遅筆にも程がありすぎて正直申し訳なさすぎて言葉もないのですが、とりあえず置いておきます。
キャラの名前については、少し元ネタがあるのですが、気づいたら浮かんじゃってあんまいいもんでもない気もするので、分かっても非公開コメントかついったのDMとかで送ってもらえると嬉しいです。わかんなくてモヤモヤしたら聞いてくれてもいいですけど、萎えないでください、ね?
屍術師メテウス。以前からそれなりに名の知れた魔術師であり、倫理観の薄い者の現れやすい屍術師ということで王国からもある程度警戒されていたのだが、墓を掘り返すことはあったものの特に人に危害をくわえることもなかったため特に王国から命を狙われるという事もなかった。ある日に至るまでは。
そんな彼が数日前突如起こした、貴族ムトラ=アゼルハイトの殺害と、その娘シルヴィアの誘拐。この事件の捜索隊の1人として彼女の古くからの友である騎士のミリアが向かうのは至極当然の事であった。
「ァ、ア、ミ"……リ"ッ……」
「ふっ!!」
「ガァァアァァッ……!!」
ミリアが見つけた、メテウスが根城にしていると思しき洞窟。その中で強烈な斬撃が一閃する。
騎士団特有の赤を基調とした服の上に魔力によって防御力を高めた薄手の鎧を身に纏い、肩あたりまで伸ばした焦げ茶色の髪を後ろに括って凛とした顔立ちで迫り来る骸骨を薙ぎ倒す。
魔力で操作されただけの骸ごときでは騎士団でも上位の実力を持つ彼女に触れることすら叶わず、骸は一撃で土くれへと姿を変えていった。
(シルヴィア……どうか無事でいて……!)
他の捜索隊員は後で来るだろうと、それより早急に友を助けたいという気持ちに駆られ、ひとりで奥から奥から現れる屍を次々と切り捨てながら、洞窟の奥へ奥へと進んでいく。
進んだ先で、遂に一つだけ鉄格子のある部屋へと辿り着いた。中には長い金の髪の、白く綺麗な服を纏って手錠に繋がれている少女がいる。暗く汚い洞窟で、それでも高貴なるその少女の姿は色褪せていなかった。
「シルヴィアっ!!」
魔力と腕力を合わせた剣撃で格子を叩き壊し、シルヴィアの囚われた部屋に入ると、同じく剣で手錠を壊して彼女を解放する。
「大丈夫!? 何もされてない?」
「……うん、身体は無事、だよ」
「そっか、良かった……すぐここから逃げよ!」
「……」
「? シルヴィア? わっ……!」
「……もう少し、ここに居て」
シルヴィアがミリアに抱きつく。無理もない、数日間ずっとここに居たのならば不安だったろう。そう思い、ミリアをぎゅっと抱き返した。
ふわりと、甘い香りがする。
「信じてたけど、恐かった……! 来てくれないんじゃないか、途中で倒れちゃったんじゃないか、気付いたんじゃないかって……」
「大丈夫。私はちゃんと、ここに居るから」
「うん、よかった。ふふっ、ホントに、良かったぁ……!」
シルヴィアがさらに強く抱きしめる。甘い香りがミリアの鼻腔をさきほどより強烈に包み込んでいく。
(……あれ?)
ミリアは甘い香りに包まれて、ふと思う。そもそも数日の間メテウスに軟禁されていたシルヴィアから、何故ここまでいい匂いだけがするのか。何故彼女の服はここまで汚れていないのか。頭の中に突如できた引っかかりを思考しようとしたが、そこで自分の思考が回らないことを意識してしまう。
「な、なに、これ……意識、が……」
「良かった。ようやく効いてきたんだね」
耳元でシルヴィアが、嬉しそうに囁く。その言葉さえ子守唄の様に私の意識を奪い取っていく。
「ふふっ、さすが騎士様。毒と魔法でもこれだけ時間がかかっちゃって、正直驚いてるけど、上手く行ったみたいだね」
「なに……っ、これぇ……ダメ、わた、し……」
ミリアは最後にシルヴィアが呟いた言葉の意味をわかれないまま、その意識を闇へと落としてしまった。
※※※※※※
「ん……!?」
「おぉ、目覚めたか」
次にミリアが目を覚ましたとき、彼女は両手両足を錠で縛られて研究室と思しき部屋に居た。
眼前には緑のローブを羽織った老人と、骸骨の魔物の姿。魔物の方は彼の屍術によって使役されているのだろう。
「屍術師メテウス……! シルヴィアを何処へやったの!?」
「ククッ、そう慌てるでない。老人の話の一つや二つ聞いていくといい」
「旦那ァ、ソウイウノイインデ早クシヤセン?」
「馬鹿め、こういうのがいいんだろうが」
メテウスは横の骸骨の言葉など知らんとばかりに話を続ける。骸骨は肩をすくめて両手を挙げ、諦めた様子だった。
骸骨は少し違和感のある喋り方ではあるが、言葉を発している。本来屍術によって生み出された不死者は術者の道具の側面が強いため言葉を発することはないのだが、その骸骨には相当高度な屍術が用いられているのだろう。
そんなミリアの思考すらよそに、メテウスは自己満足気味に話を続ける。
