抜け殻の巫女
- 2021/06/22
- 21:42
pixivリクエストにて、上弦さんからいただいたリクエストです。
リクエスト内容も記録するようにしてるんですがこっちに書くと地球が3周してもネタバレなので小説の後に書いときます。
もし僕に(以外の誰かにでも)依頼する場合は参考にするといいかもって思います。僕からは以上。
山に囲まれた葛城市。人口約6万人の中規模市街の外れで、街を護るようにそびえ立つ、森上神社。
そこには代々、霊と対話する力や祓う力を持った巫女が生まれており、神社の一人娘である森上鈴奈もその力を受け継いでいた。
昼は高校生として、いわゆる普通の生活を送り、夜には巫女として身の回りに現れる悪霊を祓ったり、成仏できずにこの世に留まっている霊たちを救けながら日々を過ごしていた。
現代において、既に巫女や神社としての機能は形骸化してはいたものの、母からの「力を持って生まれたなら、その責務を果たさなければいけない」という教えを守った結果でもあった。
長く伸ばした髪が邪魔にならないよう後ろに巻いて、巫女用の装束を纏った少女は少し垂れた目元からは想像できないほど真剣な表情をして息を整え、自らの集中を促す。周りからは可愛らしい見た目をしているといわれる彼女だが、今の真剣な表情を見ればその意見も覆るだろう。元より歴代の巫女たちの中でも最上級の才覚を発揮していたが、それでも生真面目な性格の彼女は毎日のように自室で術の研鑽に励んでいた。
「よし……! もう1回っ……!」
彼女が習得に打ち込んでいたのは封印術とよばれるもの。除霊術は巫女本人の資質によるものが大きく、後天的に力が強くなることがほとんどないため、自らの力を超える霊に対抗する手段としての封印術が有効だというのが理由だった。
鈴奈ほどの力があればそういう事態に陥ることは殆どないのだが、両親は霊力がなく、先代と呼べる巫女もいなかったため、彼女は自分の才能が今までの巫女より遥かに秀でていることにも気づかないままなのだ。
……そして、その修行はあまり上手くいってはいなかった。
「…………」
(くぅっ……!! また失敗したぁ……!)
書物で学ぶことしかできないがゆえに未完成で、対象指定が曖昧な封印術はあろうことかたまたま近くにいた「鈴奈自身の魂」を封印してしまうのだ。
結果として鈴奈は術の力で魂を抜き取られ、封印先にと用意している香水の瓶に囚われてしまうことになる。封印する時間だけはなるべく短く、約1時間ほどに設定できたことがせめてもの救いだろうか。
「…………」
(うぅ……)
しかし少なくとも1時間の間、鈴奈の身体が抜け殻になるということには変わりなく、主人を失った彼女の肉体は虚ろな眼をしたままその場に座り込んでしまう。生きているような死んでいるような、曖昧な状態になっているらしい。
いつも通りに1時間待てば魂は封印から解き放たれ、再び自分の身体へと戻ることができるから、鈴奈は瓶の中で今回の失敗を省みていた。本来、物理的な肉体を持つ人間なら身じろぎ一つで衣擦れの音でも立ちようものだが、動く身体がない今の鈴奈にはその音さえ起きることはなく、静寂に包まれた部屋は物思いに耽るには丁度良く、嫌いな時間というわけでもなかった。
……だが、その日は違った。違ってしまった。
(……え?)
ヌルリと、部屋の壁をすり抜けて男の姿が現れる。でっぷりとした中年の見た目をした男に、鈴奈は嫌悪感を覚えると同時に、混乱してしまう。術の練習をする前には必ず結界術を施しており、部屋の前に盛った塩を退かさない限り、鈴奈の霊力ならば少なくとも半日は部屋の中に霊が入ることなどできるはずがなかったから。
2度目の術を唱える前に、盛っていた塩を猫が倒してしまったことにも気づかないまま、自分の身体が本当の意味で無防備になってしまっていたことに気付けなかったのだ。それほどまでに集中し、没頭していたのだ。
(なにを……っ!? まさか、うそ、やめて!!)
男の霊は部屋の中央で座る鈴奈の姿に、彼女の今の状態に気付いてしまう。ニチャァっ、と汚い笑みを浮かべて、空っぽになったままの鈴奈の身体に自らの霊体を差し込んだのだ。
瞬間、動かなかったはずの鈴奈の抜け殻はビクンと、電気でも受けてしまったかのように大きく跳ねた。
「う゛っ、ぃ、あ゛っ……ぎっ……か、から、だ……いき、た、からだっ……!」
(やめてっ!! 私の身体をそんな乱暴に扱わないでぇっ!!)
霊は自らの霊体を鈴奈の肉体に押し込み続ける。何度も何度も小刻みに出入りを繰り返し、無理矢理彼女の体内へと収まっていこうとしているのだ。
鈴奈への出入りを繰り返しながら、その魂は着実に彼女の体内に入り込んでいく。ついに霊の頭が鈴奈の中に入ると、今まで悲鳴のような嗚咽を漏らしていた鈴奈の喉が確かに言葉を発する。それは彼女の肉体が鈴奈ではない別人の意思に操られ、声を発してしまった瞬間でもあった。
普通ならば生きている人間に、死んで霊になった人間の魂が入ることはできない。しかし魂がなく、生きている状態から多少なりとも離れてしまっていた鈴奈の肉体は男の侵入を許し、その魂に操られようとしていたのだ。
しばしの痙攣の後、鈴奈はゆっくりと瞳を開ける。瓶の中にいる鈴奈にとって、自分の身体がひとりでに動き出す姿は当然あってはならないもので、恐怖でしかなかった。
「ぎっ……ごっ……ぉ……う゛……は、はいれた、入れたっ……ひひ、ふひひひっ……!」
完全に男の霊を取り込まされた鈴奈の肉体は、封じられたままの彼女の意思とは無関係に自らの身体を抱きしめ、ニヤニヤと笑みを浮かべる。その顔は正真正銘鈴奈本人のものだったが、その表情には先ほどの男の霊のようないやらしさが含まれていた。
(ゆ、幽霊さん……? それ、私の身体だから、で、出ていってくれません……か?)
「? なんだ、今の声……? こっちか……?」
鈴奈は自らの技術の一つである念話を使って、自らの身体に取り憑いた存在に対してなんとか自分の身体から出ていってもらおうと説得を試みる。普通の人間なら聞こえるはずのないものだったが、霊力を持った鈴奈の身体は魂から送られる念波を受け取り、その情報を自らの憑依した男に伝えていた。
念話という行為そのものが鈴奈の肉体の持つ霊的能力と男の魂を繋ぎ合わせる一因となってしまったことに気付けないまま……
「この瓶……?」
(そ、それは私の身体なんです。術に失敗して封印されちゃったけど、すぐ戻るから出ていってくれませんか……?)
「…………」
声がする方向を無意識下で鈴奈の霊力を使うことによって探り当てると、鈴奈の封じられた瓶の方へと顔を向けて彼女の声に耳を傾ける。
鈴奈の肉体に乗り移ったままの霊は、彼女の顎に指をあて、少し考えたそぶりを見せていたが、やがて顎を撫で、頬を撫で、そのまま首筋から下へと手を這わせていく。その動きは「確認」というよりも「まさぐる」といった方が正しいもので、触り方にいやらしいものが内包されていた。
考えごとをするようにへの字になっていた鈴奈の口が徐々に口角を上げ、最後に鈴奈の魂を封じた瓶を見つめながら邪に笑う。その表情は今までの人生で鈴奈の顔がしたこともないようなほど歪で、なにより嘲るかのような顔つきで。
「嫌だね。こんな美少女の身体を思い通りにできる状況で、大人しくしてるわけないだろ……!」
(な、なにを……!? ちょっとっ!! 触らないでっ!!)
男はニヤニヤ笑いながらそう答えると鈴奈の両手を更に操り、顎に当てていた手を首筋に、鎖骨にと移動させていく。胸、腹、股間、脚まで鈴奈を両手で確かめるように触っていくと、今度は巫女服に手をかけ、下着ごと思いっきりずり下ろした。形のいい乳房がその存在を主張するように揺れながら、部屋の外気に晒される。
綺麗なお椀型の乳房の上に載った彼女の乳首は男の意思が興奮しているせいか、普段よりぷっくらと膨らんでいる様子であった。年頃の少女ゆえ、多少の知識も経験もあったものの、自らの身体を眺めながらその姿に興奮し、ニヤニヤと笑みを浮かべる『鈴奈』の姿は彼女自身が知る由もないもので、同時に今から自らの身体がどのような目に遭わされるかと、最悪の事態を想像してしまう。
「おぉ……服着てるときは分からなかったが、結構いい乳してるじゃないか……!」
(ちょっと、やめてっ、私の身体、やめてよっ……!)
男は鈴奈の指を操り、形のいい少女の乳房に手を掛ける。白く綺麗できめ細やかな鈴奈の肌が、彼の動きに合わせてプルプルと揺れ動く。その姿に愉悦を覚えた男は更に指に力を入れてみたり、身体を揺らすことで物理的な反動を確かめていく。
「っ!? ほ、ぉっ……♡ この感じ、乳首か……? んっ♡」
乳房を揺らし、揉み、鈴奈の肉体を探索するように楽しんでいた男だったが、彼女の指が乳首を擦れた瞬間に流れ込んだ快楽に興味が移ると、今度は人差し指と親指でピンと勃った桃色のソレを摘み、やさしく捏ねてみた。
その瞬間流れ込んだ快楽は男の望んだもので、鈴奈の喉からは甘い鳴き声が漏れ出てしまう。
(ねぇ、やめて、お願いやめてっ……! それは、私のっ……!)
「あはっ♪ 気持ちいいっ♡ もっと、もっとぉ♡ 鈴奈のカラダをいじいじしてぇっ♡」
自らの喉から飛び出た嬌声を聴いた男は、いい気になって更に鈴奈の喉を使って更に媚びた声を発させ、自らを昂らせていく。鈴奈の魂が必死に呼びかける声などはとうに聞こえないほど小さく些細なものになっていた。
指先の動きは更にエスカレートし、力もどんどん強くなっていく。そうやって激しさが増せば増すほど鈴奈の喉から漏れる声も淫らになり、ついには口元から涎がこぼれだした。
「はぁあぁっ……♡ 鈴奈の乳首コリコリするの気持ちいぃ……♡ イジればイジるほど、身体が気持ちいいことを欲しがってるのが分かるぞぉ……♡」
(そんな、そんなことないっ! 私の身体はそんなこと考えないっ!)
男が発した鈴奈の肉体への感想に、鈴奈は必死に抗議する。自らが生まれてから今日まで共に過ごしてきた自分だけのもののはずのカラダ。それが男の望むままに淫らな行為を受け入れてさらなる快楽を望んでいるなど、考えたことも、考えたくもなかったから。しかし男の魂と鈴奈の肉体の行為は止むどころか更に激しくなっていく。男の魂が鈴奈の肉体へと送り込んだ興奮信号で、今まで鈴奈が見たことないほどにピンと勃起した乳首と乳輪を抓るように捏ねまわし、快楽のままに嬌声をあげる。
「くふっ、ぐふふっ……♡ おっぱいだけでここまで気持ちいいなら、こっちはさぞかし良いんだろうなぁ……♡」
(!? ま、待ってっ! やめてっ! そこはダメっ……!)
男は鈴奈の乳房から下へ下へと興味の対象を移していく。滑らかな肌をしたお腹から臍、そして更に下で刺激を待ちわびるかのようにジンジンと疼いてくる鈴奈の性器へと。
鈴奈の必死の静止を無視して、男は彼女の両手を操って、股間を覆う最後の防壁をずり下ろしてゆく。染み出てしまっていた液体が名残を惜しむかのように性器と布地で糸を引きながら、遂に鈴奈の下着は剥ぎ取られてしまった。
鈴奈の顔は更に笑みを深めて、外気に晒されてしまった股間を眺めようと下を向く。
「んー……よく見えないな……せっかくこんな美少女のおまんこがすぐそこにあるってのに……乳が大きいってのも考え物だな……」
他人の身体の事を好き放題言いながら、男は鈴奈に次なる命令を送る。下を眺めても見られないから、部屋に備え付けられていた鏡の前に座り込み、鈴奈の性器を鏡に映しだしたのだ。
そうしてついに鈴奈が本来誰にも見せたことなどなかったはずのその場所が、彼女に取り憑いた見ず知らずの男の眼前に晒されてしまった。
「おほぉ……♡ これが女子高生の生おまんこっ……!」
(やめて……っ! 私の身体でそんな顔しないでっ……!)
