階段から落ちたらクラスの男子と身体が入れ替わった上に男子の性欲に支配された話
- 2021/11/12
- 23:16
この日、この時間、このタイミング、何かが違っていたならそうはならなかったはずなのに、私はたまたまここに居たせいで、今日が瀬川佳奈の最後の日となってしまった。
次に目を覚ました時、私の目の前には心配そうに私を見下ろす、見慣れたはずの顔があった。今日も何度も何度も鏡を通じて見つめた顔。瀬川佳奈の顔が、まるで他人のように私を見つめていたのだ。
そして身体を起こそうとして、自分の身に起きてしまった出来事を理解してしまう。私、瀬川佳奈は武田次郎くんと、入れ替わってしまったのだと。
「と、とにかく、何とかして元に戻らないと……!」
「…………待って瀬川さん。まず落ち着いて」
焦りながら元に戻る方法を模索しようとする私に、次郎くんはゆっくりと諭してきた。戻るにはおそらく同じことをしないといけないだろうこと、私の身体は階段で足を挫いてしまったようで、今同じことをすれば悪化する可能性もあるだろうこと。淡々と話してくれる彼に、私はだんだん納得しはじめていた。
そうして私たちはとりあえず今日は、互いを演じて過ごすことに決まる。
これが良くなかった。力ずくでも同じことを繰り返し、元の身体に戻るよう努めるべきだったのに、私は武田くんに言いくるめられて、今日元に戻ることを諦めてしまったのだ。それが私の身体と人生を諦めることだということに気づきもしないままに……
「う、うぅ……」
どうしてこんな目に、その思いが強かった。歩けば歩くほど身体は重く、汗臭い身体の匂いも股間の違和感も伝わってくる。男の人の身体なんて見たことさえなかったのに、まさか自分自身がなってしまうなんてと、思わず泣き出しそうになることさえあった。
こんな状態で私は武田くんを演じていけるのだろうか、私の身体に入った武田くんは私を演じられるのだろうか。心配で結局夜もあまり眠れなかった……
しかし次の日、私の予想に反して『私の身体』はいつもの瀬川佳奈を演じ切っていた。話し方、歩き方、所作、何もかもが元の私そっくりで、思わず本当に入れ替わったままか聞いてしまったほどだった。
そんな私の姿を見て違和感を覚える人は当然居なくて、武田くんの身体に入った私に話しかける人も特に居なかったので、幸か不幸か入れ替わりに気づく人は現れず、ホッと胸を撫で下ろしていた。
誰かが気づいてくれたほうが、むしろ良かったのかもしれない。
「じゃあここの問題を……瀬川」
「はい」
成績はいい方だった私を、お世辞にも優等生とは言い難かった武田くんが演じるとなると、授業の成績については気になっていたのだが、当てられた問題も難なく答える彼を見て、安心感と共に何とも言えない不安が押し寄せてきた。
体育の授業でも武田くんは私の身体で活躍している様子だった。私の方は武田くんの身体が重いせいでうまく動くことができずに失敗ばかりだが、特に疑われる様子はない。元の武田くんの頃から、こういう感じなのだろう。
「武田、お前今日女子の方ばっか見てんぞ」
「っ……え、そんなに見てた……か……?」
「ま、気持ちはわかるけどな。うちのクラス女子のレベル結構高いし」
同じクラスメイトの寺川くんに声を掛けられてドキッとした。私に入った武田くんの監視をしていたつもりが、女子の体育を覗いている風になっていたらしい。彼はそれからも私に誰のどこがエロいとか、どこが良いとかを嬉しそうに話してきた。
「瀬川さんもいいよな……あのデカいおっぱいもだけど、あの綺麗な肌からスラッと伸びる脚……! もう何回もお世話になったぜ……!」
「っ……う、うん……」
その中には私、瀬川佳奈のことも入っていた。彼もまさか目の前の男子が本人だとは思わなかっただろう。私は相槌を打つことしかできなかったが、その意味はなんとなく理解できて、同時に身体の奥で何かが湧き上がってくるような感覚があった。