「儂はかねてより不死と蘇生の研究をしておってな。そこにおる骨のように魂を元の形で留めることまでは出来たのだが、生者の身体というものをどうしても作れなかった。そこで儂は古代遺跡に潜り、あるものを探し出すことでこの蘇生法を完成させたのだ」
「なに、それと私達に何の関係があるの!?」
「これが我が蘇生法の成功例だ。入れ」
「……?」
コツ、コツと誰かの足音が聞こえる。音は少しずつ近づき、やがて1人の人間の影が見える。
「な……え……?」
「ふふっ、さっきぶり。ミリアっ」
「は……? シルヴィア? え?」
彼が成功例として呼び出した、その姿も立ち振る舞いも、何もかも見知った少女そのもので。しかし今。この状況でまるでいつもあった時のように振る舞っている、その姿自体がミリアにとっては異常であった。
「これこそが我々の成功例。我が研究の相棒であり5年前に死した存在、スレッドだ」
「な、なにを、言ってるの……? だって、彼女は、シルヴィアで……」
「ふふっ、うふふふっ、あははははっ!! そう、私はスレッド。そこのメテウスの助手にして実験台の片方さ。どうでした? 私による「わたくし」の演技は?」
「ぁ、え……そんな、うそ……」
「嘘じゃないさ。ふふふっ、君の知るシルヴィアはこんなことするかい? ……んっ、はぁんっ……♡」
言うとシルヴィアはおもむろに自分のスカートの中に手を突っ込み、ゆっくりとその中で手を動かしはじめる。ぴくぴくっ、と身体がその動きに反応し、甘い声を上げる。その姿はシルヴィアというよりも、彼女の姿をしただけの汚い男のようで……
「生者の器が作れないならば、既にある生者の器に入れればいい。儂が得た換魂の禁呪がこれを可能としたのだ」
「ふふっ、というわけで、生者シルヴィアの肉体は元死者であるこの私が完全に頂きました。貴女が来るまでの数日、試しに色々使わせてもらいましたがこの身体、若いし気持ちいいし、生前の身体より断然良くて、気に入っちゃいましたぁんっ♡」
「やめてっ! シルヴィアの身体に変なことしないでっ!!」
「あっははっ! ミリア、わたくしの身体はね、攫われたその日から3日間ずーっと、スレッド様の新しい器として使い続けられてたのよ? 既に何回も何回も犯されたわ。スレッド様も何回も何回もわたくしの脳みそでイっちゃった。今更何をやめるのかしらぁぁんっ、気持ちいぃ……♡」
ミリアの制止など聞く耳も持たず、更に彼女の持つ大きな胸を揉みしだきながら、奪われたシルヴィアの身体はなおも自らを支配する死者の魂から送られる自慰命令を実行し続ける。幸福に満ち足りた表情で彼女の真似をしながら行われるそれは、まるでシルヴィアそのものが彼の性奴隷へと成り果ててしまったようですらあった。
「やめてっ! やめてってばっ!! シルヴィアをっ! 彼女を元に戻して!!」
「あれはもう我が友スレッドの肉体だよ。そもそも君の友人のシルヴィアの魂は洞窟の入り口付近に配備してやったはずだ。そういえば先程から魔力のつながりを感じないが、どうしたんだね?」
「……え、嘘……まさか、そんな……」
心当たりがあった。あってしまった。ミリアがここに来て最初に切り捨てた骸骨のことだ。
つまりシルヴィアは、スレッドと魂を取り替えられて肉体を奪われ、骸骨に魂を閉じ込められた挙句、その骸の身体さえメテウスに操られ、助けにきたはずのミリアの手で葬られたということで。
そしてシルヴィアの魂が死んでしまった今も肉体だけが、死んだはずの男が復活するための新たな容れ物として利用され、犯され、貪られていたのだ。
「あぁん、はぁぁんっ、ここっ、すっごいきもちいぃっ! やっぱりこのカラダ、さいっこぉ……!」
絶望に震えているうちに、シルヴィアの肉体を乗っ取っているスレッドは座り込んで本格的に自慰を始めてしまう。
服をはだけて、快楽に蕩けきった顔で股間に指を激しく出し入れしながら大きな乳房の上にちょこんと載った乳首をコリコリと責め続ける。
嬉しそうに男を誘うような甘ったるい声を垂れ流すその姿は身体こそ誇り高き貴族の娘であったものの、動きは娼婦のそれに近かった。
「やめてっ! もうやめてよっ! これ以上シルヴィアを穢さないでっ!!」
「ぁんっ、これ以上? 何言ってるのミリア? わたくしの肉体はもうスレッド様のモノになってしまったの。んふっ、これ以上? いいえ。ここからが始まり。私の肉体を手に入れたスレッド様の2度目の人生はこれから始まるのよ!」
「シルヴィアはそんなこと言わないっ!! シルヴィアの真似しないで!!」
