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ある簒奪者の話 ex 侵入と侵略

skebにてぱらさITさんから依頼いただいた寄生乗っ取り小説です。
すけぶ、毎回ファイル名に作品タイトル書いてるんですけど、ページ内で見れませんよね。今度から頭に書いとこっかなぁ

「あの作品の続き的なのが見たいと思いましたので
ある簒奪者の話の設定を引き継いだ続編もしくは派生的な新主人公の話をお願いしたいです」

とのことだったので、後日談的に作ってます。
一応リンク張っときますね
上 略奪と胎動
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中 転移と同化
<a href="http://fantasmacola.blog.2nt.com/blog-entry-7.html" target="_blank"> http://fantasmacola.blog.2nt.com/blog-entry-7.html</a>

下 完成と支配
<a href="http://fantasmacola.blog.2nt.com/blog-entry-6.html" target="_blank"> http://fantasmacola.blog.2nt.com/blog-entry-6.html</a>





騎士団の1人が盗賊ギグルの討伐という些細な任務を遂行してから、約1年の月日が流れた。
数週間前に起きた国王の急死に国中が揺れ惑ったが、王女サリアの迅速な対応と的確な手腕によって再び国内は纏め上げられ、満場一致で彼女が女王に即位することとなった。そうして新たな平和が出来上がったある日のこと、この日も玉座の間で騎士団の少女達からの報告が行われていた。

「ん……っ♡ ふぁんっ♡ はい、そうですお父様、城に卵を植え付けられていない女が紛れ込んでまして……っ♡ 睡眠魔法で捕らえて地下牢に入れているのですが……ぁんっ♡」

女王の前で報告する騎士は自らのカラダを押さえるように悶えながら話し続ける。息は荒く、頬は紅潮しており、鎧の中では何かが蠢いているようだった。自らが仕えるべき女王の御前で行われる行為を、サリアは咎めることなく眺めている。その瞳には無礼、などといった感情よりむしろ嫉妬の感情が渦巻いていた。

「はぃ……♡ 顔立ちも身体つきも悪くなかったので、一旦鹵獲をと思い……んふぁあっ♡♡」

甘い嬌声をあげながら彼女は報告を続ける。熱くなったのか鎧を脱ぎ捨て、体内で蠢いている存在の動きが確認しやすくなってもなお、ソレは彼女の服の内から乳房や股間を盛り上がらせながら動き回っている。今この騎士の少女が声をあげることになった原因がこの存在によるものだというのは明白だ。

「そぅですっ♡ それだけなら報告も要らなかったんですが、どうにも王国内の人間じゃなさそうだったので……」
『ほぅ……?』

彼女がそう報告した瞬間はだけていた胸元が盛り上がって口の形を成し、声を発した。続いて盛り上がった顔と一緒に液体状の物体が少女の胸元から放たれ、彼女の前にどぽどぽ音を立てて粘液の山を形成する。
そうして彼女から液体の全てが出終わると、スライムのように丸まっていたソレの上部から顔が形成され、後頭部、首、肩、胸、両腕、腹、股間に脚と順に変化し、全裸の人間の姿へと変わった。
その造形の美しさが分かる存在は、この国を守護する聖騎士を代表し『戦女神』とまで謂われたフィエラそのものだった。彼女はつい先ほどまで、今玉座の間で絶頂に打ち震えている騎士の少女の体内に潜り込んでいたのだ。

「お父様自らその者の尋問へ?」
「国王の急死を好機と見た他国からのスパイの可能性が高いからな。もしそうならその国を頂く足掛かりにもできそうだ」

女王サリアの問いかけにニヤニヤと笑いながら答える。その口調は王国の模範である聖騎士とはかけ離れたものだった。
当然だ、聖騎士フィエラの肉体は1年前からずっと、盗賊ギグルの魂に使われているのだから。
ギグルは自らの魂を寄生能力を持った液体に変化させる魔道具を用いて騎士団に潜入して団員たちの身体に次々に寄生していった。更に寄生された身体の卵子を勝手に利用して宿主の体内に卵を産み付け、彼に絶対の忠誠を誓うように作り変えていた。
そうして騎士団を丸ごと掌握したギグルは最後にフィエラの魂を取り込みながら彼女の肉体に自らの寄生体を吸収させ、フィエラという最強の聖騎士の肉体に自らの寄生能力を与えたヒトならざる生命体へと生まれ変わってしまったのだ。

