『縁結び』神社での出来事
- 2021/11/12
- 22:53
最寄駅から3回ほど乗り継いだ先にある神社で、双子の姉妹の美穂と里穂は祈りを捧げていた。そこは巷でも有名な神社で、参拝した全員が誰かと結ばれるというとんでもない効果の神社だった。
実際、彼女らが見ていたテレビに出ていた女子アナはロケの1週間後、今までの物静かな感じから印象を柄っと変えながら、その日の帰り道にぶつかった一般男性と結ばれたらしい。
辺りでも美人と評判の姉妹だったが、互いに男運が恐ろしく悪かった。騙されるような形で付き合ってしまったり、彼女がいるとは知らされずに浮気相手になってしまったり、互いに散々な目に遭ってきていた。
それゆえ神にも縋る思いでもあったのだ。
「……ま、あたしも里穂もこんなことで叶うなら苦労はないんだけどねー」
「もう、お姉ちゃんったらそんなこと言ってーうわっ!?」
「っ!? 里穂っ!」
祈りを捧げ、神社を出ていくときに里穂が階段で足を滑らせてしまう。慌てて彼女の手を引いた美穂も同じく階段から落ちていく。幸いにも段数がそこまであるわけでもなかった。はずだったのだが、落ちた先に人影が見える。
「きゃあぁあっ!!」
「……え? うわっ!?」
落ちる先に居た男は、茂みに隠れて気付かなかったせいでそのまま彼女らの下敷きになってしまう。男を巻き込んで、2人は地面に転がり落ちる。グルンと、世界がひっくり返る感覚がした。
「「いっ……ってて……なんだ……なんかが、降ってきた……?」」
美穂と里穂が同時に目を覚ます。その動きはまるでシンクロしているようで、その声も寸分たがわず同時に発せられていた。頭を押さえている様子からその辺りが打ちどころだと分かる。
下敷きになっている男はまだ目を覚まさない。
「「……なんだ、何が起きてんだよ……!」」
ぼやっとしている視界に、ノイズのようなものが混ざっている。目の前に美少女が居る感覚と、目の前に同じく美少女が居る感覚。一旦それは無視して、辺りを見回してようやく状況が分かりはじめた様子の美穂と里穂が、互いを指さして訊ねあう。
「「あんたが、落ちてきたのか?」」
異口同音。まるで図ったかのように同時に言葉が出たことに一瞬驚いた2人は、ふと近くに男が倒れたままになっていることにも気付いた。と同時に落胆した表情浮かべる。目の前の美少女が1人ではないことを知ったからだ。そして同時に倒れている男をじっくりと見つめて、一言漏らす。
「「……これ、俺じゃん……え?」」
美穂と里穂の身体、その双方に先ほど下敷きになった男の魂が入っていたのだ。意識した瞬間、美穂の中の男が先ほどの視界が重なった感覚を思い出す。錯覚ではなく、もともと一つだった魂が繋がった結果だったのだ。
「「な、なんだこれ!? 俺はこの子で、2人に!?」」
「う、ううん……」
「「!?」」
2人の魂はどこに行ったのか、どうやったら戻れるのか、そんなことを考えながら男は一人、身体は二人で慌てふためいていると、倒れていた男の身体が目を覚ます。先ほど感じた視界が重なるような感覚はしないことから、そこに自分の魂が入っていないことは一瞬で分かった。と同時に、一つの答えが導き出される。
「うぅ……私、どうなって……」
「「あ、あのー……」」
恐る恐る、再び美穂と里穂の口で声をかける。導き出された答えの通りなら、目の前にいる男には今彼が入っている身体の持ち主の、どちらかが入っているはずだったからだ。
どちらかならしかるべき反応をするはず。そう思って男は元自分の身体の反応を、固唾を呑んで見つめていた。姉妹の喉が同時に鳴る。
「……え……私……!?」
「「そっか、こっちなのか……」」