「ふふっ、真似もなにも、これはわたくしの人格そのものじゃない。こんな感じにっ、ぁあぁんっ、繰り返し絶頂を味わわされるうちに、スレッド様の魂とわたくしの肉体がどんどん癒着しはじめたのぉほっ♡、ここ、きもちいぃっ♡最後には全ての抵抗がなくなって、わたくしの記憶ごと脳みそを明け渡してしまったのぉぉおっ♡」
「そんな、シルヴィアぁっ……!」
その身体は既に彼女のものであることを辞めてしまっていたのだ。それどころか、新しく入り込んできた、死者で、しかも男であるスレッドの魂を自分の新しい魂として認め、彼女の生きてきた痕跡も、持っていたものも、全てを彼へと譲ってしまっていた。その身に男の魂を宿し自分の肉体に興奮し、恥じらいも矜持も持たずに女体の快楽を貪り喰らう。それが今のシルヴィアであった。
「ヒヒッ、他人ノコト心配シテル場合カヨ?」
「な、なにを……! まさか……!」
「旦那ァ、俺ガコイツデ良インデスヨネェ?」
「あぁ、そのミリアという騎士がお前の新しい身体、新しい名前だ」
「そんな、いや……!」
「クヒヒヒッ、良イネ良イネェ……! 旦那ノ水晶カラ戦ッテルトコ、見テタゼ?強エンダナァ、ソノ身体ァ……!」
髑髏をケタケタと動かし、ミリアを品定めするかのようにいやらしく見つめる。
ミリアにとってその目つきは汚い男が女を犯そうとするそれに酷似していたが、シルヴィアに起きた事態を見て分かってしまう。この骸骨はミリアの身体を、自分の新しい肉体として見ているということが。
「アァ、ミリアァ、コレカラ宜シクナァ……俺ト合体シタラ、ソノ筋肉デ女ヲ組ミ伏シテ女共ヲ犯ソウゼ。ソノ綺麗ナ身体ヲ、思ウ存分食イ尽クソウゼ、クヒッ、ヒヒヒヒッ!!」
「やだっ、嫌ぁッ! こんな奴に身体奪われたくないっ!!」
「コンナ奴トハ言ウネェ……マァ間違ッテハ無イカ。俺ハソコデおなっテルすれっどト違ッテ、旦那ノ物資調達担当ダッタカラナ。「しゃっく」ッテ盗賊ノ名前、知ッテルカイ?」
「物資調達……盗賊……シャック……? ……! まさか、……!」
その名はミリアの記憶にもあった。5年ほど前まで精力的に盗賊業を行い、貴族の金品や魔術用の触媒を盗みつづけていた盗賊の男。騎士団との戦いで命を落としたと聞いていた、その男にメテウスとの繋がりがあったとは。
「クヒッ、互イノ名前モ分カッタ事ダシ、俺モ待チ切レネーンダ、ソロソロオ前ノ身体、譲ッテ貰ウゼ……!」
「全く勝手に決めおって……まあ良い。では始めるとするか。『ーー大いなる神の名の下に、かの2人の器を取り換えたまえ。永遠に』」
「嫌あぁあっ!! やめてええっ!! ……っぁ、ぅ……」
唱えられた瞬間、ミリアは衝撃のような感覚を受けると同時に、一瞬視界が暗くなる。次に意識がはっきりした時、彼女は眼下に自分の姿を捉えていた。魂が、身体から弾き出されたのだ。
意識もなく、虚空を眺める自分の身体。なんとか戻ろうと宙を動こうとするも上手くいかない。そのうち視界にあるものが映る。ミリアと同じく抜け殻となった骸骨であった。そしてその上に、ニヤニヤと笑みを浮かべる、無精髭を生やした薄汚い男の姿。ミリアも手配書で見て覚えがあった、盗賊シャックの姿であった。
ミリアだけ動くことを許されないまま、禁呪の力によってシャックの魂が移動を始める。ゆっくり、ゆっくりと抜け殻となっているミリアの身体へと近づいてゆく。
遂に直近まで近づくと、魂が煙状に変化してミリアの耳、鼻、口、目、ありとあらゆる穴から彼女の体内へと入り込んでいく。入れば入るほどミリアの身体は大きく痙攣する。更にシャックの全てが入りきると、今度はガクガクと小刻みに身体を震わせ始めた。その姿は入り込んでくる異物に対して必死に抵抗しているようでもあったのだが、やがてそれも無駄だと言わんばかりに少しずつ収まっていく。
そして遂にミリアの魂にも移動が始まってしまう。ゆっくり、ゆっくりと抜け殻となっている骸骨の元へと魂が引き寄せられる。どれだけ足掻こうとその力から逃れることはできず、ミリアの魂も煙状に変化し、骸骨に吸い込まれていく。ミリアの意識が再び途絶える瞬間、元のミリアの顔がピクリと動き、目があった。虚ろだった瞳に邪悪な光を宿し、その顔にはニヤァーッと、いやらしい笑みが浮かべてられていた……
※※※※※※
「ァ、ゥ……」
くちゅくちゅという粘液の混ざり合うような音が響く中で、ミリアは目を覚ました。眼下に映る骨の体が、自身に起こった事態を突きつける。自分は、これまで人生を共にしてきた肉体をまんまと奪われ、代わりにこの骸骨の体を押し付けられてしまったのだ。
そしてなにより……
「んっ、あんっ、ひゃぁあっ、凄いっ、女のカラダ同士のセックスきもちいいっ♡」
「ふひひっ、くひひひっ!! 無尽蔵みたいな体力っ! 女共を組み伏して犯せるこの腕力っ! それにこのスケベボディ! 最ッ高だぜこの身体ぁっ!! ぁはんっ♡私もっ、シャック様の新しい肉体になれて幸せですぅっ♡♡」