「行くぞお前ら、他所の国の人間ってのをじっくり見させてもらうとしようぜ」
「「はい、お父様」」

フィエラは両隣に控えていた騎士たちから衣服を受け取って玉座の間を後にする。薄着一枚という聖騎士にあるまじき格好で廊下を進むフィエラに、誰もが恭しく礼をしている。卵に脳を乗っ取られた者は全員彼の子供として永遠の隷属と忠誠を誓うため、フィエラと融合したギグルのことを父と呼ぶようになっている。サリアも、この城に住む全ての侍女たちも、今では全員が脳を彼の卵に乗っ取られており、彼に逆らうものはこの城には存在しないのだ。
罪人を捕らえている地下牢さえ顔パスで進み、フィエラは捕らえられたという女が居る牢の前へと辿り着いた。

「貴女は……! まさか聖騎士様が直々に来るなんて、騎士団は人員不足なのかしら?」

捕らえられていた女は気丈に振舞っていた。明かりに灯される髪は茶色のようで、金の髪をした者の多い王国では確かに目立つ。整った目鼻立ちだがこちらもやはり王国の人間とは少し雰囲気が違っていた。報告に来た騎士の見立て通り、国外の人間であること自体は当たっていそうだ。

「ま、そろそろ情報も取り込めただろうし、戻ってきていいぞ」
「は? 何を……ぅっ!?」

フィエラがそう言うと、牢の中の彼女の額がもぞもぞと蠢く。頭から何かが吸い出されるような感覚に嫌悪感とめまいを覚えてふらついた彼女を無視して、蠢いたソレは液体状になって額から飛び出して地面に落ちると、そのままフィエラへと転がって彼に拾われると、そのまま指の中へと沈んでいった。

「ふぅん……名前はソフィア・ロマノワ。ニコラ帝国の第2諜報部隊所属で、この国に来た理由は諜報活動、あわよくば女王の暗殺、か。報告してきたヤツには褒美出しとかないとな」
「!? な、ど、どうして……!」

この国で潜伏用に使っていた名前ではない自らの本名も、所属も、目的まで、全てが筒抜けになっていることに驚きを隠せないソフィア。彼女を捕獲した際に植え付けておいた彼の卵に彼女の記憶を吸収させ、主人の元へ返すことでソフィアの脳に大切に保管され、こういった尋問の場では死んでも話さないような内容まで明らかにさせられてしまったのだ。

「見た目も悪くないし、身体つきも中々良い。これは気に入ってくれるかな」
「な、何を、言って……?」
「おい、アレを持ってきてくれ」

自らの記憶を丸裸にされたことでソフィアは恐怖を覚えていた。そんな彼女を無視してフィエラは騎士たちに命令を下す。お父様へと恭しく礼をしながら、彼女らはその場を去った。

「貴女は……! 貴女はいったい何者なんですか……!?」
「そうだな……丁度諜報に来たわけだし、いろいろ教えてやってもいいぜ」

そう言いながらフィエラは指を前に出す。すると先ほどソフィアの額から出てきて吸収された球体が再び現れた。先ほど吸収した彼の卵が、再び姿を現したのだ。すると卵はひとりでに飛び上がり、ソフィアへと跳ねていった。

「っ!? 嫌っ! ……え……腕の、中に……?」

飛びついてきた卵をとっさに両腕で防ごうとするも、卵は彼女の腕から体内に潜り込んでしまう。一度卵を取り込まされた身体は卵と適応してしまい、ただ触れるだけで体内に取り込むことができるように作り変えられてしまうのだ。そのまま彼女の体内をめぐり、頭の中へと辿り着くと再び彼女の脳内に根を張る。

「っ……頭の中に……何かが……まさかこれ、記憶……!?」
「こうした方が話すより早いだろ。俺がどうやってこの国を貰ったか、どうやってこのフィエラのボディになることができたか」

