を呑み込んで嬉しそうに授業を受け続けていた。
その後も休み時間ごとに真弓にくっ付き、クラスメイトに茶化されながらも美紀の立場を堪能していく。
そうして放課後になり、美紀は部活の準備を始める。
(部活は行くの?)
〔ああ、美紀ちゃんの肉体には健康であってほしいからね。最低限の体力は維持するよ〕
(……そう)
〔ん、もしかして部活サボってオナりたかった?授業中に何回もトイレ行ってヤったじゃん〕
(ち、違うっ!違うからっ!)
美紀の身体は未だトイレで晴夫によって行った自慰行為の余韻のせいで火照り燻っていた。
必死に否定する美紀、しかし既に晴夫の意識に操られたことで美紀の中に自慰行為を行うことへの抵抗はなくなってしまっていた。
〔あ、そうだ。あれやってみよっかな〕
(……今度は何をするつもりなの……?)
「ねー真弓ぃ、ちょいちょい」
「なーに、美紀ー?」
(真弓に何するつもり……?)
美紀は手をクイクイ、と動かして真弓を呼び出す。真弓も特に抵抗なく美紀の前までやってきた。
「真弓、ちょっとごめんね?」
「え、どしたの美紀……ひうっ!?……」
(な、なにして、えっ、ひっ……)
真弓に一言いうと、美紀は額を真弓にくっつける。
真弓がうろたえている間に、美紀の額から晴夫が飛び出て真弓の中に入り込んだのだ。
ビクビクと痙攣する真弓と固まったままの美紀だったが、しばらくすると真弓から再び晴夫の魂が美紀の中に戻っていった。
「……ふぅー……上手くいったかな?」
(なに、真弓に何したの!?)
「〔くふふっ、見てれば分かるさ〕真弓、今日なんだけどね、私の部活終わるまで残っててくれないかな?」
「……ぁ、うん、いいよ。美紀が連絡くれるまで待ってるね」
「ありがと、じゃあ行ってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
いつもは真弓に待たせたりしない美紀からの突然の申し出に、真弓は二つ返事でOKする。
行ってきますというと少し頬を赤らめて送り出してくれる。明らかにいつもの彼女と何かが違っていた。
(ねえっ、真弓に何をしたの!?)
〔簡単な暗示みたいなものだよ。ボクの魂を一時的に真弓ちゃんの頭の中に乗り移らせて、真弓ちゃんの脳を刺激したのさ。で、ちょっとだけ美紀ちゃんの命令に逆らいにくくして、美紀ちゃんへの好感度を上げちゃった〕
(さっきのは明らかにもっと、なんていうか、こう、表情とか、態度とか、違ったでしょ!)
〔んー、ボクも初めてだったから、どのラインを超えたら恋になっちゃってるのか分かんないんだよね〕
素っ頓狂に応える晴夫。真弓はこの数秒で、彼の気まぐれによって美紀に恋する乙女へと変えられてしまっていたのだ。
美紀の身体はそんな真弓のことなど放っておいて部活へと向かっていく。
(戻してよ!私の身体から出られるんでしょ!?真弓の中に入って、戻してきてよ!!)
〔んー、それがねぇ、美紀ちゃんに長く入りすぎたせいなのか分かんないんだけど、ボク一人の力じゃ美紀ちゃんの身体から半径50cmくらいしか抜けられないみたいなんだよねぇ〕
(そんな……じゃあ早く戻って、真弓を元に戻してよ!)
〔え、やだよ。折角ボク好みの真弓ちゃんにしてるんだし。美紀ちゃんも別に好かれるならいいじゃん〕
(ぁ、ぇ……確かに、好かれるなら、別にいいかも……)
抵抗する美紀の魂を操作して抑え込む。美紀の魂は段々と彼に簡単にあしらわれるようになってきていた。
こうして美紀は真弓のことを置いたまま、部室へと向かっていった。
「あ、美紀おっすー」
「おー、おつかれー」
部室に入ると、美紀の友人らしき娘たちが声を掛けてくる。
部室はそのまま更衣室になっており、彼女らのあられもない姿がチラチラと眼に入ってくる。
しかし彼女らは皆晴夫の入った美紀を同性と認識し、そこに居るのが当然のように振舞ってくる。
美紀の肉体はゾクゾクとした悦びに打ち震え、同時に周りの女子達の柔肌をニヤニヤ笑って眺めていた。
(ちょっと、あんまり変な目で見ないでよ、変な子だと思われちゃうじゃない……!)