目の前で繰り広げられている痴態。仰向けに倒れてぶるんぶるんとその乳房を揺らし、蕩けきった顔で快楽を享受するシルヴィアの肉体と、嬉しそうに彼女の股間へと勢いよく何度も何度も腰を打ち付けるミリアの肉体。互いに口からは涎を、股間からは愛液を垂れ流して女体の誘惑と快感に溺れる姿は、彼女らの肉体が男の欲望の奴隷と化してしまったという事実を鮮明に表していた。
「ソンナ、嘘……ヤダッ……私ノッ、私ノ身体ァッ……!!」
「お、目ぇ覚めたのか。お前からもらった新しい身体、試しに使わせて貰ってるぜ?んっ♡ひひっ、オラッ、鳴けよ貴族令嬢っ!!」
「んやぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁっ♡♡♡」
ぐぢゅっ、という女性器同士の潰れ合うような音とともにシルヴィアの器は絶頂を迎え、股間から透明な液体を勢いよくを噴き出す。ミリアの器は噴き出された液体をその身に浴びながら、絶頂の余韻でヒクつく彼女の姿を上からニヤついた笑みで満足そうに眺めていた。
少しするとシルヴィアを置いて立ち上がり、満足そうに股間を捏ね回しながらミリアの入った骸骨にそれを見せつける。
「返シテ、私ノ身体、返シテッ……!」
「あっははっ! 誰が好き好んで死者に戻るかよ! これからはこのカラダも命も全部俺のものさ。ふふっ、今日をもちましてシャック様の新たな肉の器へと配属になりました、ミリア・フレインです。主人たるシャック様の望みとあれば強姦でも盗みでもとなんでも喜んでさせて頂きますね、くひひひっ!!」
「ヤメテッ、ヤメテッテバァッ!」
ミリアは骸骨の体で立ち上がり、自分だった身体の暴走を止めるべく走り出す。それを見てシャックはニヤリと笑った。
「!? キャァッ!?」
その時、突然ミリアが使っていた骨の体が音を立てて崩れ落ちたのだ。
シルヴィアより小ぶりな、平均的な女性より少し小さいくらいのミリアの乳房を揉みしだきながら、シャックはミリアの口と声で告げる。
「ヒヒッ、ホントに動けなくなるんだなぁ!」
「ナ、何!? 私ニ何ヲシタノ!?」
「これなぁ、旦那がその体に送ってる魔力を調整する権利を貰ったんだよ。ほら、その体って元々死体だろ? それに旦那が魔力を送ってるおかげで動けるわけ。じゃあその魔力を少なくしたらどうなる?」
「ソ、ソン、ナ……嘘ッ……!」
魔力が送られなければ、死体が動くことなどあり得ない。それどころか、本当に魔力が全く送られなくなって、ミリアの入れられた体がただの骨と化した時、その体で漸く現世にしがみついている魂は一体どうなってしまうのか。
単に肉体を奪われただけではない。自分の生きる権利、その全てを、シャックという男に奪い取られてしまったのだという事実を突きつけられる。
「へへ、安心しろよ。消しやしねえさ。お前には俺とこのカラダがどう生きていくかを特等席で見せてやるよ」
「ウゥッ、ヤメテ……私ノ身体ァッ……」
絶望に暮れるミリアの魂をよそに、シャックに支配されたミリアの器は彼の命令に従って再び自分の肉体を犯し始める。恥じらいもなくグチュグチュといやらしい音を垂れ流し、快楽に身をよじらせ、いやらしい笑みを浮かべて自らの肢体を貪るその姿をみると、肉体そのものにさえシャックの側へと裏切られてしまったような錯覚を覚える。
「私ノ身体ガ、しるゔぃあノ身体ガッ、コンナ奴二、コンナ奴ラニッ……!」
「ぁあぁぁあっ、良い、何回シても最っ高だよこのカラダぁ……生き返らせて貰っただけじゃなくこんな良い身体まで貰えるなんて、ほんと旦那について行ってよかったぜ……んっ、ひひっ」
自分の身体が死霊の魂に奪われ、犯されている。にも関わらずミリアには抵抗すら許されないどころか、感覚すら感じない。ついには目の前で犯されて善がり狂い、股間から液体を垂れ流す淫乱な女が、だんだん自分でないとさえ思い始めていた。
そうしてミリアの器が何度か絶頂を迎えたあたりで、それまで沈黙していたメテウスがピクリと動く。
「ふむ、結界に入ったな……」
「お、遂に来たんすね……! 旦那の本命! ……おい起きろスレッドぉ!」
メテウスの反応を見て自慰を繰り返していたミリアが立ち上がり、未だ意識をなくしていたシルヴィアをげしげしと蹴り起こす。ミリアにとって親友を足蹴にするなど考えたこともない。しかしシャックに支配されたままの彼女の身体はなんの躊躇もなく蹴る。威力は弱かったが、その位置がちょうどシルヴィアの豊満な胸であったため、たわわな塊がたぷたぷと揺れ動いていた。
「んっ♡んぅー……」
「何エロい声出してんだ犯すぞ。旦那の本命が来たから起きろっつってんだよ!」
「うぇ?まだイった衝撃で腰が抜けてるんだけど……」