ぢゅるりと、垂れた涎を吸う音を鳴らす鈴奈の身体。その眼差しは肉欲が混ざった邪なもので、今までの鈴奈ならば、いや、女性であれば誰しもするはずのないほどいやらしい視線。鈴奈の身体に宿った男の魂は彼女の肉体に自らの欲望を再現させているのだ。その姿はまるで鈴奈の身体そのものが男の欲望と融合させられているかのようで、鈴奈自身の身体が別の何者かに作り変えられているかのような錯覚を覚えさせてしまう。
そんな鈴奈の肉体の変化など当然と謂わんばかりに、操られた鈴奈の指は無慈悲に秘所へと近づいていく。鈴奈しか触れたことのないその場所に、鈴奈しか触れることを許してこなかったその場所に、見ず知らずの男の意思と欲望を詰め込んだ細い指が触れる。触れて、しまった。
「ほぉっ……! へぇ……! くひひっ……♡」
鈴奈の可愛らしい顔が情欲に取り憑かれたまま、指が股間に触れるごとに吐息のような声と共に全身をピクピクと痙攣させて、綺麗にまとまった長く黒い髪を揺らしながら快楽を享受し続ける。ペロリと艶めいた舌が唇の間から顔を出し、垂れかけた涎を舐めとった。操られた鈴奈の動きは止まらない。むしろ段々と快楽の味を覚えて求め、指の速度は増していくばかりであった。
「はぁっ……きもちいい……これが、女の……♡」
(やめてっ、やめろっ!! こんなの私じゃないっ……!)
鈴奈だって人並みの女子高生だ。性についての興味がないといえば嘘になるし、身体がどうしようもなく昂って、鎮めるために慰めたことだってある。そんな鈴奈と、今目の前で痴態を晒す彼女は、身体は同じでもまるで別人のようであった。実際に別人ではあるのだが。
今までの鈴奈がしていた行為とはまるで違う、鈴奈という女体への興奮を露わにし、その欲望を鈴奈そのものに向けてしまうという倒錯した行為を、今の鈴奈は嬉々として行っている。その姿は本来の自分とは大きくかけ離れたもので、思わず魂の声を荒げてしまう。
彼女の魂にとって、目の前で痴態を演じ続ける自分の姿が鈴奈だとは到底思えない。乳房を責められた時にも抱いた感情がさらに大きくなって、鈴奈の魂と肉体の乖離を生んでいく。それが兆しであったことに、自らの身体を奪われ犯されている現実を前に感情的になっていた鈴奈本来の魂は気付くことができずにいた。
「っあぁっ♡ やばっ、何か、何かキたっ♡ これって、もしかしてっ……♡」
(!? 嘘っ、だめ、ホントにだめっ!!)
昂った身体が求めるままに股間の突起をきゅっと摘みながら濡れそぼった性器で指を暴れさせると、恥じらいなど欠片もないほど淫らな音が部屋中を響き渡り、同じく恥じらいのない声がこだまする。今まで一人で自らを慰めていた時には出したことのない大きな声と大きな音で、鈴奈の肉体と男の魂は思うままに『鈴奈』という少女としての快楽を存分に享受して、遂に鈴奈の肉体はその果てに到達してしまう。
それは生娘のまま過ごしてきた鈴奈の人生にとって初めての出来事。鈴奈の初めては今ここで、先ほど鈴奈と出会ったばかりの男に奪い取られてしまったのだ。
「……っ……ぁ…………っーーー……!♡♡♡」
(っ……! ……なんて、酷い……!)
身体の中で大きく膨らみ、弾けた快楽が鈴奈の身体へと襲い掛かり、腰が大きく跳ねる。衝撃で結んでいた髪留めがほどけ、長い髪を振りしだきながら絶頂の衝撃に打ち震えていた。焦点の定まっていない瞳と、だらしなく口元から垂れた涎に、鈴奈の肉体が持つ快楽を一身に受け止めたことでだらしなく淫れた鈴奈の顔は、もはや少女というよりケダモノといった方が適切とさえ思えるものだった。
「はぁ……くふふっ……女の子のカラダってこんなに気持ちいいんだね……これは癖になっちゃうかも……んっ♡ 男と違って一晩中ヤれるかも……」
絶頂の余韻に浸りながら指が挿入ったままになっていた股間を捏ねまわす。くにゅくにゅと膣肉と指が淫液をかき回す音を響かせて鈴奈としての快楽を味わい続けながら、男は鈴奈の魂を封じている瓶に向けて話す。淫らな水音を鳴らしながら指先で突起を捏ね、鈴奈という少女の快楽を享受し続ける。
股間は鏡の前から鈴奈の瓶の方へ向き、自身の肉体が織りなす痴態を見せつけていた。
(許さないっ……! 元に戻ったら絶対、強制除霊してやるっ……!)
「おぉ、怖い怖い。じゃあ今のうちにこのカラダ、愉しませてもらわないとなぁ?」
鈴奈の肉体が快楽にどっぷりと堕ちてゆくのに対して、鈴奈の魂はそれを否定し続ける。男の魂が鈴奈の身体を犯せば犯すほど、鈴奈本来の繋がりが緩み、代わりに彼の魂が肉体へと結びついていく。魂と肉体との距離があった鈴奈は気付けないままだったが、身体の中にいる彼は確かにそれを感じ取っていた。鈴奈の魂を煽り、淫れに淫れることで鈴奈から本当の意味で肉体を奪いとれるのではないか、と。彼女の魂を煽るのは鈴奈の精神を更に追い込み、鈴奈の魂と肉体を完全に切り離す算段があってのことだった。
そして彼の導いた仮説は、最悪の形で実りを得てしまう。
「これ、鈴奈の記憶? ……ぁっ……ふーん……そっかぁ」
(っ……! そんな、私の記憶を……!?)
今までただ操るだけであった鈴奈の身体。その脳みそから、彼女が大切に保管してきた記憶そのものへとアクセスすることに成功してしまったのだ。一度接続を許してしまった鈴奈の脳は何の抵抗も許されず、ただただ男の命ずるままに記憶を吸い上げられていく。小さい頃仲の良かった友達、好きな食べ物に嫌いな食べ物、得意な授業、今仲のいい友達の情報。何より、初恋とそれを思って自らを慰めた記憶。
「ふーん……女の子のオカズってこうなってるんだぁ……好きな人のことを考えて身体をイジると……んふぁっ……♡」
脳を支配して記憶を読むべく頭に当てていた手を再び乳房と股間に向かわせる。記憶を読むことに成功した鈴奈の脳髄に想い人の記憶を再生させながら、鈴奈の行為をなぞることで彼女が得ていた快楽を引き出そうとしたのだ。
秘穴に指を指し込むと、先ほど以上の快楽が弾けて鈴奈の体内を迸る。蕩けた瞳は肉体が快楽を受け入れている証拠でもあり、鈴奈の身体が男の凌辱に快感を得ている証でもあった。
「あはっ♡ コレは使えそうだぁ……♡」
(いや、やめてっ……私の思い出まで勝手に使わないで……!)
鈴奈の抵抗をよそに、彼女の指先は止まることを知らずに股間を蠢き、ほんの少し膨らんだ肉の突起をツンツンと弄る。そのたびに腰を中心に全身が跳ねまわる。先ほどの自慰によってはじめての物ではなくなったが、先ほど以上の快楽に痙攣も、声も、指の動きも、エスカレートし続ける。
先ほどの絶頂で既に昂っていた鈴奈の肉体が、さらなる快楽と共に再び高みに至るのは容易く、先ほど以上の予感に彼は期待を膨らませて手の動きを速める。嬌声と水音が下品に鳴り響きビクビクと震える肢体はもはや鈴奈に取り憑いた男の意思さえ無視して、ひとりでに快楽を求め自らを貪っている様子であった。
「あぁぁあぁっ♡ イくっ♡ またイかされちゃうぅっ♡ ……っ……!」
(っ!! また、私の身体でっ……!)
ベトベトに濡れそぼった股間の頂点で。膨らんで自らの存在を誇示する陰核を強く摘んだ瞬間、再び鈴奈の身体は絶頂を迎える。先ほどの、鈴奈に欲情して行ったものとは異なり、鈴奈の記憶を利用して行った自慰による絶頂は、鈴奈の身体のセキュリティを先ほど以上に緩くしてしまう。侵入者の魂をさらに奥へと受け入れ、自らの存在そのものにすら干渉できかねないところまで。
……そして男は、この瞬間を待ち望んでいた。
「くひひっ……! 今だっ……!」
ニヤリと笑うと、鈴奈を操る男は絶頂に酔いしれる身体を感じながら目を閉じて意識を集中する。
絶頂直後のこの瞬間、快楽の衝撃で緩んだ鈴奈の脳の奥深くへと侵入を試みたのだ。鈴奈の頭の中は他人であるはずの彼の魂を簡単に通し、鈴奈が大切に保管してきた記憶と意識を司る奥底へと侵入させてしまう。
今の鈴奈を構成する大事な人格や記憶が保存された脳の奥で、先ほどまで鈴奈の身体が思い浮かべ、自らを慰めるのに使っていた好意を、鈴奈の記憶にある男から鈴奈に乗り移っている自分自身へと移し替え、鈴奈の魂から肉体を寝取る算段だったのだ。
「あ゛っ、お゛お゛っ゛、ぎ、がぁ゛っ゛……! あ゛、あ゛-っ……--っーーっ……!」
(まって、なにを、私の身体に何をしてるの……!?)
彼の魂が鈴奈の奥底に自らを張り巡らせ、彼女の細胞一つ一つに直接命令を送り込む。本来人間として生きていたならあり得ないはずの行為に鈴奈の脳は強い衝撃を受け、四肢が独立してしまったかのようにひとりでに動き出す。
喉からはもはや呻きとしか聞こえない声がこぼれ、肉体が警笛を鳴らしているのが傍目にも分かる。そのような身体の異常事態にさえ、鈴奈本来の魂は瓶の中から見ていることしかできなかった。
「ぁ……ぅ……っ……はぁ、はぁぁっ……♡ ふふっ……ふひひっ……!」
1分近く暴れ、叫び続けた鈴奈の肉体が遂に全てを終えて床に横たわる。大きく深呼吸して、先ほどまで暴れていたのとは打って変わって、再起動でもするようにゆっくりと瞼を開き、上体を起こす。
ニヤニヤと笑ったまま身体を抱きしめると頬を赤らめ、瞳は上気して潤いを帯びる。今までの鈴奈を奪い取った男の邪なものとは大きく異なった、元の鈴奈と同じ乙女を思わせる振る舞いであった。その姿はまるで操られていること自体に喜びや幸福を感じているかのようで……
「はぁ……♡ 上手くいった……! 鈴奈の頭の中、書き換わっちゃったぁ……♡」
(……!? その顔は、なに……? 私に、何をしたの……!?)
「君の身体に残ってた好きな男への想いを丸ごと、俺に向け直したんだよ。お陰で俺に操られて使われてるってだけで感度が上がって……んっ♡ ぁあっ♡」
言いながら、先ほどの強烈な自慰行為より優しく性感帯を撫でまわすと、喉から漏れる嬌声が先ほどより自然に、遥かに甘くなって部屋中に響き渡る。頬を赤らめ、幸せにどっぷりと浸ってしまったような顔で快楽に喘ぐ彼女の肉体は、鈴奈が感じたこともないほどの恍惚に染め上げられていた。
彼の計画にまんまと嵌められて、鈴奈の肉体は今彼女を支配する簒奪者の魂に恋慕の感情を抱いてしまっているのだ。自らの肉体が他人に操られるという、本来あってはならないはずの行為も、自らの肉体が犯されているという異常な状態も、全てが好意に上書きされ、受け入れさせられてしまう。
「じゃあ鈴奈、挿れるぞ…………っ~~♡♡♡ やばっ♡ 凄っ♡ 軽く入っただけで、子宮がキュンキュン疼いてっ♡ 身体が犯せ犯せって叫んでるみたいだっ♡♡♡」
男の魂は鈴奈を求め、鈴奈の肉体も男を求める。多少の抵抗や、自分が自分にする行為と受け取っていた身体が明らかに性行為を意識した反応へと変わり、子宮は女としての機能を十全に果たそうと強力な求めと疼きを呼び起こす。そうなってしまった鈴奈の身体は触れるだけで濁流のような快感を引き出し、更なる幸福と快楽へと自らと体内の魂を誘っていく。
彼女の想い人に成り代わった魂は当然のごとくその要求に応え、鈴奈の膣のさらに奥へと進んで彼女の初めてを奪い取る。
「ぁあぁっ♡ 凄いっ♡ あははっ♡ このカラダっ♡ 感情一つでこんなに気持ちよくなれるんだぁ……♡ んひゃっ♡ んぐぉっ♡♡♡」
(っ……! そんな声、私の顔で出さないでよぉ……!)
鈴奈の肉体はビクビクと全身を跳ね回らせながら快楽に悶え、それでもなお責める手が止まることはない。声はますます甘く大きくなり、遂には蛙でも潰したかのような音まで零れだす。
瓶の中に仕舞われたまま、元の鈴奈は自分のモノだったはずの肉体が獣欲に塗れ、穢れていく様を見ているしかできない。
そうして再び鈴奈の身体は絶頂に近づいていく。今までで最も大きく、最も強い兆しと情欲に鈴奈の肉体と、彼女を操る魂は期待ばかりを膨らませ、股間を責める手は更に速く、淫らに、グチョグチョと音を鳴らしてゆく。そして昂った身体と心で、男は次なる命令を鈴奈へと送り込む。それは鈴奈という少女の人生を終わらせ、新しい『鈴奈』の人生を始めさせてしまうものだった。
「はあ゛ぁっ♡ 良いっ、良いぞぉっ♡ おい鈴奈っ♡ お前のカラダ、気に入った! お前は俺の、俺の新しい身体になれっ♡ 新しい俺として生きろっ♡ っぁあっ♡♡♡♡」
(あぁあっ……! いやぁっ……! やめてぇっ……! 私の身体を、これ以上奪い取らないでっ……!)