〔そんなこと言っても、結構気になってるよね?あ、あの娘のお腹綺麗だなぁ……お、あの娘おっぱいデッカ……!〕
(そ、そんなこと……あ、有紗ちゃんの下着可愛い……)
〔あははっ、やっぱ気になってるんだ〕
(ぁ、ぅ、ち、ちが……)
段々と言葉尻が弱くなっていく。意識が晴夫に影響され、思考が晴夫と混ざりつつある事実に未だ美紀は気付けないまま、その魂は少しずつ晴夫のものと混ざり合おうとしていた。
そうしているうちに準備を終え、部活が始まる。晴夫は美紀の身体を使いこなし、彼女の持つ高い性能を遺憾なく発揮していた。
〔ふふふっ、美紀ちゃんの身体はやっぱり凄いね!走っても走っても全然疲れないし違和感もない。よく馴染む、本当にいい身体だよ……!〕
(そんな、いつもの私と同じぐらい……!?うそ、うそ……)
その走り方も、何もかもが美紀がしていたものとよく似ていた。これは美紀が晴夫に影響されていたのと同じように晴夫が少しずつ美紀から走り方や習慣を吸いはじめていることが原因だったのだが、自分の身体を自分同様に使いこなす晴夫の姿に、美紀は動揺しそれどころではなかった。
美紀の能力を使いこなす晴夫はそのまま誰にも疑われることなく、完璧に美紀を演じたまま部活を終えてしまった。
部活を終えると、美紀は部室のある建物に備え付けられたシャワーを浴びていた。
本来の美紀は部活を終えると自主練に移行するためシャワーは帰ってから浴びていたのだが、晴夫の使う美紀は自主練をするつもりもなく、躊躇なくシャワーを浴びていた。
「ふぅーっ……この身体でするシャワーは前の身体の何倍も気持ちいいねぇ……」
(そんなに、なにか違うものなの?)
「部屋中に立ち込める甘酸っぱい女の子の匂い。柔らかく水を弾く綺麗な肌。すらっとして肉体。おっぱいの感覚に、何もない股間。若さと、性差。全部感じられるからね。この感じは癖になっちゃうかもしれない」
(そう、なのね……)
言いながら、美紀は一部くっ付いている晴夫の魂から記憶を参照してしまう。加齢臭で臭く、日ごろから不衛生な汚い身体。股間にある物体の感覚。その全てを『思い出して』しまう。
意識の中に嫌悪感が一気に広がり、そして現実の感覚を確かめる。晴夫の言うとおり甘酸っぱい匂いも、綺麗な肌も、女の子らしい身体の感覚も、全て心地よく、心から手放したくないと思う。
そう思ってしまった美紀に、晴夫が愛おしそうに身体を撫で回すその手を止めることはできず、股間からはシャワーのお湯に隠れて粘つく液体がこぼれ始めていた。
「あぁっ、我慢できないや、美紀ちゃん、いいよね? 一緒にシちゃおう……!」
(スるならっ……シてよっ……!)
火照る美紀の身体を止める者はもはやおらず、股間で手がくちゅりと音を鳴らす。
ゾクゥッ!と流れ込んだ快感に反応して身体中で桃色のスイッチが入る。混ざりかけた魂は双方の意識を脳に送り込み、二人の興奮が合わさった命令となって美紀の肉体は異常なほど強烈な発情状態に陥ってしまっていた。
美紀の身体は発情した雌と化し、股間と乳首をくにゅくにゅといやらしく刺激し続ける。
「(あんっ、ああんっ、はぁぁんっ!!なに、これ、こんなの、初めてっ!!)」
美紀の意識と晴夫の意識が、同時に言葉を発する。二つの美紀の声が美紀の中で重なり合い、美紀の中で反響していく。
弄る手は更に激しさを増し、乳首を摘んで伸ばしたり、女性器では指を激しく出し入れしはじめる。
「(あぁっ、ダメ、だめぇっ、あたまのなか、ぐちゃぐちゃになって、ボクと、私と、おかしくなっちゃうぅっ!!)」
言葉とは裏腹に、手は止まることを知らず身体を弄り続ける。
腰が砕け、ペタンと座り込んでしまうも、それでも弄る手は止まらず、くちゅくちゅ、くにくにと執拗に性感帯を責め続ける。
息を荒げ、たまにシャワーのお湯が口に入って喘ぎ声と共にがぼ、ごぼと声を漏らすが、それでも止まらない。止められない。
「(あっ、クる、キちゃうっ、わたし、イっちゃっ……あっ、あああぁぁぁああぁぁっ!!! ……ぁ、かひゅっ……)」
足をピンと伸ばし、背中を反らして絶頂を迎える。
視界が白く、バチバチと光り、全身が毒のように回ってしまった快楽に侵され動かなくなり、呼吸すらままならなくなる程であった。
「ぁ、っ……! ぜぇーっ!はぁーっ!はぁーっ……はぁっ……ふぅーっ……んしょ……うぉ、腰にキて、ふらついちゃうなぁ……」
何とか息を整えると、絶頂した身体にかかるシャワーの感覚を余韻と共に心地よく感じる。
手を性器から抜くと、その感触にゾクッと身体が震え、再びスイッチが入ってしまいそうになるのを何とか抑え、そのまま立ち上がろうとする。
フラフラしながらも何とか立ち上がり、シャワーで身体を洗い流す。股間からは未だ愛液が溢れ出ていた。
(……ん、はっ……! わ、私っ……そうだ、さっき……!)