卵はソフィアの脳内にフィエラから託された彼の記憶を流し込んだ。騎士団を支配し、フィエラの肉体に寄生能力と自らの魂を引き継がせて生まれ変わったこと、寄生能力を得たフィエラの身体で更に支配を広げ、騎士団どころか王城の全ての女性を身体を乗っ取り、更に前国王をを毒殺して脳支配を終えている王女のサリアを女王に据えて、この国を乗っ取ることに成功したこと。その1年の記憶全てを彼女の脳に植え付けてしまったのだ。

「そんな……まさか……うぐっ……!」

再びソフィアの身体から卵が飛び出し、フィエラの身体に戻っていく。自分の身体が目の前の存在の都合のいいように作り変えられているという恐怖、与えらえれた記憶が核心そのものであったことから自らが無事には帰れないだろうという確信的な予感、彼の能力があれば自分の身体を足掛かりにして祖国を裏切らされ、乗っ取られてしまうだろうという事実に震えが止まらなくなっていた。

「お父様、言われていた物をお持ちしました」
「ん、ご苦労」
「ぁは♡ はぃ、ぁりがとうございます♡」

騎士の少女が大きめな瓶のようなものを持って戻ってきた。彼女もまた彼の被害者であり、彼の命令に従い、労われたことを頬を赤らめ幸せそうに受け入れている。その表情は少女というより発情した雌そのもので、彼の能力がどれだけ強烈なものであるかをソフィアの目の前で実証しているようでさえあった。
そうして受け取った瓶を、今度はソフィアに見せつける。

「コイツは俺が盗賊だった頃に部下だったヤツなんだけどな、新しい身体を手に入れて少ししたら捕まっちまったみたいで、ボロボロになって見つかったんだよ。で、昔のよしみだし可哀想に思って俺に使った魔道具で魂だけ抜き取ったあと、こうやって瓶の中に詰めといたんだ」
「っ……!!」

そう告げるフィエラにソフィアは息を呑んだ。言葉が出なかった。目の前の聖騎士の姿をした化け物が何を考えてそう言っているのかが理解できたからだ。
彼はソフィアの身体を、今瓶の中にいる手下に奪わせようと考えていることが。
瓶の中の男の顔がソフィアを向いてニチャァっと笑う。その目つき、視線は明らかに彼女を性的な目で見ており、こんな男に身体を奪われた自分がどうなってしまうかなど簡単に予想できる。それでも、牢の中に閉じ込められたソフィアに逃げ道など残されていなかった。

「っ、身体を奪われるぐらいなら……! !? なんで、身体が、動かな……!」
「あぁ、自害はできないように頭の中を書き換えてるぞ? 卵を植えられた時点でお前は俺のオモチャなんだからな? そらゾット、新しいカラダだぞー」

そう言って遂に瓶の中が牢の中へ流し込まれる。灰色の粘液状になったフィエラの手下の魂は、抵抗を許さない状態にされたソフィアへと近づいていく。液体の上には未だに顔が浮かんでおり、ニタニタと笑いながら彼女を目指して迷いなく進み続ける。

「グヘヘ、カラダ、オレノ、アタラシイ、カラダァ……!」
「ひっ!?」

灰色の粘液上の物体がゆっくりとソフィアに近づいていく。普段のソフィアならば、いや一般人だったとしても容易に逃げ切れるはずの速度だが、手錠を付けられ、牢の中でしか身動きできない彼女を捕らえるには十分な速さであった。

「いや、やめて、気持ち悪い……!」
「グヒ、グヒヒ、フヒヒヒ……!」

遂に逃げ場がなくなったソフィアに粘液は容赦なく近づき、遂に彼女の両脚に触れる。液体は触手のように変化しながら彼女の足に纏わりつき、ふくらはぎから太ももへと昇り詰めていく。

「嫌だ、来るな、来ないでっ……! ひっ!?」

纏わりついてくる粘液を手で払おうとするも、今度は手に纏わりつき、手の甲でニヤリと顔の形に変化させて彼女を見つめてきた。自分の手の裏に突然生えた顔に嫌悪と恐怖で悲鳴を上げてしまう。
諜報員として幼いころから訓練を積んできたソフィアにとって、死さえも恐ろしくはなかったが、諜報員として美しさを磨くことにも余念なく、鍛えぬいた身体能力を持つ、もはや自慢ともいえる自らの肉体が一介の盗賊の手下である男に奪い取られ、生涯好き放題利用され続けるというのは恐怖以外の何物でもなかった。
それでも粘液は彼女へと纏わりついてくる。彼女が自らの肉体を奪われたくないと思うのと同じように、彼もまたソフィアという女性の肉体を欲し、奪い取ろうとしているのだ。