それは私の身体を見るごとに強くなり、同時に寺川くんの言っていたことが頭をよぎって思わず胸や脚に目がいってしまう。私だった頃は不便なことも多かった同年代としては確実に大きい方の乳房。他の子達より確かに長く、羨まれることも多かった私の自慢の両脚。全部、全部私のものだったはずなのに。戻りたい。
「早く戻って、あの身体を…………って……私、何を……?」
放課後、ふと呟いてしまった言葉に耳を疑ってしまう。瀬川佳奈の身体に戻って、あの乳房を、脚を堪能して、あの肉体を思うままに犯したいと、考えてしまっていた。頭の中に響いたその妄想はあまりに甘美で、同時に昨日まで瀬川佳奈の肉体を使っていた私の記憶を基にして高い現実感を得る。
見下ろすと乳房がある感覚、ゴツゴツした男の身体とは違う、柔らかい女体を使っている感覚、女子更衣室や女湯で見た別の娘達の下着や裸。私の女としての記憶の一つ一つが今私が使っている武田君の脳みそに興奮材料として勝手に注ぎ込まれていった。
「はぁーっ、はぁーっ……!」
気がつくと、私は武田次郎の家のベッドで寝転がりながら、勃起した股間を撫でていた。まるで当たり前のようにズボンとパンツを脱ぎ捨て、毛深い両足も当たり前のように受け入れて、親指と人差し指で亀頭を刺激すると、身に覚えのある快楽が襲ってくる。擦れば擦るほどそれは私の中で大きくなり、手の動きも激しさを増していく。
「はぁっ……はぁぁっ……瀬川さんっ……瀬川さんっ……!」
頭の中が私で、瀬川さんの事でいっぱいになる。私が生活の中で培ってきた記憶に補完されて、俺の脳みそは瀬川佳奈の美しい女体を脳内へと鮮明に映し出す。私の魂は俺のオナニーの為のオカズ資料として消費されはじめていたのだ。
脳内で俺の手が私の大きな乳房をむんずと掴む。美しく透き通るような肌を存分に撫でまわし、妄想の中で私の肉体を堪能する。
「あぁっ……凄っ、凄いっ……この感じっ……今までで一番気持ちいいかも……っ……!」
「今までで一番」なんて記憶、私にはないはずなのに、脳みそから溢れ出した言葉が私の口から飛び出してくる。私の意識が、俺の身体に混ざり始めているのがわかった。私の魂を気に入った俺の身体が、私を吸収して一つになろうとしている。俺の記憶が私の中に流れ込み、私の記憶が俺の中に染み込んでいく。覚えの悪い俺の脳みそは私の大事な記憶を取りこぼしていっているようだったが、もう後戻りはできなかった。
「ぅぁぁっ……! ダメなのにっ、ダメ、なのにぃっ……!」
手の動きとともに私の中の要らない記憶を消去しながら、オナニーに使えそうな記憶を取り込んでいく。同時に私の魂に俺としての認識や記憶、性欲を流し込み、私を男に作り替えようとしてくる。扱くだけ元に戻らなくなっているというのに、私の手は私の意思を離れて動き続けた。
「ぁ……そっか……そう、なんだ……」
今日、心配する私をよそに『武田次郎』の魂が使う私の身体は、『瀬川佳奈』になり切った。私の喋り方を完璧に真似て、私の成績を維持しながら、私の運動能力まで十全に活かして。それは他でもなく今私がこの身体にしているのと同じことを、武田次郎の魂が瀬川佳奈の肉体に行ったということ。「変なことはしないで」というあの日の嘆願は簡単に破棄され、佳奈の身体に乗り移った次郎に操られるがままに犯されたことで彼女の身体は彼の魂と融合し、佳奈の脳みそから記憶と人格を手に入れて簡単に「瀬川佳奈」になりすますことが出来ていたのだ。
「あぁ……なんて……なんて……」
記憶にある大きく実った乳房が、魅惑的な瀬川佳奈の女体が、夜な夜な下卑た笑みを浮かべながら次郎の魂から流れ込んだ男の性欲に犯されたことを頭に浮かべる。
「なんて……羨ましい……っ……!」
その姿を想い、心の底から声が漏れてしまう。それは自分の大事な肉体が穢されたという嫌悪より、佳奈の肉体を自由にできることへの羨望の方が強かった。