鈴奈に乗り移った男から鈴奈の肉体に対しての命令を、彼女の肉体は愛する相手からのものとして受け入れて、強烈で甘美な性感で返答とする。ただ憑依されただけの状態なら従わなかったはずの行為であろうと、今の鈴奈には関係なく、遂に彼女の身体は男の魂を自分の一部として完全に組み込む準備を始めだしたのだ。
辛うじて残っていた鈴奈の魂と肉体との繋がりが、更に小さくか細いものにされる。鈴奈の魂にも、自分の肉体が更に彼のモノへと置換されようとしているのが理解できたが、未だに瓶の中で叫び続ける以外にできることはなかった。
「い゛っ!? あ゛ぁあ゛ぁぁ゛ぁぁっ!? のーみそっ♡ すずなじゃないひとのモノに書き換わってるっ♡ ダメっ♡ 私、鈴奈じゃなくなっちゃうっ♡」
そんな彼女の意思など無視して、鈴奈の身体は男の命令を実行に移す。自らの脳内、細胞、あらゆる箇所を男に相応しいものに作り変えて、彼が新しい身体として使うのに相応しい器に生まれ変わろうとしはじめた。自らを支配する魂から記憶を継承して脳髄に記録し、彼の趣味趣向を受け入れて全身に流し込む。鈴奈という少女の身体を使って、生前の彼の環境を再現しようとしているのだ。
鈴奈の姿のまま、中身だけが丸ごと男へとすげ換わるという普通の人間にはありえない現象に、肉体は生理的な拒絶を示す。衝撃が全身を走り回り、声をあげながら部屋の中を這いずる。
「あ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁ゛っ!!! だめっ♡ だめだめっ♡ 私の中に男の人が入ってきてるっ♡ 俺の記憶がっ! 鈴奈のなかにぃっ♡♡♡」
脳の奥から表面に、血液に乗って『彼』という魂の情報が染み込み、定着していく。新たに生まれる細胞にも同じように彼の存在を書き込むため鈴奈の遺伝子すら支配し、彼女の存在そのものに干渉してゆく。
「わたしの、わたしのカラダがぁっ♡ 鈴奈じゃなくなっちゃうっ♡♡♡ たすけてっ、たすけてよ私っ……! じゃないとっ、俺が私に生まれ変わっちゃうっ♡♡♡」
その言葉は男の意思が発したものではなく、鈴奈の身体が行った最後の抵抗であった。彼女の肉体に最後まで残った鈴奈の魂への愛着、残留思念ともいえるものが、肉体が鈴奈ではない何者かに作り替わるという緊急事態によって励起され、最後の抵抗の声をあげたのだ。しかし、全てが手遅れだった。鈴奈の魂は彼女自身が上げた声に応えることはできず、鈴奈の肉体の再構築は完了しようとしていた。
「ひひっ……俺のカラダの癖に、最後に抵抗なんかしやがって……! お前は俺の新しい肉体としてこれからの人生を生きろっ! んはぁっ♡ っぅ~~っ♡♡♡」
細く美しい人差し指で陰核を潰すように押し込んで、鈴奈の肉体に最期を告げる快楽を送り込む。助けを呼んだ声を上書きするように悦びの悲鳴が喉から飛び出て、体内の細胞をくまなく塗り替えていく。もはやその少女の肉の器は、鈴奈と呼ぶのに相応しいものではなくなってしまっていた。
「だめっ♡ だめだめだめっ♡ はぁぁっ♡ なりますっ♡ 俺の新しいカラダの鈴奈になりますぅっ♡♡♡」
遂に鈴奈の肉体は抵抗する力を完全に失ってしまう。肉体に残された魂との繋がりを絶ち切り、新しく体内に入り込んだ魂を自らの主人に相応しい存在として身体の奥底へと誘い込み、鈴奈を司る核と溶け合ってしまう。鈴奈ではなく、彼女の身体に取り憑いた、先ほどまで見ず知らずの存在だった男の霊を自らと共に人生を歩む新しい魂だと認め、魂と肉体が完璧に結びついてしまったのだ。
生きた生身の肉体を手に入れた男の魂はもはや亡霊ではなくなった。鈴奈そのものを自らの新たな生命とすることに成功してしまう。
「ふふっ……ふふふっ……♡ 悪いね鈴奈ちゃん。君のカラダ、俺が貰っちゃったよ」
鈴奈の身体を本当の意味で奪い取ってしまった男は、鈴奈の魂が封じられた瓶を眺めながら彼女の顔を使ってニヤニヤと笑う。その表情も瞳に宿る光も、全てが邪悪そのもので、とてもうら若き高校生の乙女がして良いものではなかった。可愛らしい桃色の舌を、同じく桃色の瑞々しい唇から見せつけるように出しながら、自らに従う鈴奈のモノだった手足を、全身を見せつける。
「ホントに惚れ惚れするカラダだ。若いし、可愛いし、なにより霊力のお陰で魂の居心地が最高にいい……♡」
手に入れた鈴奈の身体の乳房をくりくりと弄りながら、その快楽に酔いしれる。動きそのものは今までと同じではあったが、今の彼は鈴奈の女体を今まで以上に自分の所有物だと認識し、確かめるように全身を愛撫していた。鈴奈の身体もそれにこたえるように頬を紅潮させ、全身をくねらせて甘ったるい声をあげる。一人の行為であるにもかかわらず、その姿は男女が愛し合い、まぐわっているかのようにも見えた。
「くふふっ……もしかすると元の俺よりこっちの方が住みやすいかも……♡」
(ふざけないでっ!! 私の身体は私のものなんだから、返しなさいってば!!!)
------ぱきっ
「ん?」
(!?)
その時だった。時間経過で封印が緩んだことと、鈴奈の魂が中で強く暴れたことをきっかけに彼女を封じていた瓶にヒビが入る。大きな亀裂ではなかったが、魂という不定形なものとなっていた鈴奈が抜け出すには十分すぎる大きさで、遂に鈴奈の魂は瓶の中から解放されたのだった。
(解けたっ!! 私のカラダっ! 返してもらうからっ!!!)
「あぁ、解けたんだ。そういえば1時間で解ける術なんだっけ」
ようやく瓶から解放された鈴奈の姿を見るや彼女の脳から術の記憶を引きずり出して、術の効果を確かめた。同時に鈴奈は男の霊に自分の大事な記憶がほじくり回されているという事実を痛感し、なんとしても自らの肉体を取り戻さねばと思って自らの身体へと勢いよく飛び込む。体内で男と身体を取り合い、その魂を追い出してやれば鈴奈の勝ち。鈴奈本来の魂であり、なにより巫女として魂の研鑽も積んできた自分が身体の取り合いで負けるはずはない。
突進する鈴奈に、男は逃ようとする気配すらない。ようやく観念したのかと思った鈴奈に、非情な現実が突き付けられた。
突進した鈴奈の魂は、バチッと音がするような感覚とともに、あろうことか自分のものであるはずの鈴奈の肉体から拒絶されたのだ。身体の中での取り合いどころか、鈴奈という肉体に入る権限すらないと告げられてしまったかのように。
「確かに、まだほんの少しだけど魂と身体に繋がりが残ってるから、この俺の肉体に君が乗り移るってのもあり得たかもしれないよね」
(っ!? そんなっ!? なんで私が私に戻れないの!?)
困惑する鈴奈に、彼女から奪った胸をいやらしく揉みしだき、彼女の声を操りながら男が告げる。本来の鈴奈にはそれをただ眺めることしかできず、奪われた身体は本来の意思など知らないと謂わんばかりに、鈴奈の身体は嬉しそうに微笑みながら自らの身体を慰め続ける。
折角封印から解き放たれたというのに、自らの物のはずの肉体に入ることすらできないまま、部屋には淫らな粘液の音が響き続ける。これでは封印されていた時と、状況は何も変わっていない。
「分かんない? この身体に結界を張ったんだよ。俺以外の魂を受け入れられないようにね?」
身体を奪い取り、定着することに成功したものの、鈴奈の魂と肉体は同じ姿であり、欠片程度ではあったものの彼女が自分の肉体に戻れるということもあり得ないことはなかった。ゆえに男は鈴奈の肉体に、元鈴奈の魂を拒絶する方法を思案させていた。そして彼の命令に服従させられた鈴奈の脳は、彼女が日々の研鑽でようやく手に入れた術の使い方も簡単に彼へと明け渡してしまう。
術を使う才能を持つ鈴奈の肉体と、術の使い方についての記憶の両方を手に入れた男は、結果として彼女の能力全てを利用することで本来の鈴奈が体内に戻れる可能性を0に書き換えてしまったのだ。
「自分の身体に拒絶されるなんて体験できるの、世界中でも君だけだよ?」
(そんな……! 私の、私の身体なのにっ……!)
鈴奈のものだったはずの肉体は彼女の魂が自らに戻れない事実に打ちひしがれているのを得意げに眺めていた。鈴奈としてこの世に生を受け、今日この日まで共に過ごしてきた自らの肉体であるにも関わらず、本来の自分を見下すように見つめる姿は、大切な自分の身体に裏切られてしまったかのようにさえ思わされていた。
そうしているうちにも鈴奈の身体は男に操られ、自らの肢体へと愛撫を続ける。甘ったるい、媚びるような声を漏らす姿は、このまま『鈴奈』が男のモノになってしまったらどうなってしまうか、どういう人生を送らされてしまうかを表したものに他ならない。
(だめ、返して、返してくださいっ! そのカラダは私の、私だけの……っ!)
「嫌だよ。これは俺が第二の人生を送るために使う大事な大事なカラダになるんだ。っていうか、脳みその奥底まで俺色に染まり切ってるから、戻っても元に鈴奈にはなれないんだし、このカラダはさっさと諦めた方がいいよ?」
鈴奈は何度も何度も自らの身体に体当たりを繰り返し、その中へと戻ろうと試みる。鈴奈の体内に居座る男は必死にぶつかってくる鈴奈に対して避ける素振りさえ見せず、奪い取った肢体を慰めては嬌声を上げて快楽を貪り続けていた。
声が大きくなればなるほど鈴奈の魂は必死に自らにぶつかっていったが、彼女本来の肉体が張り巡らせた結界が外からの魂の侵入を許すことはなかった。
「んぅ……♡ はあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁー゛っ……♡♡♡ 俺の新しいカラダ、ホントに気持ちいいなぁ……♡♡♡」
男に操られたままの鈴奈の肉体は、トロトロに蕩けきった顔でこの世の絶頂とでもいわんばかりに快楽を貪り続ける。鈴奈の魂は自らの肉体に戻ることもできず、ただ部屋の中で漂うことしかできない。せっかく解放されたというのに、これでは瓶に囚われていた先ほどと変わらなかった。
「安心してよ、このカラダは君の代わりに大事にだぁいじに使ってあげるからさ? はぁあぁぁあぁんっ♡ 何回でもイける鈴奈のおまんこ、最っ高だよぉ♡」
(やめてっ、やめてよぉっ!!)
だらしなく下に伸ばされた舌からは涎も垂らし、もはや何度目かさえ分からない絶頂に身をよじらせ、その快楽に酔いしれる鈴奈の肉体。グチョグチョに濡れそぼったそこからはとめどなく愛液が溢れ出し、カーペットは使い物にならなくなってしまったのではないかと思うほど汚れてしまっていた。それでも鈴奈の手が止まることはない。彼女の肉体を奪った悪霊は新しく手に入れた女体に酔いしれ、その快楽と、鈴奈という美少女を思うままに犯しているという愉悦を存分に享受していたのだ。
再び鈴奈の魂は自分の肉体に向かって勢いをつけて飛び込もうとする。……だが今回は違った。違ったのは鈴奈を乗っ取った男の動きだ。
(!? えっ!? 動けないっ!?)
「はぁ……そろそろ鬱陶しくなってきたんだよね。そのまま逃げれば見逃してあげたんだけど……えっと、こうかな?」
突進してくる鈴奈の魂を、彼女の肉体から奪った霊力を操って縛り上げる。操られ、何度も絶頂を迎えたことで彼の魂に忠実な肉の器へと作り変えられてしまった鈴奈の身体は自らの霊力の使い方まで洗いざらい教えてしまっていただけでなく、彼女が生涯をかけて培ってきた経験そのものさえ彼の魂に吸収させてしまっていた。鈴奈の巫女としての研鑽の全てが今、本来の鈴奈の魂に牙を剥こうとしていたのだ。
(そんな、これって、うそっ……!)
「君の術は脳みそから全部教えてもらったって言ったよね? 当然それは結界術だけじゃないよ。君が元の身体に戻ったら使おうとした強制除霊だって、ね?」
(いや、まって、やめてっ、そのカラダはもうあげるから、いや、いやぁっ!!)
男の魂に操られた鈴奈の身体が本来の彼女に繰り出した強制除霊の術。鈴奈が身体を取り戻したら男に放たれる筈だったそれが今、本来の鈴奈へと使われてしまった。文字通り霊を強制的にこの世から追放する術。男は鈴奈をこの世から追い出すことで、本当の意味で魂をなくした鈴奈の魂に成り代わって新たな『鈴奈』となり、第二の人生を送ろうとしているのだ。そしてその野望は今にも叶おうとしている。
(やだ、うそ、そんな、わたし、消えてっ……やめてっ、やめてよっ! 私の身体っ!!)