「元のおっさんの身体と一緒にすんな!」
「ひゃうぅっ!!♡♡」
シルヴィアは起きるや否や間抜けな返事を返し、痺れを切らしたミリアの手が彼女の乳首を強くつねる。
シルヴィアは乳首から脳髄へと響き渡った快楽に身悶えし、反射的に大きな嬌声をあげてしまっていた。
本来の、貴族の令嬢と騎士団の少女との関係からは考えられない行為だったが、もはや元死霊だった男達の容れ物と化した肉体に本来の関係など意味を為さず、彼らが作り出した状況をただ受け入れる。
「ぁ、立てる……若いって凄い……!」
「いいからさっさと着替えろって、裸だとめんどくさいだろ」
「そう、ですね……メテウス様の足を引っ張るわけにはいきませんね……」
裸だったミリアとシルヴィアは何かの準備をするように服を身につけていく。何度となく行った絶頂の影響である程度魂が馴染んでいる様子で、2人とも当然のようにスラスラと着替えていた。
その姿とやりとりを見ていた髑髏が疑問をそのまま声に出す。
「……貴方達ハ、マダ何カスルツモリナノ……? 本命ッテ、何ナノ……?」
「ひひっ、もうお前は何も出来ないし、話しても良いんだよね。……俺たちは旦那の力で新しい身体を手に入れた。生き返らせる予定の死者は俺たちだけなんだか、入れ替わらなきゃいけない人間はもう1人居る。そうだよな?」
「マサカ……めてうす本人……?」
「そうそう! 脳みそのない骨の体でも分かるもんなんだなぁ。じゃあ次に、旦那が狙いそうな相手。魔力とその才能に恵まれた存在。お前達共通の友人に、心当たりはないか?」
「……!! 嘘、ソンナ、駄目ッ! コレ以上、マダ私達カラ奪ウツモリナノ!!?」
「あっはは! 違う違う! 旦那にとっちゃ「私」もシルヴィアも唯のオマケさ。ぁ、俺たちにとっては大事な大事な肉の器だし、このカラダに飽きるまでは面倒みてあげるから安心していいよ?」
ミリアの口を使ってシャックはそう言ってみせる。彼女にとっては肉体を奪い取られた時点で死よりも惨い目に遭っている訳なのだが。
そうしているうちにメテウスの用意していた水晶が反応する。
「ククッ、入って来たな」
「……! さふぃ、駄目ェ……」
※※※※※※
頭をフードに隠し、王国より支給されたローブを纏う少女、魔導師サフィ。ミリアとシルヴィアの幼馴染兼親友で、彼女らより少し幼い印象を与える美少女。魔法技術において天賦の才を持ち、その才は若くして王国最高の魔導師である「賢者」の次期候補に、との声も上がる程であった。
メテウスが新たに時間稼ぎのために作り出した動く骸を、純度の高い魔力によって生み出した蒼い炎で次々に焼き払い、彼らの居る部屋へと少しずつ進んでいく。
「……ふっ! ……せゃぁっ!!」
「……この声っ……!」
しばらく進んだ先で、サフィは甲高い声と骨の砕ける音を聞き、その方向へと一気に走る。
そこには骸骨に囲まれた、鎧を纏って剣を振るう騎士の少女の姿が見える。
「ミリア!!」
「その声っ! サフィ!!」
2人に近づきながら周りの骸骨を焼き払う。
彼女が放った巨大な蒼い炎は2人を焼いてしまわないように、微妙な出力や範囲の調整が行われており、それだけでサフィという魔導師の高い力量が伺えた。
「おっそい!! ……あれ、他の皆は?」
「わからない、途中ではぐれたみたい……結界が張ってあったから、それが原因かも」
ミリアの「中身」はメテウスの結界によって他の捜索隊員がこの洞窟を見つけられていないことも、彼が意図的にミリアとサフィだけにこの洞窟を見つけさせたのもすべて識っているのだが、知らない風を装って自然に話す。ミリアの身体のほとんどを掌握したシャックには、本来の彼女を装いながら嘘をつくことさえ容易になっていたのだ。
「シルヴィアについての手がかりはあった?」
「あっちの部屋は一通り調べたけど、手がかりらしいものはなかったわ。ただまだ骸骨になってない死者にもいくつか出くわしたの」
「……急いだ方が良さそうね……!」
2人は洞窟の奥へと進んでいく。先のやりとりでミリアは彼らの思惑通りにサフィに急ぐことを強要し、他の捜索隊員を呼ぶ選択肢を消し去った。
ミリアの肉体はシャックの魂の命ずるがまま、かつての友であったサフィを貶めるべく動いている。ミリアが使っていた脳は既にミリアとして過ごしたすべての記憶をシャックに明け渡し、彼の為に思考をフル回転させていたのだ。
「ここは……」
やがて2人はある部屋の前に辿り着く。洞窟の中で少し異質でさえある扉。確実に禍々しい魔力が漂うそこは、既にシャックのモノとなっているミリアの脳には彼の記憶の一部として刻み込まれている、メテウスの部屋であった。
「この禍々しい感じ、おそらく奥にメテウスが居る……」
「とにかくあいつを捕まえて、シルヴィアを見つけないと……!」