「なんで、私が……ぁえ……!? なんであたしがそこに居るの!?」
最初に男の身体は里穂を指差して声をあげた。片方の魂がどこに行ったかはさておき、今誰が誰の身体に入っているかは把握できたことに安堵した。が次の瞬間、男は今度は美穂を指差して声をあげたのだ。
「「そうか、俺が2人に入ってるから、2人が俺に入ってるんだ……!」」
「? お姉ちゃんと私? 何を言……なんであたしが勝手に喋ってるの!? やだ、口が勝手に……!?」
1人の身体を2人が動かしていることで、美穂と里穂の魂は混乱している様子だった。路上で混乱したままなのもどうかと考えた男は、美穂と里穂の魂を入れた身体が指差したホテルにとりあえず転がり込むこととなった。
混乱して唸る男の身体をよそに、美穂と里穂の身体を手に入れてしまった男は今の自分の身体を確かめる。
「凄っ……ホントにどっちも俺なんだ……お、こうすると片方だけで喋れるのか」
「しかもこんな美人の身体が……へへ……」
男は段々と、2人の身体を同時に使っているという現状にも慣れはじめている様子だった。先ほどまでは完全にシンクロさせていた動作を、片方の身体だけで行えるようになってきている。すると里穂の身体を操って美穂の大きな乳房を揉みはじめたり、美穂の身体を操って里穂の身体を撫ではじめた。
「ちょっと……あたしの身体で何し……私の身体で変な……割り込まないでよ!」
「おぉ、起き」「たんだな! ……あれ、途中で身体変えちゃった」
未だに身体の主導権を取り合う美穂と里穂に、男は2人の身体を行き来しながら問いかける。身体の操作は完璧ではないようだったが、それでも2人の身体は男に使いこなされようとしていた。
「まぁせっかく入れ替わっちゃったんだし」「ちょっとは愉しもう……ぜっ!」
「え……何を……きゃあっ!?」
男は美穂の両手を操り、彼のズボンをずり下ろす。未だ主導権を取り合いながら身体を十全に使うことさえできない姉妹の魂はなすすべなく男の股間を露わにさせられてしまった。
「美人二人に舐められるとか夢だったんだよね」「自分の舐めるってのは気持ち悪いけど……」
「ちょっと、待っ……やめてっ! 私の身体でそんなことっ、あたしの身体でもしないでよっ!!」
「へへっ、俺ぇ♡ 美人の舌が」「チンコを舐めてくれるぞぉ♡」
抵抗の意思を示す美穂と里穂だが、元2人の身体からの体重に抑えつけられて動けない。そのまま、男に操られた2人の舌が男性器に近づき、触れる。ぴちゃぁっ、といやらしい粘液の音が部屋に響いた。
「ふおぉぉぉおぉぉぉおおぉっ!! 何これ、何なのこの感じぃっ!?」
「れろ、ちゅぷっ……へへっ、この目の前で美人が」「俺のチンポにしゃぶりついてるってのは」「結構そそるなぁ……!」「なんかこっちのカラダ、疼いてきた……♡」
そういうと男は美穂の下着の中に手を突っ込み、股間を撫ではじめる。美穂が感じると同時に、触っていないはずの里穂の身体もビクビクと反応をはじめる。男の魂が二人の身体を循環しているせいで、美穂の性感と里穂の性感が共鳴しているのだ。そうして里穂の身体も熱を帯び、疼きを生み出していく。
くちゅくちゅと股間を捏ねあいながら目前の男性器を舐め回す美人姉妹の肉体を目の当たりにして、美穂と里穂の魂を入れた男の本能は際限なく刺激され続けていた。
「ぁあぁぁっ!! ダメ、何かがっ、こみ上げてきてっ! 里穂ダメっ、こんなの出しちゃダメっ! お姉ちゃんいきなり代わったらっ、うっ!? あぁぁっ!!」
「「うわっ!?」」「……うへぇ、ベトベトじゃん」「綺麗な顔が精液塗れだよ……」