「安心してよ。君が残していったこの可愛い肉体は俺の新しい人生のイレモノとして大事に大事に使い込んであげるから。ふふっ、最高だよ。この気持ちいい身体を毎日愉しみながら、鈴奈としての女子高生の人生まで謳歌できるなんてね」
(いやっ、たすけてっ、いやっ、いやあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ…………)
鈴奈の叫びも虚しく、彼女の物だった肉体は男の命ずるがままに、今まで人生を共にしてきた主の魂を鈴奈自身の力と術を使いこなして葬ってしまう。肉体を失わされ、魂だけの存在になっていた鈴奈にそれを防ぐ手段はなく、その魂はあまりにも簡単に無へと還されていく。
自らが消えるその瞬間、鈴奈が最期に見たのは自分だったはずの肉体が男の魂の思うままに操られ、消えゆく鈴奈を嘲笑うかのように見つめながら乳房や股間を弄る姿。その姿は奪い取られた彼女の肉体が、これからどんな人生を歩んでいくかを表しているようでもあった……
鈴奈だった魂はその場から完全に消え去って、残された鈴奈の肉体は唇を大きく歪める。
「ふふっ……くふふっ……ぐふふふっ……!」
本来の主とのつながりを完全に失わされた鈴奈の肉体は、自らを今操っている存在を次なる主人と認識し、今度こそその魂に永遠の忠誠を誓う。彼女のことを性的な目で見る中年男の魂が、鈴奈の肉体どころか人生そのものを完璧に手に入れてしまった瞬間であり、鈴奈の肉体が彼の望むままに弄ばれて生きていくことが確定した瞬間でもあった。
「これからは俺が鈴奈だ。この若くて可愛くて気持ちいいカラダ、存分に愉しんで生きていくとするよ」
再び鏡の前に立って、生まれたままの姿となった女体を眺め、悦に浸る。彼にとってそれは正式に奪い取った新しい自らの肢体で、これから歩む人生の器そのものだ。そう考えるだけで先ほどまで悦楽に浸っていた鈴奈の性器はキュンキュンと疼き、さらなる快楽を求めて粘ついた液体を身体の奥から分泌していく。優しく触れるだけでピリピリと快楽を生み出し続けるその場所に指を突っ込み、ほじくり回すように弄りながら、本当の鈴奈しか体験することのできなかったはずの快楽を存分に享受する。
鏡には肉体を男に乗っ取られ、自らの肢体にさえ興奮してしまう淫らな女に生まれ変わってしまった鈴奈の姿が映っていた。
「勿論、こっちも……♡ はぁんっ♡ 大切に使い込んで、俺の器に相応しい雌にシてあげるからね……♡」
鈴奈が本来持っていた全ての権利が、彼女の肉体に定着した男の魂に移譲されてしまった。そこに本来の彼女の意思はなく、彼女はただ男の魂を容れる器となってこれからの人生を使われ続けるのだ。
そのことを表すかのように、男の魂に操られた鈴奈の身体は自らの股間と乳房に手を伸ばし、新しく手に入れた魂の器を犯すように辱めつづける。その日の夜が明けるまで、鈴奈の肉体が彼の欲望から解放されることはなかった……
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鈴奈の本来の魂が彼女自身の力によって除霊され、彼女に取り憑いていた男の魂が鈴奈の所有者へと成り代わったあの日から既に1ヵ月が経とうとしていた。既に鈴奈の肉体はその可憐な見た目とは裏腹に、身体の内に男の汚い欲望を宿して生きるのにふさわしいほど淫らな器へと作り変えられてしまっていた。鈴奈の身体を手に入れる際に利用した恋心も、既に女体の快楽と彼の欲望によって愛液と共にゴミ同然に洗い落とされ、鈴奈の身体は彼の精神と同化して女性にしか欲情できない女へと作り変えられてしまっていた。
はじめの内は鈴奈から奪い取った女という立場を利用した覗きやスキンシップ、鈴奈の女体を慰めるだけに納まっていたのだが、封印術の代わりに学び始めたある術を習得してから、その行為はエスカレートすることになる。
次に鈴奈は自らの家である神社の蔵の奥で封印するように仕舞ってあった術書から『操魂術』と記された術を完成させてしまう。それは術を掛けた相手の心と身体を思うままに操るという禁忌の術で、これを利用して思い通りの日々を送ることにしたのだ。これからも一生、人々を助けるために鍛え上げられた鈴奈の霊力は彼の欲望の尖兵として利用されることとなるのだろう。
「あの、秋葉先輩。折り入ってお話があるんですけど……」
「あら、貴女は……2年の森上さんですね。この書類だけ終わらせるから、座って待ってて下さらない?」
手始めに鈴奈は品行方正と謳われる生徒会長の宮瀬秋葉に狙いを定め、彼女が1人になった放課後を狙って接触を試みる。同じ女子高生である鈴奈の肉体と、辺りでも有名な神社の巫女という立場を利用しているがゆえに、秋葉からの警戒は微塵もなかった。
それだけでも鈴奈の肉体がどれだけ有用な器であるかが分かる。鈴奈の体内では男の欲望が際限なく渦巻いているというのに、更に歩いて近づいても、秋葉は机の上の書類に手を掛けたまま特に気にした様子さえなかった。
(くひひっ……元の俺なら声かけただけで警戒されるだろうに、やっぱり鈴奈の肉体は便利だなぁ……!)
未だ無警戒に書類と向き合う秋葉へと狙いを定めて、鈴奈は彼女の後方へと回り込む。体内で自らの霊力を操作し、秋葉へと使う術の準備が着々と整っていることにも、そもそも鈴奈が秋葉に危害を加えようとしていることにさえ、ついに気付かれることはなかった。
秋葉の全てを終わらせる鈴奈の指が、彼女の背後、後頭部に狙いを定めてゆっくりと伸びていく。
「ね、秋葉せんぱい」
「? どうしました? 座っていいと……ぃ……って……ぅぁ……」
「くふっ……! くふふふふっ……!」
触れた瞬間、鈴奈の手元で待機していた術が秋葉に掛けられる。ビクンと大きく身体を震わせた秋葉は目を見開き、身体をこわばらせてその場で痙攣したように震えはじめる。鈴奈の力によって、秋葉は今鈴奈に魂を握られてしまっているのだ。
片手で秋葉の頭を掴む形になっていた鈴奈は暇していた左手も秋葉へと差し出し、両手で秋奈の側頭部に触れる。それはまるで彼女の脳を掴んでいるような体制であった。
「成功だ……♡ これであの生徒会長様の身体も魂も思いのまま……! ここを、こうすれば……!」
「ひぎっ!? あ゛っ、い゛っ……お゛っ゛!」
両手をゆっくり引き寄せると、秋葉の中から彼女と同じ形をした半透明なものがするりと抜け出してくる。魂を抜き取られた身体は抵抗するようにビクビクと跳ね、大きく悲鳴を漏らすが、それ以上のことはできない様子であった。
半透明な秋葉の魂を捕まえたままの鈴奈は指から霊力を送り込みだした。魂も肉体同様に抵抗を許されず、鈴奈が送り込んだ力がみるみるうちに染み渡り、一体化してしまう。
鈴奈が手を離すと魂は秋奈の体内へと戻っていくが、その中には鈴奈が混ぜ込んだ霊力が入ったままであった。
「…………」
「せんぱい? 秋葉せんぱーい?」
「…………ぇ……ぁ……あれ、私、何して……?」
魂が戻った秋葉の瞳に徐々に光も戻り、いつも通りの彼女が目を覚ます。しかしそれは一瞬のこと。彼女に施した術の効果を確かめるため、鈴奈はすぐに行動を始めた。
秋葉の魂に潜り込ませた自らの霊力を操ることで、秋葉の魂と肉体を意のままにしようとしていたのだ。
「じゃあ秋葉先輩。まずは手を挙げてください」
「……? 貴女、何を言って……? え、あれ、からだが、かってに……!?」
鈴奈の命令を聞いた瞬間、秋葉の中に組み込まれてしまった鈴奈の霊力が受信装置のような役割を果たし、秋葉の肉体の操作権を乗っ取って操る。今は手始めに簡単な命令であったが、鈴奈が口にしたことはどんなことであろうと、今の秋葉の肉体には抗えない。秋葉の身体に対する権限を、鈴奈の方が強力に手に入れてしまったのだ。
だが手に入れたのは身体だけではなく。
「先輩……んーん、『秋葉』。お前は俺の何だ?」
「っ……!? ぁ……私、わたし、は……!」
鈴奈の中の男がそう問いかけた瞬間、今まで勝手に動いていた自分に狼狽していた秋葉の動きがピタリと止まる。鈴奈の口から放たれた言葉が力を持ったまま秋葉の耳の中に滑り込み、脳髄に染み渡ってゆく。瞬間、秋葉の体内に寄生していた鈴奈の霊力が活動をはじめ、秋葉の魂と肉体は無防備なままその影響を受けてしまう。命令が頭の中に入ってくるごとに降伏と快楽が迸り、従わなければならない義務感と隷属することへの悦びが一気に押し寄せてくる。自分という存在が、初めから目の前の少女の姿を得た存在に仕えるために産まれ、この時まで過ごしてきたのだと思わされて、その口から自らの存在意義を決定づける言葉を紡いだ。
「ご主人様の、忠実な奴隷でございます……♡」
秋葉の魂はこの瞬間、鈴奈の霊力を完全に同化させられ、彼女は鈴奈に永遠の忠誠を誓う奴隷と成り果てた。ニヤニヤと笑みながら、自らの使った術の成果を確かめるべく秋葉に触れると、品行方正な生徒会長たる秋葉からは考えられないほど甘く、媚びた声が喉から垂れ流される。その声自体が、彼女が根底から覆されてしまった証でもあった。
「くふふっ……じゃあ手始めにこの身体を慰めて貰うとしようか? 鈴奈の記憶にある完璧な生徒会長の秋葉を犯せると思うと身体が疼いて仕方ないからな……!」
「かしこまりました♡ それではこの秋葉の舌で、ご奉仕させて頂きますね……♡」
性的な知識にも経験にも疎かった秋葉の脳は、鈴奈を支配する男の記憶の一部を植え付けられて淫ら色に染め上げられていた。スカートをたくし上げて待ちわびる鈴奈の股間に顔を近づけ、両手を使って丁寧に彼女の下着をずり下ろしていく。他人の下着をずり下ろすなど秋葉には初めての経験であったが、心も体も完全に彼のモノとなった今の秋葉にとっては命令こそが絶対だ。
露わになった自らの性器を恥じることすらなく晒し、待ちわびるように粘ついた液体を垂らす鈴奈に、秋葉は上目で目くばせをしてから鈴奈の性器に唇を這わせた。性交どころか口づけすらしたことのない初心な少女達の純潔は、この日この瞬間に一人の男の欲望によって散らされることとなってしまう。
「はぁむっ……んちゅっ……れろぉっ……♡」
「んっ♡ くひひっ、もっと奥まで舌を突っ込んで、俺を感じさせろ……♡」
「ふぁいっ、すずな様ぁ……♡」
鈴奈から奪い取った後も開発を重ねたことで敏感になった女性器に秋葉の舌を這わせて悦楽に耽る。
この日から鈴奈は巫女としての才能を周りの人間を標的にして振るうようになり、彼女の部屋には毎日のように、魂を操ることに成功した同級生や先輩後輩、たまたま近くを通りかかったOL達が入り浸るようになっていた。その主たる鈴奈は少女とは思えないほど邪な笑みを浮かべながら、肉欲を貪りつづける。もはや本来の魂の意思などどこにもなかったが、『鈴奈』の新しく、輝かしい人生はまだまだ始まったばかりだ。
リクエストいただいた内容は以下です(原文まま)
巫女の実習生が独自封印を練習する時にうっかりと自分の魂を封印してしまいました。封印は施錠されていませんので、時間が経つと、封印が弱くなり、魂が解放され、体に戻ることができます。
この状況を想定して、毎回結界を張って、体を守っていましたが、あいにく、今回結界を張り忘れて、そのまま、空っぽな体が通りすがった/逃げ出した悪霊に憑依されてしまいました。
悪霊が勝手に巫女の体をいじり始めました。巫女がとても悔しくて憎いですが、手を出せず、ただそれを見て、そして体を取り戻す後、退治して永遠転生できないにすると誓った。
最初悪霊は慣れない動作でようやくいったが、その同時、巫女さんの記憶を少し読むことができたを発見した。
巫女の記憶を介して、手つきが少しうまくになって、いった間隔も少し縮んだ、そしてさらに巫女さんの記憶をえた。
この時、悪霊が先に巫女の体を完全に乗っ取りか、巫女の魂が先に封印から離脱、元の体に戻るかの勝負です。
記憶を得た悪霊が巫女のまねをして、いく時間を短縮しています。何回いったあと、巫女の思い人に対する記憶を掘り出した。
体が思い人に対する欲望と恋の思い出で、連続短時間高潮を達し、すべての記憶を把握し、封印が解ける直前に、巫女の祓いで巫女の魂を退治した。
本っっっっっ当にありがとうございました。
リクエスト内容も記録するようにしてるんですがこっちに書くと地球が3周してもネタバレなので小説の後に書いときます。
もし僕に(以外の誰かにでも)依頼する場合は参考にするといいかもって思います。僕からは以上。
山に囲まれた葛城市。人口約6万人の中規模市街の外れで、街を護るようにそびえ立つ、森上神社。
そこには代々、霊と対話する力や祓う力を持った巫女が生まれており、神社の一人娘である森上鈴奈もその力を受け継いでいた。
昼は高校生として、いわゆる普通の生活を送り、夜には巫女として身の回りに現れる悪霊を祓ったり、成仏できずにこの世に留まっている霊たちを救けながら日々を過ごしていた。
現代において、既に巫女や神社としての機能は形骸化してはいたものの、母からの「力を持って生まれたなら、その責務を果たさなければいけない」という教えを守った結果でもあった。
長く伸ばした髪が邪魔にならないよう後ろに巻いて、巫女用の装束を纏った少女は少し垂れた目元からは想像できないほど真剣な表情をして息を整え、自らの集中を促す。周りからは可愛らしい見た目をしているといわれる彼女だが、今の真剣な表情を見ればその意見も覆るだろう。元より歴代の巫女たちの中でも最上級の才覚を発揮していたが、それでも生真面目な性格の彼女は毎日のように自室で術の研鑽に励んでいた。
「よし……! もう1回っ……!」
彼女が習得に打ち込んでいたのは封印術とよばれるもの。除霊術は巫女本人の資質によるものが大きく、後天的に力が強くなることがほとんどないため、自らの力を超える霊に対抗する手段としての封印術が有効だというのが理由だった。
鈴奈ほどの力があればそういう事態に陥ることは殆どないのだが、両親は霊力がなく、先代と呼べる巫女もいなかったため、彼女は自分の才能が今までの巫女より遥かに秀でていることにも気づかないままなのだ。
……そして、その修行はあまり上手くいってはいなかった。
「…………」
(くぅっ……!! また失敗したぁ……!)