「……行こう……!」
そう言ってサフィが扉を開ける瞬間、ミリアはシャックとしての技術を駆使して魔法防御用の首飾りと腕輪を盗み取る。自身のステータスに大きく影響する技だったが、ミリアの器は生前のシャックより遥かに高い性能を誇っており、ミリアにとって人生初めての盗賊行為はなんの苦もなく成功の結果を収めた。
扉の奥にはメテウスの姿と、錠で壁に繋がれたシルヴィアの姿が、そして机の上には物言わぬ髑髏が置いてあった。
シルヴィアの姿を見るや、サフィは咄嗟に右手に魔力を集め、メテウスを牽制する。
「屍術師メテウスっ!! 大人しくその子を解放しなさい!!」
「おぉ、実物を見るとますます素晴らしい……」
「……? 何を、言ってるの……?」
「ふふっ」
「!!? ミリアっ!?」
サフィがメテウスの行動に意識を集中している中で、突然ミリアが彼女の後ろに回り込んで羽交い締めにした。
完全に予想外だった味方の裏切り。しかしそれだけでは飽き足らず、彼らはサフィへと更に追い討ちをかける。
「今だ、縛れっ!」
「!? っ! シルヴィアまでっ!?」
シルヴィアを繋いでいた錠に鍵はかかっておらず、たやすく抜け出した彼女がサフィへと拘束魔法を唱える。本来なら効くはずなかったその魔法は、サフィの動揺とミリアが装備を盗んだことで下げられた魔法耐性によって効果を発揮する。
縛られたのを確認するとミリアは手を離し、サフィの元へは代わりにメテウスが近づく。
「ククッ、実にうまくいった。2人が君のことをよく識っていて本当に良かったよ」
「……2人に、何をしたの!?」
「ふむ、「2人」になら儂はただ蘇生しただけかな?」
「そうそう、死んでた俺達が、ただ旦那に蘇生された。それだけなんだよなぁ?」
「ゃんっ♡、ふふっ、そうですね。私達はただメテウス様に蘇生していただいただけ、ですねぇ。んっ♡」
サフィとメテウスが話している間にミリアがシルヴィアの後ろに回り込み、その豊満な胸をいやらしい手つきで揉みしだく。
そこにサフィがいつも目にしている高潔な女騎士の姿はなく、その行動は欲にまみれた男のそれで……
「……っ!! 貴方達一体誰なのっ!? 本物の2人をどこへやったの!?」
「あはははっ! 本物は本物さ! 少なくともこの肉体は隅々までなぁ!」
「……!まさか、魂をっ……!?」
もはや身体を弄られて甘い声を上げるだけになったシルヴィアをよそに、彼女を責め続けるミリアが宣言する。
目の前で友人だったものが繰り広げる痴態を目の当たりにし、サフィは遂にこの状況を正しく理解する。
別の人間の魂が、他の人間の肉体を乗っ取る。常識を遥かに逸脱した結論であったが、2人の豹変ぶりにはもはやそれしか思いつかなかった。
「……本物の2人の魂をどこへやったの……!」
「くふっ、片方はそこに転がってるぜ?」
「!? ……まさか……!」
サフィが目を向けた瞬間、机の上の髑髏がカタリと動く。髑髏に少しだけ魔力が流されたのだ。
「ァ、ア"ッ……さふぃ……!」
「うそ……ミリアなの? シルヴィアなの……?」
「そいつは俺の肉体を使ってた女だぜ」
「……っ! ミリアっ、ミリアなのねっ!?」
「くふっ、ミリアはもう俺の名前だろ? そいつはタダのアンデットさ」
「ゥウ……くそッ……コンナ……」
怒りや悲しみを露わにする髑髏を見ながら、ミリアは身体を撫で回し、悦に浸る。その光景は骸骨の中にいた亡者の魂と、気高きミリアの魂がサフィの想像した最悪の結果に陥っていることを証明していた。
「戻してっ! 彼女を元の身体に戻してよっ!!」
「くひひっ、アンタは他人より自分の心配をしたらどうだ?」
「そうだな。そろそろ始めるとしようか」
「な、まさか、私の身体まで奪うつもりなの……!?」
「最初から儂の狙いは君ただ1人だったよ。賢者に最も近いと謂われるその才能、これからは儂が有効に使ってやろう」
「嫌っ、やめてっ!!」
「ではゆくぞ。『ーー大いなる神の名の下に、かの2人の器を取り換えたまえ。永遠に』」
瞬間、衝撃とともにメテウスとサフィ、2人の魂が身体から追い出される。
同時にサフィに向けてメテウスが近づいていく。
(まさか、本当にっ……!)
(ククッ、ではいただくぞ、その器)
(嫌っ、私の身体は渡さないっ!)
魂を抜き取られたサフィだったが、咄嗟にギリギリで繋がった自分の身体に命令を送り、身体中の魔力を魂へと流してなんとか自分の身体にしがみつく。青い魔力が魂の内を隅々まで流れ、根を張るように魂を肉体と繋いでいた。
必死に身体を維持しようとするサフィを見て、メテウスはニヤリと笑みを浮かべ、サフィへと近づいていく。
(一つの肉体に一つの魂、これなら貴方は私の身体を奪えない! そうでしょう!?)