「お、美紀ちゃんも目が覚めたんだ。いやぁ、気持ちよかったねぇ、ボク達二人でするオナニーはさ」
(……っ……!)
美紀はもう否定できなかった。晴夫に操られただけでなく、自分の意思で晴夫と共に自らの肉体を喜んで陵辱した記憶が未だに感覚ごと残っているからであり、今もなお鏡に映る瀬川美紀という少女の肉体への情欲が沸きあがってくるからだった。
今まで散々撫でまわされ、最初は気持ち悪いと思っていたはずの身体の感覚が、もはや心地いいと感じてきている。彼の意思に操られて火照り、燻らされる身体の感覚に、自分の意思も載せようとしてしまっているのがはっきりと分かってしまう。
「大っ好きだよ美紀ちゃん。これからもずーっと、一緒に居ようね……」
(……)
何度目だろうか、晴夫は美紀の腕で愛おしそうに美紀を抱きしめる。美紀の身体は本当に好きな人を抱きしめているかのように心臓が早鐘を打ち、身体が芯から火照っていく。その感覚が心地よく、安らぎすら感じられる。
自分を乗っ取っている晴夫に対し、その気持ちに、感覚に、段々と悪い気もしなくなって、美紀は何も言うことができなくなっていた。
瞬間、どろりと、何かが溶けてしまうような、そんな感触を感じながら、美紀は個室を後にした。
「あ、美紀じゃん、お疲れー」
「美紀がここ来るって珍しいね」
「んー、今日はそんな気分だったんだ」
シャワー室から出ると、声を掛けられる。他の部活の女子達がシャワーを浴びに来ていたのだ。
タオルで隠すもの、あられもなくさらけ出すもの、隠しているがチラチラ見えているもの、その姿は様々だったが、自分が疑い様なく彼女達と同じ性別として認識されている。この事実だけはゆるぎなく、美紀は股間がピクンと反応する感覚を確かに感じていた。
この股間の滾りが、もはや美紀のものなのか晴夫のものなのかは分からなくなっている。美紀の心も、彼と同じように美紀という少女の目に映る彼女達を情欲の眼差しでしか見られなくなっていたから。
「美紀はもう帰るのー?」
「んー。真弓待たせてるんだよね」
「あら、真弓ちゃんなら仕方ないや、お幸せにー」
「はいはい」
自分が視姦されているなどと考える筈もなく、美紀に近づいて話しかけてくる娘と適度に会話しながら服を着て、美紀はシャワー室を後にする。真弓にメールしたあと荷物を纏め、校門に向かうとそこに真弓が居た。
美紀の姿を見つけるととても嬉しそうに手を振ってくる。その顔が紅く見えるのは、夕焼けのせいなのだろうか。
「お疲れ、美紀!」
「うん、ごめんね?待たせちゃって」
「いいのいいの、ほとんど美紀が部活してるの見てるだけだったし」
「え、ずっと見てたの?」
「うーん、何でだろうね。何か美紀から目が離せなくて……それに美紀、かっこよかったし」
にへーっ、と笑ってそう言う真弓。頬はやはり紅く、眼は少し潤み、夕日に反射してとても綺麗だった。
その姿にトクンと心臓が高鳴ってしまう。
〔ボクさ、真弓ちゃんのこと、気に入っちゃったよ……!〕
(……え?何する気……?)