書物で学ぶことしかできないがゆえに未完成で、対象指定が曖昧な封印術はあろうことかたまたま近くにいた「鈴奈自身の魂」を封印してしまうのだ。
結果として鈴奈は術の力で魂を抜き取られ、封印先にと用意している香水の瓶に囚われてしまうことになる。封印する時間だけはなるべく短く、約1時間ほどに設定できたことがせめてもの救いだろうか。
「…………」
(うぅ……)
しかし少なくとも1時間の間、鈴奈の身体が抜け殻になるということには変わりなく、主人を失った彼女の肉体は虚ろな眼をしたままその場に座り込んでしまう。生きているような死んでいるような、曖昧な状態になっているらしい。
いつも通りに1時間待てば魂は封印から解き放たれ、再び自分の身体へと戻ることができるから、鈴奈は瓶の中で今回の失敗を省みていた。本来、物理的な肉体を持つ人間なら身じろぎ一つで衣擦れの音でも立ちようものだが、動く身体がない今の鈴奈にはその音さえ起きることはなく、静寂に包まれた部屋は物思いに耽るには丁度良く、嫌いな時間というわけでもなかった。
……だが、その日は違った。違ってしまった。
(……え?)
ヌルリと、部屋の壁をすり抜けて男の姿が現れる。でっぷりとした中年の見た目をした男に、鈴奈は嫌悪感を覚えると同時に、混乱してしまう。術の練習をする前には必ず結界術を施しており、部屋の前に盛った塩を退かさない限り、鈴奈の霊力ならば少なくとも半日は部屋の中に霊が入ることなどできるはずがなかったから。
2度目の術を唱える前に、盛っていた塩を猫が倒してしまったことにも気づかないまま、自分の身体が本当の意味で無防備になってしまっていたことに気付けなかったのだ。それほどまでに集中し、没頭していたのだ。
(なにを……っ!? まさか、うそ、やめて!!)
男の霊は部屋の中央で座る鈴奈の姿に、彼女の今の状態に気付いてしまう。ニチャァっ、と汚い笑みを浮かべて、空っぽになったままの鈴奈の身体に自らの霊体を差し込んだのだ。
瞬間、動かなかったはずの鈴奈の抜け殻はビクンと、電気でも受けてしまったかのように大きく跳ねた。
「う゛っ、ぃ、あ゛っ……ぎっ……か、から、だ……いき、た、からだっ……!」
(やめてっ!! 私の身体をそんな乱暴に扱わないでぇっ!!)
霊は自らの霊体を鈴奈の肉体に押し込み続ける。何度も何度も小刻みに出入りを繰り返し、無理矢理彼女の体内へと収まっていこうとしているのだ。
鈴奈への出入りを繰り返しながら、その魂は着実に彼女の体内に入り込んでいく。ついに霊の頭が鈴奈の中に入ると、今まで悲鳴のような嗚咽を漏らしていた鈴奈の喉が確かに言葉を発する。それは彼女の肉体が鈴奈ではない別人の意思に操られ、声を発してしまった瞬間でもあった。
普通ならば生きている人間に、死んで霊になった人間の魂が入ることはできない。しかし魂がなく、生きている状態から多少なりとも離れてしまっていた鈴奈の肉体は男の侵入を許し、その魂に操られようとしていたのだ。
しばしの痙攣の後、鈴奈はゆっくりと瞳を開ける。瓶の中にいる鈴奈にとって、自分の身体がひとりでに動き出す姿は当然あってはならないもので、恐怖でしかなかった。
「ぎっ……ごっ……ぉ……う゛……は、はいれた、入れたっ……ひひ、ふひひひっ……!」
完全に男の霊を取り込まされた鈴奈の肉体は、封じられたままの彼女の意思とは無関係に自らの身体を抱きしめ、ニヤニヤと笑みを浮かべる。その顔は正真正銘鈴奈本人のものだったが、その表情には先ほどの男の霊のようないやらしさが含まれていた。
(ゆ、幽霊さん……? それ、私の身体だから、で、出ていってくれません……か?)
「? なんだ、今の声……? こっちか……?」
鈴奈は自らの技術の一つである念話を使って、自らの身体に取り憑いた存在に対してなんとか自分の身体から出ていってもらおうと説得を試みる。普通の人間なら聞こえるはずのないものだったが、霊力を持った鈴奈の身体は魂から送られる念波を受け取り、その情報を自らの憑依した男に伝えていた。
念話という行為そのものが鈴奈の肉体の持つ霊的能力と男の魂を繋ぎ合わせる一因となってしまったことに気付けないまま……
「この瓶……?」
(そ、それは私の身体なんです。術に失敗して封印されちゃったけど、すぐ戻るから出ていってくれませんか……?)
「…………」
声がする方向を無意識下で鈴奈の霊力を使うことによって探り当てると、鈴奈の封じられた瓶の方へと顔を向けて彼女の声に耳を傾ける。
鈴奈の肉体に乗り移ったままの霊は、彼女の顎に指をあて、少し考えたそぶりを見せていたが、やがて顎を撫で、頬を撫で、そのまま首筋から下へと手を這わせていく。その動きは「確認」というよりも「まさぐる」といった方が正しいもので、触り方にいやらしいものが内包されていた。
考えごとをするようにへの字になっていた鈴奈の口が徐々に口角を上げ、最後に鈴奈の魂を封じた瓶を見つめながら邪に笑う。その表情は今までの人生で鈴奈の顔がしたこともないようなほど歪で、なにより嘲るかのような顔つきで。
「嫌だね。こんな美少女の身体を思い通りにできる状況で、大人しくしてるわけないだろ……!」
(な、なにを……!? ちょっとっ!! 触らないでっ!!)
男はニヤニヤ笑いながらそう答えると鈴奈の両手を更に操り、顎に当てていた手を首筋に、鎖骨にと移動させていく。胸、腹、股間、脚まで鈴奈を両手で確かめるように触っていくと、今度は巫女服に手をかけ、下着ごと思いっきりずり下ろした。形のいい乳房がその存在を主張するように揺れながら、部屋の外気に晒される。
綺麗なお椀型の乳房の上に載った彼女の乳首は男の意思が興奮しているせいか、普段よりぷっくらと膨らんでいる様子であった。年頃の少女ゆえ、多少の知識も経験もあったものの、自らの身体を眺めながらその姿に興奮し、ニヤニヤと笑みを浮かべる『鈴奈』の姿は彼女自身が知る由もないもので、同時に今から自らの身体がどのような目に遭わされるかと、最悪の事態を想像してしまう。
「おぉ……服着てるときは分からなかったが、結構いい乳してるじゃないか……!」
(ちょっと、やめてっ、私の身体、やめてよっ……!)
男は鈴奈の指を操り、形のいい少女の乳房に手を掛ける。白く綺麗できめ細やかな鈴奈の肌が、彼の動きに合わせてプルプルと揺れ動く。その姿に愉悦を覚えた男は更に指に力を入れてみたり、身体を揺らすことで物理的な反動を確かめていく。
「っ!? ほ、ぉっ……♡ この感じ、乳首か……? んっ♡」
乳房を揺らし、揉み、鈴奈の肉体を探索するように楽しんでいた男だったが、彼女の指が乳首を擦れた瞬間に流れ込んだ快楽に興味が移ると、今度は人差し指と親指でピンと勃った桃色のソレを摘み、やさしく捏ねてみた。
その瞬間流れ込んだ快楽は男の望んだもので、鈴奈の喉からは甘い鳴き声が漏れ出てしまう。
(ねぇ、やめて、お願いやめてっ……! それは、私のっ……!)
「あはっ♪ 気持ちいいっ♡ もっと、もっとぉ♡ 鈴奈のカラダをいじいじしてぇっ♡」
自らの喉から飛び出た嬌声を聴いた男は、いい気になって更に鈴奈の喉を使って更に媚びた声を発させ、自らを昂らせていく。鈴奈の魂が必死に呼びかける声などはとうに聞こえないほど小さく些細なものになっていた。
指先の動きは更にエスカレートし、力もどんどん強くなっていく。そうやって激しさが増せば増すほど鈴奈の喉から漏れる声も淫らになり、ついには口元から涎がこぼれだした。
「はぁあぁっ……♡ 鈴奈の乳首コリコリするの気持ちいぃ……♡ イジればイジるほど、身体が気持ちいいことを欲しがってるのが分かるぞぉ……♡」
(そんな、そんなことないっ! 私の身体はそんなこと考えないっ!)
男が発した鈴奈の肉体への感想に、鈴奈は必死に抗議する。自らが生まれてから今日まで共に過ごしてきた自分だけのもののはずのカラダ。それが男の望むままに淫らな行為を受け入れてさらなる快楽を望んでいるなど、考えたことも、考えたくもなかったから。しかし男の魂と鈴奈の肉体の行為は止むどころか更に激しくなっていく。男の魂が鈴奈の肉体へと送り込んだ興奮信号で、今まで鈴奈が見たことないほどにピンと勃起した乳首と乳輪を抓るように捏ねまわし、快楽のままに嬌声をあげる。
「くふっ、ぐふふっ……♡ おっぱいだけでここまで気持ちいいなら、こっちはさぞかし良いんだろうなぁ……♡」
(!? ま、待ってっ! やめてっ! そこはダメっ……!)
男は鈴奈の乳房から下へ下へと興味の対象を移していく。滑らかな肌をしたお腹から臍、そして更に下で刺激を待ちわびるかのようにジンジンと疼いてくる鈴奈の性器へと。
鈴奈の必死の静止を無視して、男は彼女の両手を操って、股間を覆う最後の防壁をずり下ろしてゆく。染み出てしまっていた液体が名残を惜しむかのように性器と布地で糸を引きながら、遂に鈴奈の下着は剥ぎ取られてしまった。
鈴奈の顔は更に笑みを深めて、外気に晒されてしまった股間を眺めようと下を向く。
「んー……よく見えないな……せっかくこんな美少女のおまんこがすぐそこにあるってのに……乳が大きいってのも考え物だな……」
他人の身体の事を好き放題言いながら、男は鈴奈に次なる命令を送る。下を眺めても見られないから、部屋に備え付けられていた鏡の前に座り込み、鈴奈の性器を鏡に映しだしたのだ。
そうしてついに鈴奈が本来誰にも見せたことなどなかったはずのその場所が、彼女に取り憑いた見ず知らずの男の眼前に晒されてしまった。
「おほぉ……♡ これが女子高生の生おまんこっ……!」
(やめて……っ! 私の身体でそんな顔しないでっ……!)