「オマエノ、カラダ、ヨコセ……ヨコセェ……!」
「っ!? やだ、入ってこな、んむぅっ!?」

股間から侵入を始めた粘液に気を取られた次の瞬間には口から彼女の体内に入っていく。口、耳、鼻、臍や股間と、身体中の穴という穴から液体が侵入し、次々とソフィアの体内を犯す。入り込んだ粘液は彼女の防衛機能を麻痺させ、細胞一つ一つに粘液の吸収を促していく。そしてついに、すべての粘液が彼女の体内に収まってしまう。

「むぐ、ぅ……ご、んぐっ……はーっ、はぁーっ……本当に、わ、私の中に……?」
『へへへ、そうだぜ』
「!」

狼狽する彼女の胸元の肌が突然盛り上がり、口の形に変化して声を発する。それは先ほどまで液体だった男の声によく似ており、ソフィアの体内に彼が寄生することに成功した証でもあった。

『液体だとちょっと喋り辛かったが、お前の肉の一部を使って形を作ってるお陰で今ははっきり喋れるぜ』
「わ、私の、身体を……!?」
『ま、もうじき俺の身体になるんだし、関係ないよな?』

ゾットはそう言いながら、今度はソフィアの頬に目を開き、彼女の身体を上から眺める。自分の身体に突然目や口を生やされているにも関わらず、彼女の神経は所有者の脳に何の情報ももたらさないため、自分の頬に目が生えていることにも気づいていない。

『それにしても、外から見てた時も思ったがエロい身体だな……』
「! 手が、勝手に……!?」

彼は頬に生やしていた眼を手のひらに移動させ、彼女の肉体を直接操りはじめた。手のひらを首のように扱ってソフィアの全身を視姦するように眺め、そのまま彼女の身体を撫でまわしだした。

『ひひっ……良いねぇ、今まで犯してきた女達よりずっと上玉だァ……興奮してきたぜ……お前もそうだろ?』
「っ……これは、貴方が私を操っているせいでしょう……!」

ソフィアの身体は自らに寄生したゾットの意思を反映して興奮を高めはじめていた。本来の持ち主である彼女の意思に反して昂った身体は彼に従おうとし始めていることを表しており、ソフィアは自らの身体が奪い取られようとしているのだと実感させられる。
彼に操られた両手はソフィアの大きく実った乳房を鷲掴みにし、欲望のままに揉みしだく。自らの身体が好き放題されているにもかかわらず、既に手を奪われてしまった彼女は抵抗することさえ許されない。

『凄ぇ……乳が手から溢れてくる……! よし……!』
「あはぁ♡ ゾット様ぁ♡ 私のスケベなおっぱいもっと揉んでぇ♡ ……な、く、口まで……!」

胸元でニヤニヤ笑っていた男の口が再び彼女の体内に潜り込むと、今度はソフィアの口がニヤリと歪み、彼女の声で男に媚びた声色で言葉を発する。ゾットはソフィアの胸元に生やしていた口から彼女本来の口へと乗り換え、彼女の喉さえ操って彼に媚びさせだしたのだ。

「私の声を、私の口まで、勝手に使わないで……! うるさいなぁ、このまま口も貰っちまうか」
(!? 嘘、声が、出ない……!?)

次の瞬間、ソフィアの口はゾットに完璧に盗み取られてしまう。本来の持ち主である彼女の意思が口に届くことはなく、ソフィアは自らの声を発する手段そのものを失い、彼女が発しようとした言葉は身体の中で無情に響くだけだった。

「ひひっ、お前の口と声も貰ってやったぞ」
『2つ目の口ってのも悪くねぇな、声も変え放題だし』

口を乗っ取られたソフィアが舌を出すと、今度は舌の中からゾットの口が姿を現して彼の声を発する。実際に発しているのは彼の口だが、傍から見るとソフィアが男の声を発しているようにも見えた。

(私の声を、私の身体を、オモチャみたいに使わないで……!)
『じゃあ気を取り直して、この身体を堪能させてもらうとするかな』
「あぁん♡ ゾット様ぁ、私の身体をぐちょぐちょに犯してぇ♡ ひひっ」