「真弓……」
「ん、どうしたの美紀? え?」
美紀は真弓の手を掴むとそのまま彼女を引き寄せ、耳元で囁く。
「真弓の家、今日両親は?」
「ぃ、居ない、よ……」
「今日さ、真弓の家、行っていい?」
「ぁ……わかった、良いよぉ……」
耳元で囁かれる美紀の言葉に真弓は目をトロンとさせて頷き、身体を密着させたまま二人が別れる筈の交差点で真弓の家の方向に歩いていく。
お嬢様ゆえか、真弓の両親は多忙で、家に居ないことが多い。美紀の家には母も姉も居るから真弓の家を選んでいた。美紀と真弓の二人だけの家の中、二人は真弓の部屋へと向かう。
そのまま向かい合って、ベットに座る。
(まさか、真弓を犯す気!?)
〔あははっ、それは違うよ。一方的じゃない。ボク達は今から愛し合うんだからね。それに、この身体だってそれを求めてる。君だってそうだ。違うかい?〕
(……っ)
美紀の思考も、そのカラダも、確実に晴夫の精神の浸食を受けており、真弓のことが気になって仕方がなかった。
幼馴染で親友の真弓に対し、先ほどの更衣室で他の女子を見た時と同じように情欲が湧き上がってくる。
カラダの奥から熱が溢れ、股間がキュンと騒ぐ。何より美紀自身が真弓に対して湧き上がる欲求をぶつけたいと思ってしまっている美紀の心を偽ることはできず、そのカラダに湧き上がる興奮も自分のモノのように感じてしまっていた。
「真弓の部屋ってさ、凄い真弓の匂いするよね……すぅーっ……はぁーっ……」
「は、恥ずかしいよ……」
「そんなことないよ、真弓すっごい良い匂いだもん…… 特に、あぁ……! 真弓のベット最っ高……!」
(あっ……これ、すごいっ、いい匂いっ……!)
「……っ!」
ぼふ、と美紀がベットに顔を埋めるのを見て、真弓はゴクリと喉を鳴らす。
好きの感情を持った真弓は、無防備にその肢体を晒す美紀に劣情を抱いていた。
そんな時、美紀が口を開く。
「いいよ真弓。来て?」
「い、いいの……?部活で疲れてないの?」
「だーいじょうぶ。ねぇ、私に、真弓を、頂戴?」
(シちゃうんだ、私、今から真弓とシちゃうんだ……!)
部活動、そして先ほどの異常なまでに激しいオナニー。しかしそれらを以てしても美紀の身体は未だ体力を残していた。美紀の中で晴夫は彼女のことを心から賞賛していた。鍛え上げられた、尽きることないほどの絶大な体力、強烈な性感。セックスの為に産まれたような、まさしく理想の肉体だ。と。
誘われるまま真弓は美紀に覆いかぶさる。長い髪がいくらか美紀にかかり、シャンプーの匂いがふわりと香る。
顔が近づき、互いの吐息が顔に当たる。当たった箇所からじんわりと身体が熱くなっているのを感じる。熱さはそこからゆっくり広がり、身体中に伝わっていく。
「美紀……んっ……」
「真弓……ちゅ……」
どちらともなく、口付けを交わす。互いに甘い女の子の香りが鼻腔に広がり、柔らかな感触を唇に感じる。
しばらく唇をつけたまま互いの感触を確かめ合い、ゆっくりと唇を離す。
「真弓、私、ファーストキスだよ」
「そっか、私も。初めてが美紀で良かった……」
美紀の初めてはこうして晴夫に奪い取られた。そして真弓の初めても、彼女を歪めることで晴夫が奪い取ってしまった。
しかし既に咎めるものは誰一人としていない。美紀の心はほとんど晴夫に共鳴し、彼の意思と同調しはじめていたからだ。
真弓はそんな美紀の中に見ず知らずの、ましてやつい先日まで彼女のストーカーだった男が入り込んでいることなど気付く術もなく、そのまま再び唇を重ねる。
「んっ……ちゅ、ぱっ……あむっ……」
「んぅっ、れろ……はむっ……」
(あたまが、ぷわぷわしちゃう……わたし、おかしくなっちゃってるぅ……)
先ほどの確かめ合うキスとは違う、互いに求め合うキス。舌をくねらせ、唾液を交換していく。部屋には二人の声と共に唾液のにちゃ、ちゅぽ、と粘液の音が響いていた。更に舌は互いの口の中へと侵入し、舌の根を、歯茎を、歯を、頬の内側を撫で回す、舐め回す。