ぢゅるりと、垂れた涎を吸う音を鳴らす鈴奈の身体。その眼差しは肉欲が混ざった邪なもので、今までの鈴奈ならば、いや、女性であれば誰しもするはずのないほどいやらしい視線。鈴奈の身体に宿った男の魂は彼女の肉体に自らの欲望を再現させているのだ。その姿はまるで鈴奈の身体そのものが男の欲望と融合させられているかのようで、鈴奈自身の身体が別の何者かに作り変えられているかのような錯覚を覚えさせてしまう。
そんな鈴奈の肉体の変化など当然と謂わんばかりに、操られた鈴奈の指は無慈悲に秘所へと近づいていく。鈴奈しか触れたことのないその場所に、鈴奈しか触れることを許してこなかったその場所に、見ず知らずの男の意思と欲望を詰め込んだ細い指が触れる。触れて、しまった。
「ほぉっ……! へぇ……! くひひっ……♡」
鈴奈の可愛らしい顔が情欲に取り憑かれたまま、指が股間に触れるごとに吐息のような声と共に全身をピクピクと痙攣させて、綺麗にまとまった長く黒い髪を揺らしながら快楽を享受し続ける。ペロリと艶めいた舌が唇の間から顔を出し、垂れかけた涎を舐めとった。操られた鈴奈の動きは止まらない。むしろ段々と快楽の味を覚えて求め、指の速度は増していくばかりであった。
「はぁっ……きもちいい……これが、女の……♡」
(やめてっ、やめろっ!! こんなの私じゃないっ……!)
鈴奈だって人並みの女子高生だ。性についての興味がないといえば嘘になるし、身体がどうしようもなく昂って、鎮めるために慰めたことだってある。そんな鈴奈と、今目の前で痴態を晒す彼女は、身体は同じでもまるで別人のようであった。実際に別人ではあるのだが。
今までの鈴奈がしていた行為とはまるで違う、鈴奈という女体への興奮を露わにし、その欲望を鈴奈そのものに向けてしまうという倒錯した行為を、今の鈴奈は嬉々として行っている。その姿は本来の自分とは大きくかけ離れたもので、思わず魂の声を荒げてしまう。
彼女の魂にとって、目の前で痴態を演じ続ける自分の姿が鈴奈だとは到底思えない。乳房を責められた時にも抱いた感情がさらに大きくなって、鈴奈の魂と肉体の乖離を生んでいく。それが兆しであったことに、自らの身体を奪われ犯されている現実を前に感情的になっていた鈴奈本来の魂は気付くことができずにいた。
「っあぁっ♡ やばっ、何か、何かキたっ♡ これって、もしかしてっ……♡」
(!? 嘘っ、だめ、ホントにだめっ!!)
昂った身体が求めるままに股間の突起をきゅっと摘みながら濡れそぼった性器で指を暴れさせると、恥じらいなど欠片もないほど淫らな音が部屋中を響き渡り、同じく恥じらいのない声がこだまする。今まで一人で自らを慰めていた時には出したことのない大きな声と大きな音で、鈴奈の肉体と男の魂は思うままに『鈴奈』という少女としての快楽を存分に享受して、遂に鈴奈の肉体はその果てに到達してしまう。
それは生娘のまま過ごしてきた鈴奈の人生にとって初めての出来事。鈴奈の初めては今ここで、先ほど鈴奈と出会ったばかりの男に奪い取られてしまったのだ。
「……っ……ぁ…………っーーー……!♡♡♡」
(っ……! ……なんて、酷い……!)
身体の中で大きく膨らみ、弾けた快楽が鈴奈の身体へと襲い掛かり、腰が大きく跳ねる。衝撃で結んでいた髪留めがほどけ、長い髪を振りしだきながら絶頂の衝撃に打ち震えていた。焦点の定まっていない瞳と、だらしなく口元から垂れた涎に、鈴奈の肉体が持つ快楽を一身に受け止めたことでだらしなく淫れた鈴奈の顔は、もはや少女というよりケダモノといった方が適切とさえ思えるものだった。
「はぁ……くふふっ……女の子のカラダってこんなに気持ちいいんだね……これは癖になっちゃうかも……んっ♡ 男と違って一晩中ヤれるかも……」
絶頂の余韻に浸りながら指が挿入ったままになっていた股間を捏ねまわす。くにゅくにゅと膣肉と指が淫液をかき回す音を響かせて鈴奈としての快楽を味わい続けながら、男は鈴奈の魂を封じている瓶に向けて話す。淫らな水音を鳴らしながら指先で突起を捏ね、鈴奈という少女の快楽を享受し続ける。
股間は鏡の前から鈴奈の瓶の方へ向き、自身の肉体が織りなす痴態を見せつけていた。
(許さないっ……! 元に戻ったら絶対、強制除霊してやるっ……!)
「おぉ、怖い怖い。じゃあ今のうちにこのカラダ、愉しませてもらわないとなぁ?」
鈴奈の肉体が快楽にどっぷりと堕ちてゆくのに対して、鈴奈の魂はそれを否定し続ける。男の魂が鈴奈の身体を犯せば犯すほど、鈴奈本来の繋がりが緩み、代わりに彼の魂が肉体へと結びついていく。魂と肉体との距離があった鈴奈は気付けないままだったが、身体の中にいる彼は確かにそれを感じ取っていた。鈴奈の魂を煽り、淫れに淫れることで鈴奈から本当の意味で肉体を奪いとれるのではないか、と。彼女の魂を煽るのは鈴奈の精神を更に追い込み、鈴奈の魂と肉体を完全に切り離す算段があってのことだった。
そして彼の導いた仮説は、最悪の形で実りを得てしまう。
「これ、鈴奈の記憶? ……ぁっ……ふーん……そっかぁ」
(っ……! そんな、私の記憶を……!?)
今までただ操るだけであった鈴奈の身体。その脳みそから、彼女が大切に保管してきた記憶そのものへとアクセスすることに成功してしまったのだ。一度接続を許してしまった鈴奈の脳は何の抵抗も許されず、ただただ男の命ずるままに記憶を吸い上げられていく。小さい頃仲の良かった友達、好きな食べ物に嫌いな食べ物、得意な授業、今仲のいい友達の情報。何より、初恋とそれを思って自らを慰めた記憶。
「ふーん……女の子のオカズってこうなってるんだぁ……好きな人のことを考えて身体をイジると……んふぁっ……♡」
脳を支配して記憶を読むべく頭に当てていた手を再び乳房と股間に向かわせる。記憶を読むことに成功した鈴奈の脳髄に想い人の記憶を再生させながら、鈴奈の行為をなぞることで彼女が得ていた快楽を引き出そうとしたのだ。
秘穴に指を指し込むと、先ほど以上の快楽が弾けて鈴奈の体内を迸る。蕩けた瞳は肉体が快楽を受け入れている証拠でもあり、鈴奈の身体が男の凌辱に快感を得ている証でもあった。
「あはっ♡ コレは使えそうだぁ……♡」
(いや、やめてっ……私の思い出まで勝手に使わないで……!)
鈴奈の抵抗をよそに、彼女の指先は止まることを知らずに股間を蠢き、ほんの少し膨らんだ肉の突起をツンツンと弄る。そのたびに腰を中心に全身が跳ねまわる。先ほどの自慰によってはじめての物ではなくなったが、先ほど以上の快楽に痙攣も、声も、指の動きも、エスカレートし続ける。
先ほどの絶頂で既に昂っていた鈴奈の肉体が、さらなる快楽と共に再び高みに至るのは容易く、先ほど以上の予感に彼は期待を膨らませて手の動きを速める。嬌声と水音が下品に鳴り響きビクビクと震える肢体はもはや鈴奈に取り憑いた男の意思さえ無視して、ひとりでに快楽を求め自らを貪っている様子であった。
「あぁぁあぁっ♡ イくっ♡ またイかされちゃうぅっ♡ ……っ……!」
(っ!! また、私の身体でっ……!)
ベトベトに濡れそぼった股間の頂点で。膨らんで自らの存在を誇示する陰核を強く摘んだ瞬間、再び鈴奈の身体は絶頂を迎える。先ほどの、鈴奈に欲情して行ったものとは異なり、鈴奈の記憶を利用して行った自慰による絶頂は、鈴奈の身体のセキュリティを先ほど以上に緩くしてしまう。侵入者の魂をさらに奥へと受け入れ、自らの存在そのものにすら干渉できかねないところまで。
……そして男は、この瞬間を待ち望んでいた。
「くひひっ……! 今だっ……!」
ニヤリと笑うと、鈴奈を操る男は絶頂に酔いしれる身体を感じながら目を閉じて意識を集中する。
絶頂直後のこの瞬間、快楽の衝撃で緩んだ鈴奈の脳の奥深くへと侵入を試みたのだ。鈴奈の頭の中は他人であるはずの彼の魂を簡単に通し、鈴奈が大切に保管してきた記憶と意識を司る奥底へと侵入させてしまう。
今の鈴奈を構成する大事な人格や記憶が保存された脳の奥で、先ほどまで鈴奈の身体が思い浮かべ、自らを慰めるのに使っていた好意を、鈴奈の記憶にある男から鈴奈に乗り移っている自分自身へと移し替え、鈴奈の魂から肉体を寝取る算段だったのだ。
「あ゛っ、お゛お゛っ゛、ぎ、がぁ゛っ゛……! あ゛、あ゛-っ……--っーーっ……!」
(まって、なにを、私の身体に何をしてるの……!?)
彼の魂が鈴奈の奥底に自らを張り巡らせ、彼女の細胞一つ一つに直接命令を送り込む。本来人間として生きていたならあり得ないはずの行為に鈴奈の脳は強い衝撃を受け、四肢が独立してしまったかのようにひとりでに動き出す。
喉からはもはや呻きとしか聞こえない声がこぼれ、肉体が警笛を鳴らしているのが傍目にも分かる。そのような身体の異常事態にさえ、鈴奈本来の魂は瓶の中から見ていることしかできなかった。
「ぁ……ぅ……っ……はぁ、はぁぁっ……♡ ふふっ……ふひひっ……!」
1分近く暴れ、叫び続けた鈴奈の肉体が遂に全てを終えて床に横たわる。大きく深呼吸して、先ほどまで暴れていたのとは打って変わって、再起動でもするようにゆっくりと瞼を開き、上体を起こす。
ニヤニヤと笑ったまま身体を抱きしめると頬を赤らめ、瞳は上気して潤いを帯びる。今までの鈴奈を奪い取った男の邪なものとは大きく異なった、元の鈴奈と同じ乙女を思わせる振る舞いであった。その姿はまるで操られていること自体に喜びや幸福を感じているかのようで……
「はぁ……♡ 上手くいった……! 鈴奈の頭の中、書き換わっちゃったぁ……♡」
(……!? その顔は、なに……? 私に、何をしたの……!?)
「君の身体に残ってた好きな男への想いを丸ごと、俺に向け直したんだよ。お陰で俺に操られて使われてるってだけで感度が上がって……んっ♡ ぁあっ♡」
言いながら、先ほどの強烈な自慰行為より優しく性感帯を撫でまわすと、喉から漏れる嬌声が先ほどより自然に、遥かに甘くなって部屋中に響き渡る。頬を赤らめ、幸せにどっぷりと浸ってしまったような顔で快楽に喘ぐ彼女の肉体は、鈴奈が感じたこともないほどの恍惚に染め上げられていた。
彼の計画にまんまと嵌められて、鈴奈の肉体は今彼女を支配する簒奪者の魂に恋慕の感情を抱いてしまっているのだ。自らの肉体が他人に操られるという、本来あってはならないはずの行為も、自らの肉体が犯されているという異常な状態も、全てが好意に上書きされ、受け入れさせられてしまう。
「じゃあ鈴奈、挿れるぞ…………っ~~♡♡♡ やばっ♡ 凄っ♡ 軽く入っただけで、子宮がキュンキュン疼いてっ♡ 身体が犯せ犯せって叫んでるみたいだっ♡♡♡」
男の魂は鈴奈を求め、鈴奈の肉体も男を求める。多少の抵抗や、自分が自分にする行為と受け取っていた身体が明らかに性行為を意識した反応へと変わり、子宮は女としての機能を十全に果たそうと強力な求めと疼きを呼び起こす。そうなってしまった鈴奈の身体は触れるだけで濁流のような快感を引き出し、更なる幸福と快楽へと自らと体内の魂を誘っていく。
彼女の想い人に成り代わった魂は当然のごとくその要求に応え、鈴奈の膣のさらに奥へと進んで彼女の初めてを奪い取る。
「ぁあぁっ♡ 凄いっ♡ あははっ♡ このカラダっ♡ 感情一つでこんなに気持ちよくなれるんだぁ……♡ んひゃっ♡ んぐぉっ♡♡♡」
(っ……! そんな声、私の顔で出さないでよぉ……!)
鈴奈の肉体はビクビクと全身を跳ね回らせながら快楽に悶え、それでもなお責める手が止まることはない。声はますます甘く大きくなり、遂には蛙でも潰したかのような音まで零れだす。
瓶の中に仕舞われたまま、元の鈴奈は自分のモノだったはずの肉体が獣欲に塗れ、穢れていく様を見ているしかできない。
そうして再び鈴奈の身体は絶頂に近づいていく。今までで最も大きく、最も強い兆しと情欲に鈴奈の肉体と、彼女を操る魂は期待ばかりを膨らませ、股間を責める手は更に速く、淫らに、グチョグチョと音を鳴らしてゆく。そして昂った身体と心で、男は次なる命令を鈴奈へと送り込む。それは鈴奈という少女の人生を終わらせ、新しい『鈴奈』の人生を始めさせてしまうものだった。
「はあ゛ぁっ♡ 良いっ、良いぞぉっ♡ おい鈴奈っ♡ お前のカラダ、気に入った! お前は俺の、俺の新しい身体になれっ♡ 新しい俺として生きろっ♡ っぁあっ♡♡♡♡」
(あぁあっ……! いやぁっ……! やめてぇっ……! 私の身体を、これ以上奪い取らないでっ……!)