(ふふふっ、素晴らしい、君は実に素晴らしい!! この短時間で儂の望む結論に至ってくれたのだからなぁ……!)
(……?何を、言って……!? きゃっ!?)
メテウスはサフィと同じように肉体から赤い魔力を魂の両手に溜め、サフィの腕をつかむ。瞬間、赤い魔力がサフィの魂に流れ始めたのだ。
赤い魔力はサフィの青い魔力と混ざり合い、紫色に変わっていく。……それは紫色というには少しドス黒いものであったのだが。
侵食は更に更に続き、続々と流れ込む魔力にサフィの魔力が侵されていく。混ざり合った魔力は黒みがかった紫色になり、サフィの魂へと逆流していく。
(そんな、やめてっ、私の中に入ってこないでっ!!)
(無駄だよ、君の魔力はすでに我が継承術を受け容れてしまったのだからなぁ……)
嫌がるサフィを完全に無視して、魔力は遂に魂に回り切り、繋がっているサフィの肉体めがけて侵食を始めてしまう。
身体は抵抗を許されず、虚ろな眼のままビクン、ビクンとただ痙攣を続けた。しかし暫くするとその痙攣も収まる。それはメテウスの魔力が完全にサフィを侵食しきった証で。
絶望に包まれるサフィを見ながら、メテウスはニヤニヤと嗤い続ける。
(くくっ、これで君の魔力は儂のモノだ。故に、こういうことも出来る)
(……!!?そんなっ、私の、身体がっ……!)
瞬間、サフィは驚愕に包まれる。サフィの肉体の両腕が、虚ろな眼のまま動き始めたからだ。
なんとメテウスは掴んだ魂の手の、サフィの魂を通じて魔力を操り、その力でサフィの肉体を操りだしたのだ。
いくらか確かめるように手を動かし、声を出す。先ほどまで自分が使って、使えていたはずの身体が勝手に操られる事にサフィは恐怖し顔を歪める。しかし肉体の方はだた虚ろな眼をしたままだった。
(うむ、上手く動く。良いぞ、これなら出来そうだ)
(何、何なの!?私の身体に何をさせるつもりなのっ!?)
「……ァ、『旧き神の名のもとに、我が肉体を、魂を、新たな支配者の器とする』」
(これは、嘘、そんなまさかッ、降霊術っ!?)
降霊術。自らの肉体を容れ物とし、その権限を明け渡してしまう術。本来なら降霊師たる人間が制限時間を定めて行う術を、あろうことか制限時間なしで、肉体だけでなく魂まで明け渡す術式として使用させられてしまった。操られたとはいえ唱えたのはサフィで。
サフィの魂には突如穴のようなものができる。その穴は支配者を迎え入れるための穴であった。
(ふははっ、完璧だ。儂の求めたのは君の肉体だけではない! その才能、能力、魔力、魂。そのすべてを頂き、我が器として永遠に使い込んでやろう!!)
(嫌、いやっ、やめてっ、こっちに来ないでぇっ!!)
(無駄だ、君の魂はすでに儂のモノ、さぁ、その全てをイタダクぞっ!!)
(イヤあああぁぁぁあぁぁあああぁぁっ!!!)
メテウスの魂はサフィの穴に向かって手を突っ込む、その手は容易く彼女の中に吸い込まれ、更に頭が、胴が、魂全体がみるみるうちにサフィの魂へと収まっていった。
全てが収まると穴は閉じ、メテウスの魂はサフィの中に取り込まれてしまった。
……サフィの中で何かが蠢く。何かではないことなど分かっている。メテウスの魂だ。
(嫌ぁ、気持ち悪いっ、私の中から、出ていってぇっ……ククッ、無駄だよ。もう君の思考に入った。この魂は既に我が物になりつつある。……嘘、今の、私のっ……!)
サフィの思考にそのままメテウスの魂が介入し、彼の思考がそのまま自分のものとして反映されている。もはやサフィは自由に自分の意思で考えることすら許されなくなってしまったのだ。
必死の抵抗を試みるも、その思考さえ塗り替えられ、メテウスという異物を受け入れるように構成し直される。
(そんなぁ、いや、私が、消えっ……そうではない、君は儂の一部として、永遠に生き続けるのだ。世界中の魔導師を超越した、究極の魔導師の魂として、永遠にな。……永、遠……? 私は、消えない? 永遠に、生き続けるの……? ……そうだとも。君はこの肉体が朽ちたとしても新たな肉体へと移り、儂と共に永遠に魔導を究めるのだ。そのために我々は一つの、理想の魂へと生まれ変わるのだ。 ……私は、儂は、永遠に……ふふっ……!)