柔らかい感触に身体が震え、心が騒いで、そのまま抱き合って身体を押し付けあう。胸の感触、互いの身体の感触、全てが愛おしくて、煽情的で、抑えられなくなって身体をすりすりとこすり合わせる。
二人の中で幸せの感情があふれ出し、互いの存在そのものを求め合う。美紀の心も例外ではなく、わずかに残った理性すら霧散してしまう。
「ぷはっ……はぁっ、はぁっ……服、邪魔だね……真弓、脱がしてよ……」
「はぁ、はぁっ、じゃあ、美紀も、脱がしてね……?」
先に手を動かしたのは美紀のほうだった。制服のボタンを外し、するりと降ろすとたわわな乳房を包む水色の下着が露になる。水色のそれはちょくちょく制服に透けていたのが、美紀の記憶から思い起こされる。今それが目の前にあるという事実に、美紀の身体は、晴夫の心は、そして美紀の心も、激しく興奮していた。
続いて真弓も待ちきれない様子で美紀の運動着のジッパーに手をかける。ジジジ……っと音を立ててジッパーを降ろすと、真弓はおもむろに鼻を近づけてきた。
「……あれ……汗のにおい、しない……えっ?」
「え、嗅ぎたかったの……?」
「でも、え、部活、だったんだよね?え?」
「ぷっ、あっははっ! 最初から真弓とこうするつもりだったから、終わった後にシャワー入ったよ!」
「ふぇ……そんなぁ……」
「最初だもん、綺麗な状態でシたかったの。……でもね、真弓が嗅ぎたいのなら、今度は汗だくの私と、シよっか……?」
「美紀……っ、みきぃっ、大好きぃっ!!」
「(ぁっ、ちょっとぉ、まだ上しか脱げてな……ゃんっ……!)」
真弓は美紀の肢体を持ち上げ、スリスリと擦りつける。互いのスベスベした肌の感触が心地よく体温を伝え合う。そのまま真弓は美紀と自分のブラのホックを外し、おっぱい同士を重ねあわせた。
互いの身体についた胸と目の前の相手の胸が揺れ動き、その柔らかさを伝えてくる。乳首が触れ合うごとに甘い電流が胸を中心に全身に駆けていく。
「ぁあぁっ、我慢できないっ、真弓ぃっ……!」
「ふぁあっ、これ、美紀の音だぁっ……!」
美紀が真弓に強く抱きつくと互いの胸が潰れあい、肌の奥で鼓動する心臓の音が伝わりあう。
ドクッ、ドクッと力強く興奮をあらわにした心音は、互いが興奮しているという事実を互いの肉体に伝えてくる。
しばらくして身体を離すも、未だ名残惜しいのか互いの手を相手の胸にあて、心音を確かめながら空いた手で身体を撫であう。心音は更に強く、速くなり、互いの手もスリスリと静かに音を立てながら互いをまさぐり続ける。
女同士故の背徳感と優越感が入り混じり、ゾクゾクと身体が震えてしまう。
「ぁ、すごい、美紀の身体、鍛えられてて、ぅぁ、これ、筋肉だよね、すっごい……綺麗……好き、すきぃ……」
「(真弓だって、私と違って、柔らかくて、スラッとしてて、この触り心地、すごい良い……)」
互いに互いの身体をうっとりとした表情で撫であい、褒めあう。実感するごとに真弓の中に植え付けられた好きの感情が真弓の意識と、身体と重なり合い、馴染み、彼女本来の感情として完成してゆく。
一時的な、与えらえれただけだったはずの感情は、行動を伴い、口にすることで彼女と癒着してしまったのだ。
記憶にある美紀の姿の総てが真弓に根付いた好きの感情と結びつく。幼馴染として過ごした長い記憶の一つ一つに好きの感情が付与され、確固たるものとなっていく。頭のてっぺんからつま先まで、目の前の美紀という少女の事が愛おしくて仕方がなくなってしまう。
愛おしさは真弓の中で炎のように燃え上がり、情欲へと変わっていく。目の前の美紀を貪りたい。犯したい。
「もう、いいよね……?美紀のこと、欲しくて、美紀に、全部あげたくて仕方ないの……!」
「うん、いいよ。一緒にぐちゃぐちゃのドロドロに、なっちゃお?」