鈴奈に乗り移った男から鈴奈の肉体に対しての命令を、彼女の肉体は愛する相手からのものとして受け入れて、強烈で甘美な性感で返答とする。ただ憑依されただけの状態なら従わなかったはずの行為であろうと、今の鈴奈には関係なく、遂に彼女の身体は男の魂を自分の一部として完全に組み込む準備を始めだしたのだ。
辛うじて残っていた鈴奈の魂と肉体との繋がりが、更に小さくか細いものにされる。鈴奈の魂にも、自分の肉体が更に彼のモノへと置換されようとしているのが理解できたが、未だに瓶の中で叫び続ける以外にできることはなかった。
「い゛っ!? あ゛ぁあ゛ぁぁ゛ぁぁっ!? のーみそっ♡ すずなじゃないひとのモノに書き換わってるっ♡ ダメっ♡ 私、鈴奈じゃなくなっちゃうっ♡」
そんな彼女の意思など無視して、鈴奈の身体は男の命令を実行に移す。自らの脳内、細胞、あらゆる箇所を男に相応しいものに作り変えて、彼が新しい身体として使うのに相応しい器に生まれ変わろうとしはじめた。自らを支配する魂から記憶を継承して脳髄に記録し、彼の趣味趣向を受け入れて全身に流し込む。鈴奈という少女の身体を使って、生前の彼の環境を再現しようとしているのだ。
鈴奈の姿のまま、中身だけが丸ごと男へとすげ換わるという普通の人間にはありえない現象に、肉体は生理的な拒絶を示す。衝撃が全身を走り回り、声をあげながら部屋の中を這いずる。
「あ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁ゛っ!!! だめっ♡ だめだめっ♡ 私の中に男の人が入ってきてるっ♡ 俺の記憶がっ! 鈴奈のなかにぃっ♡♡♡」
脳の奥から表面に、血液に乗って『彼』という魂の情報が染み込み、定着していく。新たに生まれる細胞にも同じように彼の存在を書き込むため鈴奈の遺伝子すら支配し、彼女の存在そのものに干渉してゆく。
「わたしの、わたしのカラダがぁっ♡ 鈴奈じゃなくなっちゃうっ♡♡♡ たすけてっ、たすけてよ私っ……! じゃないとっ、俺が私に生まれ変わっちゃうっ♡♡♡」
その言葉は男の意思が発したものではなく、鈴奈の身体が行った最後の抵抗であった。彼女の肉体に最後まで残った鈴奈の魂への愛着、残留思念ともいえるものが、肉体が鈴奈ではない何者かに作り替わるという緊急事態によって励起され、最後の抵抗の声をあげたのだ。しかし、全てが手遅れだった。鈴奈の魂は彼女自身が上げた声に応えることはできず、鈴奈の肉体の再構築は完了しようとしていた。
「ひひっ……俺のカラダの癖に、最後に抵抗なんかしやがって……! お前は俺の新しい肉体としてこれからの人生を生きろっ! んはぁっ♡ っぅ~~っ♡♡♡」
細く美しい人差し指で陰核を潰すように押し込んで、鈴奈の肉体に最期を告げる快楽を送り込む。助けを呼んだ声を上書きするように悦びの悲鳴が喉から飛び出て、体内の細胞をくまなく塗り替えていく。もはやその少女の肉の器は、鈴奈と呼ぶのに相応しいものではなくなってしまっていた。
「だめっ♡ だめだめだめっ♡ はぁぁっ♡ なりますっ♡ 俺の新しいカラダの鈴奈になりますぅっ♡♡♡」
遂に鈴奈の肉体は抵抗する力を完全に失ってしまう。肉体に残された魂との繋がりを絶ち切り、新しく体内に入り込んだ魂を自らの主人に相応しい存在として身体の奥底へと誘い込み、鈴奈を司る核と溶け合ってしまう。鈴奈ではなく、彼女の身体に取り憑いた、先ほどまで見ず知らずの存在だった男の霊を自らと共に人生を歩む新しい魂だと認め、魂と肉体が完璧に結びついてしまったのだ。
生きた生身の肉体を手に入れた男の魂はもはや亡霊ではなくなった。鈴奈そのものを自らの新たな生命とすることに成功してしまう。
「ふふっ……ふふふっ……♡ 悪いね鈴奈ちゃん。君のカラダ、俺が貰っちゃったよ」
鈴奈の身体を本当の意味で奪い取ってしまった男は、鈴奈の魂が封じられた瓶を眺めながら彼女の顔を使ってニヤニヤと笑う。その表情も瞳に宿る光も、全てが邪悪そのもので、とてもうら若き高校生の乙女がして良いものではなかった。可愛らしい桃色の舌を、同じく桃色の瑞々しい唇から見せつけるように出しながら、自らに従う鈴奈のモノだった手足を、全身を見せつける。
「ホントに惚れ惚れするカラダだ。若いし、可愛いし、なにより霊力のお陰で魂の居心地が最高にいい……♡」
手に入れた鈴奈の身体の乳房をくりくりと弄りながら、その快楽に酔いしれる。動きそのものは今までと同じではあったが、今の彼は鈴奈の女体を今まで以上に自分の所有物だと認識し、確かめるように全身を愛撫していた。鈴奈の身体もそれにこたえるように頬を紅潮させ、全身をくねらせて甘ったるい声をあげる。一人の行為であるにもかかわらず、その姿は男女が愛し合い、まぐわっているかのようにも見えた。
「くふふっ……もしかすると元の俺よりこっちの方が住みやすいかも……♡」
(ふざけないでっ!! 私の身体は私のものなんだから、返しなさいってば!!!)
------ぱきっ
「ん?」
(!?)
その時だった。時間経過で封印が緩んだことと、鈴奈の魂が中で強く暴れたことをきっかけに彼女を封じていた瓶にヒビが入る。大きな亀裂ではなかったが、魂という不定形なものとなっていた鈴奈が抜け出すには十分すぎる大きさで、遂に鈴奈の魂は瓶の中から解放されたのだった。
(解けたっ!! 私のカラダっ! 返してもらうからっ!!!)
「あぁ、解けたんだ。そういえば1時間で解ける術なんだっけ」
ようやく瓶から解放された鈴奈の姿を見るや彼女の脳から術の記憶を引きずり出して、術の効果を確かめた。同時に鈴奈は男の霊に自分の大事な記憶がほじくり回されているという事実を痛感し、なんとしても自らの肉体を取り戻さねばと思って自らの身体へと勢いよく飛び込む。体内で男と身体を取り合い、その魂を追い出してやれば鈴奈の勝ち。鈴奈本来の魂であり、なにより巫女として魂の研鑽も積んできた自分が身体の取り合いで負けるはずはない。
突進する鈴奈に、男は逃ようとする気配すらない。ようやく観念したのかと思った鈴奈に、非情な現実が突き付けられた。
突進した鈴奈の魂は、バチッと音がするような感覚とともに、あろうことか自分のものであるはずの鈴奈の肉体から拒絶されたのだ。身体の中での取り合いどころか、鈴奈という肉体に入る権限すらないと告げられてしまったかのように。
「確かに、まだほんの少しだけど魂と身体に繋がりが残ってるから、この俺の肉体に君が乗り移るってのもあり得たかもしれないよね」
(っ!? そんなっ!? なんで私が私に戻れないの!?)
困惑する鈴奈に、彼女から奪った胸をいやらしく揉みしだき、彼女の声を操りながら男が告げる。本来の鈴奈にはそれをただ眺めることしかできず、奪われた身体は本来の意思など知らないと謂わんばかりに、鈴奈の身体は嬉しそうに微笑みながら自らの身体を慰め続ける。
折角封印から解き放たれたというのに、自らの物のはずの肉体に入ることすらできないまま、部屋には淫らな粘液の音が響き続ける。これでは封印されていた時と、状況は何も変わっていない。
「分かんない? この身体に結界を張ったんだよ。俺以外の魂を受け入れられないようにね?」
身体を奪い取り、定着することに成功したものの、鈴奈の魂と肉体は同じ姿であり、欠片程度ではあったものの彼女が自分の肉体に戻れるということもあり得ないことはなかった。ゆえに男は鈴奈の肉体に、元鈴奈の魂を拒絶する方法を思案させていた。そして彼の命令に服従させられた鈴奈の脳は、彼女が日々の研鑽でようやく手に入れた術の使い方も簡単に彼へと明け渡してしまう。
術を使う才能を持つ鈴奈の肉体と、術の使い方についての記憶の両方を手に入れた男は、結果として彼女の能力全てを利用することで本来の鈴奈が体内に戻れる可能性を0に書き換えてしまったのだ。
「自分の身体に拒絶されるなんて体験できるの、世界中でも君だけだよ?」
(そんな……! 私の、私の身体なのにっ……!)
鈴奈のものだったはずの肉体は彼女の魂が自らに戻れない事実に打ちひしがれているのを得意げに眺めていた。鈴奈としてこの世に生を受け、今日この日まで共に過ごしてきた自らの肉体であるにも関わらず、本来の自分を見下すように見つめる姿は、大切な自分の身体に裏切られてしまったかのようにさえ思わされていた。
そうしているうちにも鈴奈の身体は男に操られ、自らの肢体へと愛撫を続ける。甘ったるい、媚びるような声を漏らす姿は、このまま『鈴奈』が男のモノになってしまったらどうなってしまうか、どういう人生を送らされてしまうかを表したものに他ならない。
(だめ、返して、返してくださいっ! そのカラダは私の、私だけの……っ!)
「嫌だよ。これは俺が第二の人生を送るために使う大事な大事なカラダになるんだ。っていうか、脳みその奥底まで俺色に染まり切ってるから、戻っても元に鈴奈にはなれないんだし、このカラダはさっさと諦めた方がいいよ?」
鈴奈は何度も何度も自らの身体に体当たりを繰り返し、その中へと戻ろうと試みる。鈴奈の体内に居座る男は必死にぶつかってくる鈴奈に対して避ける素振りさえ見せず、奪い取った肢体を慰めては嬌声を上げて快楽を貪り続けていた。
声が大きくなればなるほど鈴奈の魂は必死に自らにぶつかっていったが、彼女本来の肉体が張り巡らせた結界が外からの魂の侵入を許すことはなかった。
「んぅ……♡ はあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁー゛っ……♡♡♡ 俺の新しいカラダ、ホントに気持ちいいなぁ……♡♡♡」
男に操られたままの鈴奈の肉体は、トロトロに蕩けきった顔でこの世の絶頂とでもいわんばかりに快楽を貪り続ける。鈴奈の魂は自らの肉体に戻ることもできず、ただ部屋の中で漂うことしかできない。せっかく解放されたというのに、これでは瓶に囚われていた先ほどと変わらなかった。
「安心してよ、このカラダは君の代わりに大事にだぁいじに使ってあげるからさ? はぁあぁぁあぁんっ♡ 何回でもイける鈴奈のおまんこ、最っ高だよぉ♡」
(やめてっ、やめてよぉっ!!)
だらしなく下に伸ばされた舌からは涎も垂らし、もはや何度目かさえ分からない絶頂に身をよじらせ、その快楽に酔いしれる鈴奈の肉体。グチョグチョに濡れそぼったそこからはとめどなく愛液が溢れ出し、カーペットは使い物にならなくなってしまったのではないかと思うほど汚れてしまっていた。それでも鈴奈の手が止まることはない。彼女の肉体を奪った悪霊は新しく手に入れた女体に酔いしれ、その快楽と、鈴奈という美少女を思うままに犯しているという愉悦を存分に享受していたのだ。
再び鈴奈の魂は自分の肉体に向かって勢いをつけて飛び込もうとする。……だが今回は違った。違ったのは鈴奈を乗っ取った男の動きだ。
(!? えっ!? 動けないっ!?)
「はぁ……そろそろ鬱陶しくなってきたんだよね。そのまま逃げれば見逃してあげたんだけど……えっと、こうかな?」
突進してくる鈴奈の魂を、彼女の肉体から奪った霊力を操って縛り上げる。操られ、何度も絶頂を迎えたことで彼の魂に忠実な肉の器へと作り変えられてしまった鈴奈の身体は自らの霊力の使い方まで洗いざらい教えてしまっていただけでなく、彼女が生涯をかけて培ってきた経験そのものさえ彼の魂に吸収させてしまっていた。鈴奈の巫女としての研鑽の全てが今、本来の鈴奈の魂に牙を剥こうとしていたのだ。
(そんな、これって、うそっ……!)
「君の術は脳みそから全部教えてもらったって言ったよね? 当然それは結界術だけじゃないよ。君が元の身体に戻ったら使おうとした強制除霊だって、ね?」
(いや、まって、やめてっ、そのカラダはもうあげるから、いや、いやぁっ!!)
男の魂に操られた鈴奈の身体が本来の彼女に繰り出した強制除霊の術。鈴奈が身体を取り戻したら男に放たれる筈だったそれが今、本来の鈴奈へと使われてしまった。文字通り霊を強制的にこの世から追放する術。男は鈴奈をこの世から追い出すことで、本当の意味で魂をなくした鈴奈の魂に成り代わって新たな『鈴奈』となり、第二の人生を送ろうとしているのだ。そしてその野望は今にも叶おうとしている。
(やだ、うそ、そんな、わたし、消えてっ……やめてっ、やめてよっ! 私の身体っ!!)