ソフィアの魂からの嘆願もむなしく、ゾットは彼女の声を使い、彼女の肉体で痴態を演じる。さらに支配を進めたことで奪った両足を開くと、先ほど彼が入り込むのにも使った彼女の股間が露わになる。侵入のために退かした下着は元に戻っていたが、入った時の粘液の残滓とゾットに支配されてから興奮させられたことで分泌されたソフィアの愛液が混ざって下着を濡らしていた。

「ぉ、ひひっ、良い、この感じ……! これが、女の、ソフィアの快感……♡」
(っ……! やめて、これ以上私を犯さないで……!)

下着の上から股間をなでると、くすぐったさと一緒に気持ちよさが股間から迸り、ソフィアの脳髄を襲う。当然その感覚は脳に寄生しているゾットにも伝わり、彼が益々ソフィアという新しい宿主を気に入る一因となってしまう。
同時に同じ身体の持ち主であるソフィアの魂も同じ快楽を与えられる。自分の身体が勝手に操られ、勝手に気持ちよくよがっていく様を、感覚ごと教えられるというのは、抵抗できないまま自らを凌辱されているに等しかった。

『そんなこと言って、お前も感じてるんだろ?』
「素直になって俺の頭の中で喘いでろよ、んっ♡」
(お前にそんなことされても、気持ち悪いだけだっ……!)

彼はソフィアの声とゾットの声を織り交ぜながら彼女を煽り続ける。それはまるで彼女自身の身体がソフィアを裏切り、ゾットも所有物として生きることを決めてしまったかのようだった。それでも抵抗の意思を示すソフィアに、ゾットは興味が失せる。

「あっそ、じゃあその感覚消してあげるよ」
(……え……? ぅ……うそ……)

彼女自身の喉から発せられた宣告。まるで要らなくなったオモチャを捨てる時のような冷めた口調とともに、ソフィアの魂に変化が起こる。股間から感じさせられていた快感が、いやすべての感覚がシャットアウトされてしまったのだ。
感じたくない感覚を感じる必要がなくなったといえば聞こえはいいが、なおもソフィアの股間は彼に乗っ取られた両手によって責め続けられている。ぐちょぐちょと淫らな音を響かせ、粘液まみれになった指は尚も性器への刺激をやめることはなく、同時にソフィアの喉からは喘ぎ声が高らかに響いている。にもかかわらず、自分は何も感じないのだ。少しずつだが確実に、彼女の魂は自分のものであるはずのソフィアの身体を、他人のものであるかのように錯覚し始めてきたのだ。

『ひひっ、気持ちいいっ……! これが俺の新しい身体、俺の新しいまんこっ!』
(違っ、それは私の、私のっ……!)
「んっ♡ どこにそんな証拠が? この肉体にこの快楽、どこをどう見ても私こそソフィアに相応しいわ。今の貴女は私にへばりついてる寄生虫でしかないもの♡」

ゾットは快楽を得るごとに彼女の脳への寄生支配を強め、記憶や人格といった脳内の情報にまで手を伸ばしていく。そうしてソフィアの口から出る言葉は段々と彼女の声色へと近づいていき、ソフィア本来の魂を追い詰めていく。彼女そのものがゾットという寄生体の男の一部に生まれ変わってしまったと思わされてしまう。

(……ぁあっ、わたし、私はっ……!)
「出て行ってよ、貴女はもう私には必要ないっ♡ ソフィアはこれからゾット様の新しい宿主として帝国を乗っ取るって大事な使命があるのっ♡ だからもう古いソフィアは要らないっ♡ 邪魔な寄生虫め、この身体から、出ていけっ♡」

ソフィアの声を使って彼女を追い詰める。体から魂を追い出す方法はないが、それでもソフィアの喉とソフィアの記憶を利用した責めは確実に彼女の精神に強烈な負荷を掛ける。
彼女の魂を弱らせることこそが、彼の本来の目的だった。

『……今だ! お前は今日から俺の一部になれっ!』
(えっ!? なにこれ、意識が、取り込まれっ!? い、いや、いやああぁああぁぁぁぁっ!!!)