耐えられなくなって男根から飛び出した白濁液が二人の顔にかかってしまう。綺麗に化粧された姉妹の顔が穢されてしまった姿は男としては欲望のそそられるもので、姉妹の瞳で互いの顔を眺めながら、股間を弄る手は止まることはない。そんな姿を見て、姉妹の魂を入れた男の身体の本能が暴れはじめる。
「うぅ……っ……あぁ……っ……! 何これっ……私の、あたしの中に、意識が……! 犯りたいっ……シたいっ……!」
先ほどの射精で男の身体に、2人の魂に変化が表れていた。2人の魂と男の本能が混じり合い、不要なものと扱われた2人の魂の一部が身体から追い出されてしまったのだ。
男の黒く汚い本能が欠けてしまった二人の魂に染み込んでいく。2人だった魂が男の本能を接着剤にして、混ざりはじめる。里穂の意識と美穂の意識も、男の身体の中で溶け合おうとしていた。
「……っ!? これ、もしかして、この身体の、里穂の記憶……?」
「ぁ……こっちは、美穂の、記憶だ……!」
吐き出されたのは彼女らが美穂と里穂として生きるための権利の一部だった。それらを顔面に受けた男の魂は、美穂と里穂の肉体を更に深くへと侵略するための鍵を手に入れてしまったのだ。そうして男の魂は容易く2人の脳内に入り込み、彼女らを脳から乗っ取りはじめる。鍵を持つ男の魂に、2人の肉体が抵抗する方法はもうない。2人の大切な記憶がほじくり回され、更に男の記憶と意識がなだれ込み、定着していった。
「凄い……! どっちも俺のカラダだって思えるのに」
「適当な命令でも身体が動く……! これなら美穂として生活もできるぞ……!」
「こっちも、里穂としてこのカラダで生きていけそう……!」
2人は自らの身体を確かめるように撫でまわす。その動きに先ほどまでのぎこちなさはなく、2人が1人の魂に使われていることなど、誰も気付けないようなものだった。男の魂が彼女たちの身体へのアクセス権を手に入れてしまったことで、脳に刻まれていた記憶や仕草が魂の意思に勝手に反応し、行動できるようになってしまっていた。普段は美穂と里穂として過ごしながら、男が望むタイミングでどちらかもしくは両方の身体を自在に操れるということだった。
「そうと決まれば」
「ヤることは一つだな……!」
互いに顔を見合わせてニヤリと笑う。顔は確かに美少女姉妹の美穂と里穂だったが、その表情は好色な男のモノに塗り替えられていた。
その顔のまま、元自分たちの魂が囚われた男の身体に向き直す。
「へへっ……ヤりたいって言ってたよな? 脱童のチャンスだぜ?」
「こんな美人姉妹のボディに筆おろししてもらえるなんて、俺のカラダもラッキーだよな!」
「ま、まって……! 違っ、それ言ったのは私じゃな……あたしでもないわよ! いや、やめてっ!! ヤるなら里穂に……ちょっとお姉ちゃんっ!?」
男の魂に操られた姉妹は天井に向けて勃起した男の股間に互いの股間を宛がう。2人の肉体から垂れ出た愛液が涎のように男性器を濡らしていく。身体から漏れ出た欲望と、「自分の身体に挿れられたくない」思いから互いの身体を売りはじめる。欲望に支配された男の脳と彼女らの魂の中に、挿入しないという選択肢は無くなっていた。
「へへっ、じゃあ俺がもーらいっ!」
「あ、ズルいっ……ほぉ゛っ♡」
一瞬のスキをついて美穂の身体を操る男の魂が女性器に男根を挿入してしまう。同時に魂で繋がっている里穂が喘ぎ声をあげた。
「んっ♡ ぁんっ♡ あははっ♡ 気持ちいい、きもちいいぞこのカラダぁ♡」
「んぁっ♡ くっ♡ じゃあっ♡ 俺は、こっちぃ♡」
「待っ、やめっ、むぐぅ!」
美穂が腰を上下するごとに喘ぎ声を上げ続ける里穂はヨロヨロと立ち上がり、男の顔面に自らの股間を押し当てる。唇や鼻を使い、里穂の肉体でも快楽を貪ろうとしているのだ。