そういいながら二人はゆっくり、おずおずと互いの腰を近づけていく。
「(ああっ……!)」
「ふぁあっ……!」
キスするように互いの股間がくちゅり、と音を鳴らして触れ合う。その瞬間に甘い快楽の電流が互いの股間からお尻、腰、背中、首筋、脳へと向かって流れ込み、思わず声をあげてしまう。
始まってしまった身体は止まることを知らず、自然と腰が動き、部屋はくちゅくちゅと淫靡な音を響かせて快楽を貪り合う。
「(あっ、ああぁっ!止まんないっ、止まんないよぉっ……!)」
「あんっ、あぁんっ!美紀、すき、すき好き好きぃっ……!」
美紀の心とその口から放たれる言葉に、もはや乖離はなくなっていた。美紀の脳は晴夫の記憶を自らの記憶の一部として書き終え、幾度の絶頂と強烈な快楽によってグズグズにほぐされた美紀の脳は美紀と晴夫、二人の魂を両方自分の魂だと認識して脳内に収めてしまった。
「(あ゛あぁっ、き゛ぼち゛い゛ぃいぃっ……! 混ぢゃるっ、だめぇえっ、止めっ、止めっ……ないでぇっ!!)」
「気持ちいいんだね美紀っ、私も、んっ、ぁんっ、もっと、気持ちよくなろ……!」
そもそも人間の脳は魂が二つ入るようには設計されていない。その上元々混じりはじめていた美紀と晴夫の魂は、美紀の脳を容器として高速に、ちょうどミキサーのように混ざりあい始める。その動力は美紀の身体に未だ流れ続ける快感であった。同じ脳に同時に入っている事で身体の支配権の半分を手にした美紀は晴夫との融合など望んでおらず、必死に抵抗する。しかしもはや美紀の性感を知り尽くす晴夫は彼女の肉体を的確に刺激し、脳に流れ込んでいく。意識がどろりと溶け、自分の中でこの身体を、快楽を貪りたい欲求が高まっていくのが分かってしまう。薄情なことに、美紀の脳は今まで16年間共に過ごしてきた美紀ではなく、この2日自分を支配した晴夫の魂をベースに選んでいたのだ。
それだけでなく、美紀への愛欲を募らせた真弓も健気に腰を振り、美紀の性感帯をつぶさに刺激してくる。美紀の魂は晴夫と真弓二人の手によって晴夫のモノにされようとしていたのだ。
「(ひゃあぁっ、いやぁぁっ、なっちゃうっ、ひとつになっちゃうぅっ……!!)」
「イくんだね、美紀っ、私と、一緒に、イこっ……!」
「「(イっ、ひゃあぁぁあああぁぁあぁぁぁっっ!!!!!)」」
二人は同時に絶頂を迎える。しかし倒れ込む真弓の傍で、美紀はビクン、ビクンと身体を痙攣させてその身体で衝撃を受け止めていた。
絶頂のエネルギーは脳内で二人を混ぜ合わせるのに十二分な程の量であり、頭の中が、魂が先ほど以上に高速に混じり合っていく。
「ああ……ぁ……」
遂にぴた、と動きを止めて手がぶらりと下に落ちる。
そして少しすると立ち上がり、そのまま鏡の前へと歩いていった。
「やっとだ……やっと、『私』が私になれたんだぁ……♡」
遂に美紀の中の魂はたった「一人」になってしまった。これこそ晴夫が美紀の魂を頭の中に置き続けた理由であり、晴夫の、いや、もはや『美紀』となった彼の望んだ結果であった。
古い「美紀」はもういない。今、ここに居る『美紀』こそこの世界でただ一人の、唯一無二の存在としての『瀬川 美紀』なのだ。
生まれ変わった「自分」を、愛おしく、いやらしく撫でまわす。新しい自分の誕生に、身体の神経一つ一つが歓喜の雄叫びを上げているのが分かる。
「あぁ……ありがとう私、これからは『私』が、大事に、大事に使っていくからねぇ……♡」
美紀だったものは完全に新たな『美紀』と一つになり、もう二度と元に戻ることはない。
彼女はふふんと笑うとベッドに戻っていった。
まだまだ体力の有り余る美紀の身体、限界まで愉しまなければ損というものだ。
「真弓が起きるまでは、私の身体で、遊ぼっかな……!」
この日を境に、美紀の人生は大きく方向を変えることとなる。しかし唯一つ、『美紀』自身は変化した人生を心から楽しんでいた。