彼の目的はソフィアの魂を追い出すことではなく、ソフィアを魂ごと乗っ取ることだったのだ。本来の彼女の精神力ならそうはいかなかっただろうが、まんまと弱らされた彼女の魂はろくに抵抗できないまま、彼の一部として吸収され始める。このまま吸収に成功してしまえば、ソフィアの記憶も能力も何もかもを、脳から吸い上げて学習する必要さえなくゾットの一部として利用できるようになるのだ。
最後の最後での必死の抵抗も虚しく、ついにソフィアの魂はゾットに中に取り込まれてしまった。

「ふふ……ふひっ、ふひひひっ……! 成功だ……! コイツの身体も魂も、全部俺様のものだ……! ……はい、ソフィアはこれよりゾット様のパーツの一つとして永遠の忠誠を誓います。貴方の命令ならば何でも遂行いたします……くひひひっ」

股間に指を出し入れし、乳房を揉みしだきながら、彼女は口から恭順の言葉を発する。もはやそれを止める魂はどこにもなく、ソフィアは完全にゾットの一部へと生まれ変わってしまったのだ。
すべてが成功したのを確認したフィエラが彼女を閉じ込めていた牢屋と手錠の鍵を開け、『ソフィア』を自由にする。

「まったく、取り込むにしても時間の掛けすぎだ」
「へへ……こんな上玉が抵抗できない状態で転がってるんですぜ? じっくり味わわない方が失礼ってもんでしょう?」

フィエラからの指摘にソフィアはニヤニヤ笑いながら応える。これが新しい彼女の本来の姿。汚い盗賊だった男、ゾットの魂を表に出した喋り方だ。

「俺がそいつの身体に記憶を仕込んでおいたが、それも読めるか?」
「ん……あった、読めますぜ……へぇ……寄生能力に、卵……この女に兄貴の記憶を植え付けたのはこの為ですかい……!」

卵を用いてソフィアに記憶を植え付けたことで、彼女の新しい所有者でありゾットにも彼の記憶が継承されたのだ。その中には他人の乗っ取り方も、卵の作り方も、宿主の脳みそを書き換える方法も、何もかもが記されていた。このまますぐに帝国にソフィアとして帰るだけで簡単に国を乗っ取ることができるように。

「この力とこの肉体があれば、確かに帝国を乗っ取るのも簡単っすねぇ……! ひひっ、じゃあ予定通り、ソフィアには母国を俺に売ってもらうとするかな……はい、何なりとご命令ください! 私は魂ごと貴方の奴隷ですから、皇帝の暗殺でも上官の身体を乗っ取るのも、何でも遂行してみせます!」
「帝国を手に入れた暁にはそのままお前が国を使えばいい。俺みたいに王宮の女共に卵を植え付けて侍らせるのも、他の国に侵略して宿主を探すのも、お前の自由だ」

互いに笑みを浮かべあいながら、先のことを話し合う。帝国のスパイと王国の聖騎士と、立場はまるっきり違っていたが、その肉体に抱える邪な魂は自らの理想の国を手に入れ、快楽を貪って生き続けるという同じ目的を持った仲間同士だ。
隣国のスパイとして牢に閉じ込められたソフィアは結局、表面上は何の咎めもなく牢屋を後にすることとなった。

「あぁそうだ、能力のうち、融合する相手だけはちゃんと選んでおけよ。俺たちは寄生した人間の寿命を吸って生きる以上、融合した相手とは永遠に一体化する訳だからな」
「了解っす、兄貴みたいな強くて綺麗な身体と融合できるようにしてみせますぜ!」

へへ、と笑いながら、ソフィアは牢を後にし、自らの国へと帰っていく。彼女の体内に人外と化した寄生体が潜り込んでいることも、ソレが国を乗っ取ることを狙っていることも、誰も気づくことはない。
1か月ほど経つと、帝都で革命が起きた。民衆から絶大な支持を集めた美しい女将軍が皇帝を討ち、彼女が次なる皇帝へと成ったらしい。それからというもの王国への斥候はなくなり、新しい形の『平和』が築かれることとなる。その裏に魔道具の力で人ならざるモノとなった盗賊たちや、彼らに肉体を融合させられ、卵を植え付けられ、人生を奪われた者達のことは、一切語り継がれることはなかった。

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