私の魂から私の身体についての記憶を手に入れた俺の脳みそはそれを利用して妄想の中で瀬川佳奈を作り出す。クラスでも、校内でもトップクラスの見た目をしている彼女が淫らに誘ってくる姿は今まで見てきたどんなAVよりもリアルで、それだけでチンポに力が滾ってくる。
「はぁっ……はぁっ……あぁっ……! 瀬川さんっ……! 瀬川さんっ……!!」
こんなことしちゃいけない、これ以上したら不味いと、私の理性が必死に叫んでいるのに、勃起しきったチンコを扱く手はさらに速度を上げていく。快楽が電撃となって脳髄に響き渡り、同時に私の魂も感電させてしまう。心と身体の声が重なり、私の、瀬川佳奈の女の魂が俺の、武田次郎の男の肉体に溶け込んでいくのが分かる。それでもなお私は身体の欲望の赴くまま、チンコを擦り続けた。
「あっ、あぁっ!? やばっ、やばいっ……! なんか、キてっ……!」
私の魂からの悲鳴はさらに大きくなる。しかしそれ以上に、俺の身体からの欲望も大きくなっていく。腹の下から何かが大きく溜まり、今にも外に出そうになってくるのが分かる。それが、私にとって大事なモノな筈であることも。
そこで初めて気付いた。「私」がどれほど拒もうとも、「俺」は私を取り込もうとしていることに。この身体は以前までの俺の魂より、私の魂と融合したいと望んでいることに。
「っああああああああっっっ!!!!! 出るっ、私が出ちゃっ……! ああああっ!!!」
射精してしまった。天井に届きそうなほどの勢いで、俺の中から私の大事な何かと共に精液が吹き出していく。私の中から抜け出たモノの代わりを埋めるように身体から俺が入り込んでくる。
「はぁっ……はぁっ……はぁ……うぅ……」
全身の虚脱感と倦怠感、そして未だ残る絶頂の余韻を受けながら、私の中に後悔の念が押し寄せてくる。全身の違和感がさっきより恐ろしいほどに減って、さっきまでのオナニーが今までで一番気持ちよかったという感想が頭の中をよぎる。俺の身体が私の魂を気に入った理由はこれが大きい。私の魂は俺のオナペットとして利用されてしまったのだ。
その気になれば俺の記憶が簡単に引き出せる。この身体を自分だと認識できてしまう。代わりに瀬川佳奈さん明日からは今日より上手く「俺」を演じることができるだろう。そう思うと同時に、元の私の身体に戻ることが困難になったことも痛感していた……
・・・・・・そして1週間後、私は完全に俺になってしまった。というより、「私」を俺に奪い取られた。俺は瀬川さんの手でチンコを扱かれながら身体を譲り渡すことを宣言させられて、瀬川佳奈の身体は人生ごと彼のモノになってしまった。気がついたら空き教室には惨めに精液を垂れ流した俺だけが居て、次郎の魂が入った瀬川さんの肉体は既にその場を去っていた。俺に残されたのは武田次郎の肉体と人生だけだ。
それから、俺と瀬川さんはただのクラスメイトに『戻った』。俺の頭が悪いせいか、瀬川さんだった頃の記憶はどんどん薄れ、俺ただの男子生徒に定着していき、もうあの身体だった頃の感覚も残っていない。
俺の心は取り返しの付かないほど男に染まり切ってしまった。しかし同時に、残滓のような感覚が女の身体への憧れを募らせていく。もう一度あの綺麗な身体を好き放題使える立場になりたいと、強く願うようになっていった。相手は瀬川さんの身体でなくてもいい。前に俺の身に起きたように、誰かともう一度魂を入れ替えて、女の身体を手に入れたい。そんなことを考えながら、今日も俺はチンコを扱き続けるのだった……
あとがき
ご依頼ありがとうございました。身体を武田君の魂に乗っ取られ、魂を武田君の身体に取り込まれて、瀬川さんは踏んだり蹴ったりですね。
関係ないですけど武田次郎は読み方変えると「ぶたじろう」です。丁度これ書いてた頃よく食っててバカみたいに太りました。おばか。