「ほらほらっ♡ もっと舌使ってこのカラダを感じさせてくれよぉっ♡ はぁあんっ♡ 2人分の脳みその快感っ♡ 気持っちいぃ♡」
美穂の喉からも里穂の喉からもとめどなく甘い嬌声が流れ出ていく。その音だけで男の身体は奮い立ち、男根を膨張させる。30年間女性に触れることさえできなかった男の身体が、2人の魂の意思など無視して美穂との性交に及べているという事実に歓喜しているのだ。
「むぐっ、むごごぉっ!! ぃやぁっ! れるっ、れるぅっ!!」
そうして男の肉体は限界を迎えてしまう。先ほどの射精で無くなってしまったはずの精子が一気に準備され、股間の先の美穂の子宮目指して準備を始める。美穂の魂は必死に止めようとするが、身体を支配する男の欲望と、それに意識を呑まれた里穂が無理矢理推し進める。
「んぅぅっ♡ ぷふっ、あははっ! この綺麗なカラダで俺の子なんて孕む気はねぇよ!」
「あははっ♡ 哀れな私とお姉ちゃん♡ そのままもう一回イっちゃえっ♡」
「むーっ!! むぅぅううぅぅっ!!!!」
性器が美穂の肉体から抜かれたことに抗議の意を示す姿は、浅ましい男そのものであった。そんな自らの姿を愉悦の気持ちで眺めながら、美しい姉妹の両手が粘液まみれの男の肉棒を刺激する。美穂の肉体に注ぎ込もうと準備した男の精液はあっさりと部屋の中空を舞い、べちょべちょと汚らしい音を立てて床にへばり付いた。男の肉体として、自らの遺伝子を保存できる最後ともいえるチャンスは、無様に部屋の染み委となっていくだろう。
「ぅ……ぁ……ぉ、俺は……なんてっ……!」
先ほどの射精で更に不要なものを吐き出すことになってしまった美穂と里穂は、もはや自分の呼び方さえ男に浸食されようとしていた。もはや2人の魂が正しい場所に戻ったとしても、元の彼女らの面影は残らないだろう。それどころかそんな彼を見下ろしながらクスクスと嗤い、新しく手に入れた肉体に酔いしれる今の彼女らの身体の持ち主の方が、「美穂」と「里穂」を使って生きていくのには相応しい様子であった。最初は脱ぎ方さえ分からなかった服を淡々と身に着け、鞄を持って部屋の出口へと向かう。男はこのまま美穂と里穂の肉体を持ち帰り、彼女らの人生を乗っ取ろうとしているのだ。
「さて、このカラダは貰っちゃうとして、こいつらどうしよっか」
「ほっとけば良いんじゃない? この肉体が俺のモノになってる以上、誰も信じないんだし」
「それもそっか。じゃ、この綺麗なボディは両方とも大事に使ってあげるから、もう心配しないでね♪バイバーイ!」
2人は新しく手に入れた肉体を触りあいながら、美穂と里穂の魂が入った元自分に手を振って別れを告げる。男の身体は未だ痙攣を繰り返し、朦朧とした意識の中、自らの物だった美しい双子姉妹の肉体が立ち去っていく様を眺めるしかできなかった。
絶対に結ばれる神社を参拝した2人はそのまま互いの身体と結ばれることになる。以前より息の合った2人、いや、もはや1人となった彼女らの身体が行った願いは、歪んだ形であれ成就することとなったのだ。
そんなわけであとがきです。
2人の身体に1人の魂が入るパターンって2種類あると思ってて、1つが1人の魂をコピーした2人ができるパターン。もう1つが2人の身体を1つの魂が操れるパターン。今回は後者ってことで実践しました。後者の利点は使う身体を好きなタイミングで行き来できることの利便性と思ってます。行き来できない『俺』同士だと、結婚エンドを見据えていたのもあって長い人生生きてく中で困るかなーと思ったので、こっちパターンを採用するに至りました。
相手が自分の魂だ、って認識するだけより、常に2つとも自分の身体って思えてた方が愛着湧くよねって、そんな感じです。