その甘言はつまるところサフィが永遠にメテウスの一部として、死すら許されずに利用され続けることを示していたが、もはやサフィの魂はメテウスに汚染され、まともな思考は望むべくもなかった。
遂にサフィから苦しみの表情が消え失せ、その魂はニヤリと歪な笑みを浮かべる。メテウスの魂が、サフィの思考を操ることで彼女を取り込み、魂を乗っ取ることに成功してしまったのだ。
(遂に、遂に手に入れたぞ!! 雌雄の魂を同時に持つ究極の存在! これこそ我が真の魂に相応しい!! さらにこのサフィという清らかで美しい魂の形……! 最高だ、儂は今最高の存在に昇華したのだ……!! では、手始めにこの魂に相応しき肉体へと『戻る』としようかな……)
サフィの形を得た魂は、虚ろな眼をしたままの同じ形の肉体へと入っていく。そこに他の魂や魔力が入った時のような、痙攣や拒否反応が起きることは一切ない。当然だ。あるべき魂があるべき肉体へと戻っただけなのだから。
「ふふっ、ただいま。私の身体」
身体を取り戻したサフィは柔らかい笑みを浮かべる。しかしその瞳に宿る光は明らかに彼女のものとは違う、邪悪なものが宿っていた。
その姿はサフィの性格を纏ってはいるものの、魂が完全にメテウスの手に堕ちていることの証明ともなっていた。
「ああ、素晴らしい。若くて綺麗な肉体……これが新しい儂の、私の器……!」
立ち上がって、身体を撫でる。魂の命じるままに身体は興奮を露わにし、心臓が高鳴っていく。
以前の、古くなり性欲さえ衰えた肉体とは違う、若く瑞々しい肉体で、再びメテウスとしての魂に性欲の火が灯る。
「ふふふっ、やはり若い身体は良いなぁ……! 他の2人ほど成熟した器でないのが少し心残りではあるが、まぁ飽きたら乗り換えればいいからな、しばらくはこの肉体を愉しむとしよう……んっ♡」
「ふひっ、旦那の幼めの身体もいいじゃないですかぁ、なんなら先輩である俺たちが若い女の肉体の良さ、教えてあげましょうか?」
「数時間程度先輩の分際で何言ってるんですか? メテウス様、私のこの美しいボディに溺れてもいいですよ?」
親友同士だった3人の少女の器は、言い合いながら互いの身体を弄りあう。見た目は3人の若い娘であったが、中身は男の欲望に支配され、同性であるはずの互いの肉体に欲情しあう存在へと堕ちていた。
「なるほどっ、これが若い女の感覚かぁんっ♡、魂と記憶には刻まれていたが実際に感じるのは、んっ、違う感じで、良いなぁっ……ひゃんっ♡」
「あははっ、旦那かわいい声出すじゃないですかっ、こことか、どうですっ?」
「はぁあっ♡そこやばっ、気持ちいぃっ……!」
「では私はこことか、どうですっ?」
「んひゃああぁぁっ♡♡同時やばいっ、凄いっ、せっかく手に入れた脳みそ狂っちゃうぅっ♡」
淫靡に絡み合う3人の少女たちの肉体。その姿をただ1人残されたミリアの魂は絶望のまま見せつけられていた。
「コンナ、事ッテ……! しるゔぃあっ、さふぃ……!」
「ふふっ、そうだな……シルヴィアだけ死んだままというのは可哀想か。では……」
サフィはそういって水晶に手を掲げる。映されたのは洞窟の入り口。ミリアには覚えがあった。ここはミリアが、シルヴィアが魂を容れられていた骸骨を粉々に打ち砕いた場所だった。
斃れている骸の1つの近くに、薄っすらと少女の姿が現れる。その姿は他でもない。シルヴィアの魂のものあった。
「ナ、何ヲ……」
「フフッ、あぁ、この力素晴らしいなぁ……以前より遥かに簡単に死者の魂を操れる……」
クイっと指を引くと、シルヴィアの魂が部屋の中に引き込まれる。死者となっている魂に意識はない様子で、ぼーっと虚空を眺めている。彼女の権限は今全てサフィが支配しているのだ。
「さて、これから君の器はこの肉の塊だぞ」
言って、シルヴィアの魂が器へと入れられる。それは抜け殻となって斃れていたメテウスの肉体であった……
「ソンナ、しるゔぃあガ、めてうすノ中二……ッ!」
「ふふ、それだけではない。この娘は既に死者だからな?」
「……御主人様、命令をどうぞ」
「その魂は儂の思うがままという事だ」
死者として甦らされたシルヴィアの魂はメテウスの屍術の支配下に落ち、もはや彼に絶対の服従を誓う下僕へと落ちてしまったのだ。
「ミリアが君をこの世に帰したいと言うから新たな器を与えてやったぞ。君にはこのまま儂の代わりに王国に捕まり、そのまま処刑でもされて貰うとするかな。殺されたらまた呼び出して新しい器に入れてやる」
「畏まりました、御主人様。これから私は屍術師メテウスとして王国に処刑されます」
「ククッ、では行くとしようか」
「はい。御主人様の仰せのままに」
「ソ、ソンナ……」
「くひひっ、じゃあ俺達も行こうかミリア? 俺達の輝かしい、新しい人生。お前にはずーっと見せてやるからなぁ?」
シャックに乗っ取られたままのミリアの身体が、本来の魂を容れた髑髏を持って、3人は洞窟を後にする。
1人は殺された上に死者として魂を操られ、これから更にメテウスとして処刑されようとしている。もう1人は動けぬ骸に魂を移され、何もできないままこれからもずっと自分達の身体が使われるのを見続ける。最後の1人は屍術師の魂の器となって、永遠に彼の一部となって肉体を移り続けることとなった。
後に屍女王メテウス=サフィとして永遠の時を生きる魔導師。彼と彼を支える2人の男達の伝承は、ここから始まったのだ……