「安心してよ。君が残していったこの可愛い肉体は俺の新しい人生のイレモノとして大事に大事に使い込んであげるから。ふふっ、最高だよ。この気持ちいい身体を毎日愉しみながら、鈴奈としての女子高生の人生まで謳歌できるなんてね」
(いやっ、たすけてっ、いやっ、いやあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ…………)
鈴奈の叫びも虚しく、彼女の物だった肉体は男の命ずるがままに、今まで人生を共にしてきた主の魂を鈴奈自身の力と術を使いこなして葬ってしまう。肉体を失わされ、魂だけの存在になっていた鈴奈にそれを防ぐ手段はなく、その魂はあまりにも簡単に無へと還されていく。
自らが消えるその瞬間、鈴奈が最期に見たのは自分だったはずの肉体が男の魂の思うままに操られ、消えゆく鈴奈を嘲笑うかのように見つめながら乳房や股間を弄る姿。その姿は奪い取られた彼女の肉体が、これからどんな人生を歩んでいくかを表しているようでもあった……
鈴奈だった魂はその場から完全に消え去って、残された鈴奈の肉体は唇を大きく歪める。
「ふふっ……くふふっ……ぐふふふっ……!」
本来の主とのつながりを完全に失わされた鈴奈の肉体は、自らを今操っている存在を次なる主人と認識し、今度こそその魂に永遠の忠誠を誓う。彼女のことを性的な目で見る中年男の魂が、鈴奈の肉体どころか人生そのものを完璧に手に入れてしまった瞬間であり、鈴奈の肉体が彼の望むままに弄ばれて生きていくことが確定した瞬間でもあった。
「これからは俺が鈴奈だ。この若くて可愛くて気持ちいいカラダ、存分に愉しんで生きていくとするよ」
再び鏡の前に立って、生まれたままの姿となった女体を眺め、悦に浸る。彼にとってそれは正式に奪い取った新しい自らの肢体で、これから歩む人生の器そのものだ。そう考えるだけで先ほどまで悦楽に浸っていた鈴奈の性器はキュンキュンと疼き、さらなる快楽を求めて粘ついた液体を身体の奥から分泌していく。優しく触れるだけでピリピリと快楽を生み出し続けるその場所に指を突っ込み、ほじくり回すように弄りながら、本当の鈴奈しか体験することのできなかったはずの快楽を存分に享受する。
鏡には肉体を男に乗っ取られ、自らの肢体にさえ興奮してしまう淫らな女に生まれ変わってしまった鈴奈の姿が映っていた。
「勿論、こっちも……♡ はぁんっ♡ 大切に使い込んで、俺の器に相応しい雌にシてあげるからね……♡」
鈴奈が本来持っていた全ての権利が、彼女の肉体に定着した男の魂に移譲されてしまった。そこに本来の彼女の意思はなく、彼女はただ男の魂を容れる器となってこれからの人生を使われ続けるのだ。
そのことを表すかのように、男の魂に操られた鈴奈の身体は自らの股間と乳房に手を伸ばし、新しく手に入れた魂の器を犯すように辱めつづける。その日の夜が明けるまで、鈴奈の肉体が彼の欲望から解放されることはなかった……
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鈴奈の本来の魂が彼女自身の力によって除霊され、彼女に取り憑いていた男の魂が鈴奈の所有者へと成り代わったあの日から既に1ヵ月が経とうとしていた。既に鈴奈の肉体はその可憐な見た目とは裏腹に、身体の内に男の汚い欲望を宿して生きるのにふさわしいほど淫らな器へと作り変えられてしまっていた。鈴奈の身体を手に入れる際に利用した恋心も、既に女体の快楽と彼の欲望によって愛液と共にゴミ同然に洗い落とされ、鈴奈の身体は彼の精神と同化して女性にしか欲情できない女へと作り変えられてしまっていた。
はじめの内は鈴奈から奪い取った女という立場を利用した覗きやスキンシップ、鈴奈の女体を慰めるだけに納まっていたのだが、封印術の代わりに学び始めたある術を習得してから、その行為はエスカレートすることになる。
次に鈴奈は自らの家である神社の蔵の奥で封印するように仕舞ってあった術書から『操魂術』と記された術を完成させてしまう。それは術を掛けた相手の心と身体を思うままに操るという禁忌の術で、これを利用して思い通りの日々を送ることにしたのだ。これからも一生、人々を助けるために鍛え上げられた鈴奈の霊力は彼の欲望の尖兵として利用されることとなるのだろう。
「あの、秋葉先輩。折り入ってお話があるんですけど……」
「あら、貴女は……2年の森上さんですね。この書類だけ終わらせるから、座って待ってて下さらない?」
手始めに鈴奈は品行方正と謳われる生徒会長の宮瀬秋葉に狙いを定め、彼女が1人になった放課後を狙って接触を試みる。同じ女子高生である鈴奈の肉体と、辺りでも有名な神社の巫女という立場を利用しているがゆえに、秋葉からの警戒は微塵もなかった。
それだけでも鈴奈の肉体がどれだけ有用な器であるかが分かる。鈴奈の体内では男の欲望が際限なく渦巻いているというのに、更に歩いて近づいても、秋葉は机の上の書類に手を掛けたまま特に気にした様子さえなかった。
(くひひっ……元の俺なら声かけただけで警戒されるだろうに、やっぱり鈴奈の肉体は便利だなぁ……!)
未だ無警戒に書類と向き合う秋葉へと狙いを定めて、鈴奈は彼女の後方へと回り込む。体内で自らの霊力を操作し、秋葉へと使う術の準備が着々と整っていることにも、そもそも鈴奈が秋葉に危害を加えようとしていることにさえ、ついに気付かれることはなかった。
秋葉の全てを終わらせる鈴奈の指が、彼女の背後、後頭部に狙いを定めてゆっくりと伸びていく。
「ね、秋葉せんぱい」
「? どうしました? 座っていいと……ぃ……って……ぅぁ……」
「くふっ……! くふふふふっ……!」
触れた瞬間、鈴奈の手元で待機していた術が秋葉に掛けられる。ビクンと大きく身体を震わせた秋葉は目を見開き、身体をこわばらせてその場で痙攣したように震えはじめる。鈴奈の力によって、秋葉は今鈴奈に魂を握られてしまっているのだ。
片手で秋葉の頭を掴む形になっていた鈴奈は暇していた左手も秋葉へと差し出し、両手で秋奈の側頭部に触れる。それはまるで彼女の脳を掴んでいるような体制であった。
「成功だ……♡ これであの生徒会長様の身体も魂も思いのまま……! ここを、こうすれば……!」
「ひぎっ!? あ゛っ、い゛っ……お゛っ゛!」
両手をゆっくり引き寄せると、秋葉の中から彼女と同じ形をした半透明なものがするりと抜け出してくる。魂を抜き取られた身体は抵抗するようにビクビクと跳ね、大きく悲鳴を漏らすが、それ以上のことはできない様子であった。
半透明な秋葉の魂を捕まえたままの鈴奈は指から霊力を送り込みだした。魂も肉体同様に抵抗を許されず、鈴奈が送り込んだ力がみるみるうちに染み渡り、一体化してしまう。
鈴奈が手を離すと魂は秋奈の体内へと戻っていくが、その中には鈴奈が混ぜ込んだ霊力が入ったままであった。
「…………」
「せんぱい? 秋葉せんぱーい?」
「…………ぇ……ぁ……あれ、私、何して……?」
魂が戻った秋葉の瞳に徐々に光も戻り、いつも通りの彼女が目を覚ます。しかしそれは一瞬のこと。彼女に施した術の効果を確かめるため、鈴奈はすぐに行動を始めた。
秋葉の魂に潜り込ませた自らの霊力を操ることで、秋葉の魂と肉体を意のままにしようとしていたのだ。
「じゃあ秋葉先輩。まずは手を挙げてください」
「……? 貴女、何を言って……? え、あれ、からだが、かってに……!?」
鈴奈の命令を聞いた瞬間、秋葉の中に組み込まれてしまった鈴奈の霊力が受信装置のような役割を果たし、秋葉の肉体の操作権を乗っ取って操る。今は手始めに簡単な命令であったが、鈴奈が口にしたことはどんなことであろうと、今の秋葉の肉体には抗えない。秋葉の身体に対する権限を、鈴奈の方が強力に手に入れてしまったのだ。
だが手に入れたのは身体だけではなく。
「先輩……んーん、『秋葉』。お前は俺の何だ?」
「っ……!? ぁ……私、わたし、は……!」
鈴奈の中の男がそう問いかけた瞬間、今まで勝手に動いていた自分に狼狽していた秋葉の動きがピタリと止まる。鈴奈の口から放たれた言葉が力を持ったまま秋葉の耳の中に滑り込み、脳髄に染み渡ってゆく。瞬間、秋葉の体内に寄生していた鈴奈の霊力が活動をはじめ、秋葉の魂と肉体は無防備なままその影響を受けてしまう。命令が頭の中に入ってくるごとに降伏と快楽が迸り、従わなければならない義務感と隷属することへの悦びが一気に押し寄せてくる。自分という存在が、初めから目の前の少女の姿を得た存在に仕えるために産まれ、この時まで過ごしてきたのだと思わされて、その口から自らの存在意義を決定づける言葉を紡いだ。
「ご主人様の、忠実な奴隷でございます……♡」
秋葉の魂はこの瞬間、鈴奈の霊力を完全に同化させられ、彼女は鈴奈に永遠の忠誠を誓う奴隷と成り果てた。ニヤニヤと笑みながら、自らの使った術の成果を確かめるべく秋葉に触れると、品行方正な生徒会長たる秋葉からは考えられないほど甘く、媚びた声が喉から垂れ流される。その声自体が、彼女が根底から覆されてしまった証でもあった。
「くふふっ……じゃあ手始めにこの身体を慰めて貰うとしようか? 鈴奈の記憶にある完璧な生徒会長の秋葉を犯せると思うと身体が疼いて仕方ないからな……!」
「かしこまりました♡ それではこの秋葉の舌で、ご奉仕させて頂きますね……♡」
性的な知識にも経験にも疎かった秋葉の脳は、鈴奈を支配する男の記憶の一部を植え付けられて淫ら色に染め上げられていた。スカートをたくし上げて待ちわびる鈴奈の股間に顔を近づけ、両手を使って丁寧に彼女の下着をずり下ろしていく。他人の下着をずり下ろすなど秋葉には初めての経験であったが、心も体も完全に彼のモノとなった今の秋葉にとっては命令こそが絶対だ。
露わになった自らの性器を恥じることすらなく晒し、待ちわびるように粘ついた液体を垂らす鈴奈に、秋葉は上目で目くばせをしてから鈴奈の性器に唇を這わせた。性交どころか口づけすらしたことのない初心な少女達の純潔は、この日この瞬間に一人の男の欲望によって散らされることとなってしまう。
「はぁむっ……んちゅっ……れろぉっ……♡」
「んっ♡ くひひっ、もっと奥まで舌を突っ込んで、俺を感じさせろ……♡」
「ふぁいっ、すずな様ぁ……♡」
鈴奈から奪い取った後も開発を重ねたことで敏感になった女性器に秋葉の舌を這わせて悦楽に耽る。
この日から鈴奈は巫女としての才能を周りの人間を標的にして振るうようになり、彼女の部屋には毎日のように、魂を操ることに成功した同級生や先輩後輩、たまたま近くを通りかかったOL達が入り浸るようになっていた。その主たる鈴奈は少女とは思えないほど邪な笑みを浮かべながら、肉欲を貪りつづける。もはや本来の魂の意思などどこにもなかったが、『鈴奈』の新しく、輝かしい人生はまだまだ始まったばかりだ。
リクエストいただいた内容は以下です(原文まま)
巫女の実習生が独自封印を練習する時にうっかりと自分の魂を封印してしまいました。封印は施錠されていませんので、時間が経つと、封印が弱くなり、魂が解放され、体に戻ることができます。
この状況を想定して、毎回結界を張って、体を守っていましたが、あいにく、今回結界を張り忘れて、そのまま、空っぽな体が通りすがった/逃げ出した悪霊に憑依されてしまいました。
悪霊が勝手に巫女の体をいじり始めました。巫女がとても悔しくて憎いですが、手を出せず、ただそれを見て、そして体を取り戻す後、退治して永遠転生できないにすると誓った。
最初悪霊は慣れない動作でようやくいったが、その同時、巫女さんの記憶を少し読むことができたを発見した。
巫女の記憶を介して、手つきが少しうまくになって、いった間隔も少し縮んだ、そしてさらに巫女さんの記憶をえた。
この時、悪霊が先に巫女の体を完全に乗っ取りか、巫女の魂が先に封印から離脱、元の体に戻るかの勝負です。
記憶を得た悪霊が巫女のまねをして、いく時間を短縮しています。何回いったあと、巫女の思い人に対する記憶を掘り出した。
体が思い人に対する欲望と恋の思い出で、連続短時間高潮を達し、すべての記憶を把握し、封印が解ける直前に、巫女の祓いで巫女の魂を退治した。
本っっっっっ当にありがとうございました。